「仮交際になりました」 結婚相談所で活動を始めた方にとって、この言葉はうれしい響きを持つ一方で、少し不思議な言葉でもあります。 「交際なのに、なぜ“仮”なのだろう」 「恋人になったという意味なのだろうか」 「ほかの人とお見合いをしてはいけないのだろうか」 「毎日LINEをするべきなのか」 「週に何回会えばいいのか」 「結婚の話は、もうしていいのか」 「手をつないでもいいのか」 「まだ好きではないのに交際していていいのか」 初めて結婚相談所を利用される方の中には、仮交際という言葉を聞いた瞬間、こうした疑問が一斉に浮かぶ方も少なくありません。 しかし、最初に申し上げたいことがあります。 仮交際とは、「好きになった人と恋人として付き合う期間」ではありません。 もっと正確に言えば、 「この人をこれから好きになれる可能性があるか、そして結婚相手として関係を育てていけるかを、実際に会いながら確かめていく期間」 なのです。 ここを理解しているかどうかで、婚活の進み方は大きく変わります。 恋愛ではしばしば、 「好きだから付き合う」 という順序になります。 けれども結婚相談所の仮交際は、必ずしもそうではありません。 「もう少し知りたいから会う」 「嫌ではなかったから、もう一度会ってみる」 「まだ恋愛感情はないけれど、一緒にいると落ち着く」 「結婚相手として考えると、何か可能性を感じる」 そんな静かなところから始まってよいのです。 ショパンの音楽に例えるなら、仮交際とはまだ華やかなフィナーレではありません。 むしろ、最初の数小節です。 主旋律がはっきり聞こえることもあれば、まだどこへ向かう曲なのか分からないこともある。 けれど、耳を澄ませているうちに、 「あ、この旋律をもう少し聴いていたい」 と思う瞬間が訪れることがあります。 婚活における大切なご縁も、案外そのように始まるものなのです。
第1章 そもそも「仮交際」とは何なのか
結婚相談所では一般的に、 入会 → プロフィール作成 → お見合い→ 仮交際 → 真剣交際 → 成婚 という流れで活動が進んでいきます。 もちろん、所属する連盟や相談所によって名称や細かなルールには違いがありますので、実際の活動では各相談所の規定を確認する必要があります。 ただし、仮交際の基本的な意味はほぼ共通しています。 お見合いで1時間ほど話しただけでは、その人が結婚相手として合うかどうかなど、ほとんど分かりません。 プロフィールには、 年齢 職業 年収 学歴 趣味 家族構成 居住地 結婚観 など、さまざまな情報が書かれています。 しかし、結婚生活を左右するものの多くは、プロフィールには書かれていません。 例えば、 店員さんへの態度。 時間に対する感覚。 金銭感覚。 疲れたときの表情。 会話が途切れたときの空気。 自分の意見と違うことを言われたときの反応。 食事をする速さ。 他人への思いやり。 家族との距離感。 困ったときの考え方。 そうしたものは、一度のお見合いではほとんど分からないのです。 だからこそ、 「もう少し会ってみましょう」 という期間が必要になります。 それが仮交際です。 ショパン・マリアージュでは、仮交際を、 「条件から始まった出会いを、心の世界へ降ろしていく時間」 と考えています。 結婚相談所の婚活は、どうしても条件から始まります。 年齢。 仕事。 収入。 居住地。 学歴。 容姿。 家庭環境。 これらは決して悪いものではありません。 結婚という現実生活を考える以上、条件を見ることは必要です。 しかし、人は条件表と結婚するのではありません。 生身の人間と暮らすのです。 朝、同じ家で目を覚まし、 疲れた夜に食卓を囲み、 病気になったときに支え、 意見がぶつかったときに話し合い、 何でもない休日に同じ景色を見る。 その生活の中で必要なのは、 「条件が良いこと」だけではありません。 「この人と一緒にいると、自分らしくいられる」 という感覚です。 仮交際とは、その感覚を探すための時間なのです。
第2章 お見合い後に「また会う」ことの意味
ある35歳の女性、Aさんがいました。
Aさんはお見合い後、カウンセラーにこう言いました。
「悪い人ではありませんでした。でも、ときめきませんでした」
非常によくある言葉です。
そこで私は尋ねました。
「もう一度会うのは嫌ですか?」
Aさんは少し考えて、
「嫌ではありません」
と答えました。
「では、もう一度会ってみませんか」
Aさんは意外そうな顔をしました。
「好きじゃなくてもいいんですか?」
もちろんです。
むしろ、好きでなくても構いません。
仮交際は、
「好きな人を確定する制度」
ではなく、
**「可能性のある人を、もう少し知る制度」**
だからです。
Aさんはその男性と2回目に会いました。
お見合いでは緊張していた男性が、2回目のデートでは随分よく笑いました。
3回目のデートでは、Aさんが仕事で少し疲れていることに気づき、
「今日は長く歩くのをやめて、近くでお茶にしませんか」
と言いました。
Aさんは、その一言が妙に心に残ったそうです。
4回目。
Aさんはカウンセラー面談で言いました。
「何というか……派手ではないんです。でも、一緒にいると楽なんです」
婚活では、この
**「楽」**
という感覚を軽視してはいけません。
映画のような恋愛を想像すると、
胸が高鳴る。
会えないと苦しい。
相手のことばかり考える。
そんな感情を「恋」だと思いがちです。
もちろん、それも恋の一つです。
しかし結婚生活においては、
「会うと安心する」
「沈黙が苦しくない」
「変に頑張らなくていい」
という感覚のほうが、長い年月を支えることがあります。
Aさんは、その男性と真剣交際へ進み、やがて成婚しました。
後日、Aさんはこう言いました。
「最初のお見合いだけで判断していたら、絶対に結婚していなかったと思います」
この言葉には、仮交際という仕組みの意味が凝縮されています。
## ***第3章 仮交際は「恋人」なのか***
ここは非常に大切です。
仮交際になったからといって、一般的な意味で恋人同士になったとは限りません。
むしろ、
**「恋人になる可能性を検討している段階」**
と考えるほうが近いでしょう。
そのため、仮交際中は、相談所のルールの範囲内で、
別のお見合いをする。
複数の方と仮交際をする。
ということも一般的に認められています。
これを聞いて、
「そんなの不誠実では?」
と思う方もいるでしょう。
しかし、この仕組みには理由があります。
もし、お見合いで一度会っただけの相手と仮交際になった瞬間、
「あなた以外の異性とは一切会ってはいけません」
というルールだったらどうでしょう。
まだ相手をほとんど知らないのに、一人に絞らなければならなくなります。
それでは慎重な婚活ができません。
だから、仮交際はある程度開かれた状態になっています。
ただし、ここで大切なのは、
**「複数交際できるから、何人でも並行すればよい」**
ということではありません。
人数が増えすぎると、一人ひとりを見る目が浅くなります。
土曜日の昼はBさん。
土曜日の夜はCさん。
日曜日の昼はDさん。
夜にはEさんとLINE。
こうなると婚活は、まるで面接スケジュールのようになってしまいます。
そして、
「誰と何を話したか分からない」
という状態になります。
ショパン・マリアージュでは、仮交際の人数そのものより、
**「一人ひとりと丁寧に向き合える余白があるか」**
を大切にします。
婚活は、多くの人を見るゲームではありません。
一人の人を深く見る営みなのです。
## ***第4章 仮交際の最大の目的は「好きになること」ではない***
仮交際になると、多くの人が自分に問い始めます。
「私はこの人を好きなのだろうか」
しかし、1回、2回会った段階で毎回これを考えると、婚活は苦しくなります。
なぜなら、
**「好きか嫌いか」**
という問いは、あまりにも大きすぎるからです。
代わりに、次のように問いを小さくしてください。
「もう一度会ってもいいと思えるか」
「話していて嫌な感じがしなかったか」
「少し知りたいと思うところがあるか」
「会った後に極端に疲れていないか」
「自分を良く見せようと無理していないか」
「相手は自分の話を聞こうとしてくれているか」
これだけで十分です。
恋愛感情は、意思決定ではありません。
「今日からこの人を好きになります」
と決められるものではありません。
むしろ、
気づいたら気になる。
会わない日に思い出す。
こんなことを話したいと思う。
相手が喜ぶものを見つけると教えたくなる。
そんな小さな変化として現れます。
仮交際とは、その変化が起こる余地を残す期間なのです。
## ***第5章 初回デートは何をすればいいのか***
仮交際になって最初のデート。
ここで張り切りすぎる方がいます。
高級レストランを予約する。
丸一日のドライブを計画する。
遠方の観光地へ行く。
夕食からバーまで5時間過ごす。
しかし、最初から長時間一緒にいる必要はありません。
むしろ初期のデートほど、
**「少し物足りないくらい」**
がちょうどよいのです。
例えば、
ランチ。
カフェ。
軽い夕食。
美術館。
景色のよい場所を少し散歩。
こうした2時間前後のデートでも十分です。
初期の目的はイベントを楽しむことではありません。
相手を知ることです。
32歳男性Bさんは、初めての仮交際デートで、女性を片道2時間の観光地へ誘いました。
Bさんとしては、
「楽しませたい」
という善意でした。
しかし女性は、まだほとんど知らない男性の車に長時間乗ることに不安を感じていました。
しかも朝から夜まで一緒。
会話が途切れる。
沈黙が気になる。
お互い疲れる。
帰宅した女性は、
「悪い方ではありませんが、少し重かったです」
と交際終了を希望しました。
Bさんはショックを受けました。
でも問題は人柄ではありません。
**距離の詰め方が速すぎたのです。**
良い関係とは、一気に作るものではありません。
音楽にも、
間
があります。
休符があります。
休符は、何も演奏していない時間ではありません。
次の音を美しく響かせるための時間です。
仮交際にも、同じような「間」が必要です。
## ***第6章 LINEや連絡は毎日必要なのか***
非常によく聞かれる質問です。
「毎日LINEしたほうがいいですか?」
答えは、
**毎日でなければならないわけではありません。**
ただし、
**関係を育てる程度の連絡は必要です。**
仮交際なのに、
3日。
4日。
5日。
何の連絡もない。
次の予定も決まらない。
これでは相手から、
「自分に興味がないのかな」
と思われても仕方ありません。
一方で、
朝7時。
「おはようございます」
昼12時。
「ランチです」
17時。
「仕事終わりました」
19時。
「何食べました?」
22時。
「おやすみなさい」
と、一日に何度も連絡すれば良いというものでもありません。
人によって心地よい連絡頻度は違います。
大切なのは、
**相手のテンポを知ることです。**
例えば、
「LINEって普段どのくらい使いますか?」
と聞いて構いません。
これは些細な質問に見えます。
しかし結婚生活では、
連絡頻度。
返信速度。
電話への感覚。
一人で過ごす時間。
こうした日常のテンポが大切になります。
ショパン・マリアージュでは、
**「心のテンポが合うかどうか」**
という表現をよく使います。
毎日連絡したい人。
必要なときだけ連絡したい人。
どちらが正しいということではありません。
大切なのは、
二人のテンポを調整できるかどうかです。
## ***第7章 デートは週1回が理想なのか***
一般論として、仮交際中はある程度定期的に会うことが望ましいでしょう。
なぜなら、人間の感情には、
**「会わない時間が長すぎると、関係が薄れる」**
という特徴があるからです。
例えば、
1回目のデート。
その後3週間空く。
2回目。
また1か月空く。
これでは毎回、
「ほぼ初対面」
に戻ってしまいます。
理想を言えば、無理のない範囲で1週間から10日前後に一度程度会えると、関係を育てやすいでしょう。
ただし、
仕事。
距離。
家庭事情。
体調。
繁忙期。
さまざまな事情があります。
特に地方婚活では、移動距離の問題も大きくなります。
釧路と札幌。
釧路と帯広。
釧路管内でも地域によっては相当な移動時間になります。
だから、
「週1回会えないから脈なし」
という単純な判断をしてはいけません。
重要なのは回数ではなく、
**「会う努力がお互いに存在するか」**
です。
例えば、
「今週は難しいですが、来週の土曜日なら空いています」
これは前向きです。
一方、
「また予定が分かったら連絡します」
と言ったまま10日経つ。
これは少し注意が必要です。
婚活では、
言葉より行動に気持ちが現れることがあります。
## ***第8章 仮交際では何を話せばいいのか***
仮交際では、少しずつ話題を深くしていきます。
最初は、
好きな食べ物。
趣味。
休日。
旅行。
仕事。
学生時代。
最近見た映画。
などで構いません。
しかし、仮交際が進んできたら、少しずつ結婚生活につながる話をしていく必要があります。
例えば、
どんな家庭を築きたいか。
仕事を今後どうしたいか。
どこに住みたいか。
共働きについてどう考えるか。
家事をどう考えるか。
子どもについてどのような希望があるか。
休日をどう過ごしたいか。
親との関係。
金銭感覚。
こうした話です。
ただし、ここで重要なのは、
**「面接にしないこと」**
です。
女性:
「子どもは欲しいですか?」
男性:
「はい」
女性:
「何人ですか?」
男性:
「2人くらい」
女性:
「共働きについては?」
男性:
「賛成です」
女性:
「家事分担は?」
男性:
「します」
これでは履歴書の確認です。
婚活で本当に知りたいのは、
「正解を答えられるか」
ではありません。
**その人がなぜそう考えているのか。**
そこです。
例えば、
「どんな家庭が理想ですか」
と聞いたとき、
「父が仕事ばかりで母が大変そうだったので、自分は家族と過ごす時間を大切にしたいんです」
と言う男性がいたとします。
ここには、その人の人生観があります。
結婚観があります。
記憶があります。
人間らしさがあります。
仮交際では、情報を集めるのではなく、
**その人の物語に触れていくこと。**
これが大切なのです。
## ***第9章 結婚観の話は早すぎるのか***
恋愛では、
「付き合ってすぐ結婚の話をしたら重い」
と言われることがあります。
しかし、結婚相談所は結婚を目的として出会う場所です。
ですから、結婚観を話すこと自体は不自然ではありません。
問題は、
**聞き方とタイミングです。**
初回デートで、
「住宅ローンは変動ですか固定ですか」
「親との同居は絶対ありませんよね」
「子どもは2年以内が希望です」
と矢継ぎ早に聞けば、相手は圧迫面接を受けているように感じるでしょう。
一方、3回、4回と会い、
「もし結婚したら、休日はどんなふうに過ごしたいですか」
と聞くのは自然です。
ここでも大切なのは、
**条件の確認ではなく、未来の風景を一緒に想像すること**
です。
「休日は家でのんびりしたいですね」
「僕もです。でも月に1回くらいはドライブしたいな」
「それ、いいですね」
こうした小さな会話の中に、
二人で暮らす未来の輪郭が少しずつ見えてきます。
## ***第10章 「まだ好きではない」は交際終了の理由になるか***
38歳女性Cさんは、3回目のデート後に言いました。
「とても良い人です。でもまだ好きではありません」
私は尋ねました。
「嫌ですか?」
「いいえ」
「会うのは苦痛ですか?」
「全然」
「話はできますか?」
「むしろ話しやすいです」
「では、何が問題なのでしょう」
Cさんはしばらく黙って、
「恋愛感情がないことです」
と答えました。
そこで私はこうお話ししました。
恋愛感情には、
**早く燃えるタイプと、ゆっくり温まるタイプ**
があります。
一目惚れする人もいます。
数か月かけて好きになる人もいます。
どちらが本物ということではありません。
むしろ婚活では、
「最初から強烈に惹かれた相手とはうまくいかなかった」
という人が、
「最初は普通だった相手と結婚した」
ということも珍しくありません。
Cさんはもう少し会うことにしました。
5回目のデート。
二人で海を見に行きました。
帰り道、男性が何気なく、
「今日すごく楽しかったです。またこういう日があるといいですね」
と言いました。
その瞬間、Cさんは少し胸が温かくなったそうです。
家に帰ってから、
「また会いたい」
と初めて自分から思いました。
これが、ゆっくり育つ感情です。
恋は、いつも雷のように落ちてくるわけではありません。
雪国の春のように、
気づかないほど静かに、
少しずつ景色を変えていく恋もあるのです。
## ***第11章 反対に「ときめくから安心」とも限らない***
では、ときめきは不要なのでしょうか。
もちろん違います。
魅力を感じる。
会いたいと思う。
胸が高鳴る。
それらは素晴らしい感情です。
ただ、
**ときめきと相性は同じではありません。**
41歳男性Dさんは、ある女性にお見合いの瞬間から強く惹かれました。
美しい。
話し方も好み。
趣味も合う。
Dさんはすぐ、
「この人しかいない」
と思いました。
しかし仮交際に入ると、
返信が遅いだけで不安になる。
ほかの男性と会っているのではと考える。
デートの予定が合わないと落ち込む。
相手に嫌われないよう、自分の意見を言わなくなる。
Dさんは恋をしていました。
しかし、
**安心してはいませんでした。**
一方、別の男性Eさんは、交際相手に対し、
「ドキドキというより、自然です」
と話していました。
意見が違っても話し合える。
連絡が遅くても不安にならない。
自分の弱いところを話せる。
相手の欠点も笑って受け止められる。
結婚生活に必要なのは、どちらでしょうか。
答えは一つではありません。
理想は、
**「惹かれる」と「安心する」の両方が育つこと。**
しかし、どちらか一方から始まることもあります。
仮交際は、そのバランスを見る時間でもあります。
## ***第12章 複数交際はどう考えればよいのか***
仮交際で最も戸惑いやすいのが複数交際です。
「相手もほかの人と会っていると思うと嫌です」
という相談を受けることがあります。
その気持ちは自然です。
しかし仮交際では、
「自分だけを見てほしい」
と思う前に、
**「自分はこの人と本当に関係を深めたいのか」**
を考える必要があります。
複数交際のメリットは比較そのものではありません。
本当のメリットは、
**自分自身を知ること**
です。
例えば、
Fさんといると会話は華やかだけれど疲れる。
Gさんとは沈黙があっても安心する。
Hさんとは条件は合うが自分を出せない。
そうして初めて、
「私は話題が豊富な人より、穏やかな人のほうが合うのかもしれない」
と分かります。
婚活前には、
「年収○万円以上」
「身長○センチ以上」
「学歴は」
と考えていた人が、実際に人と会うことで、
「私が本当に欲しかったのは安心感だった」
と気づくことがあります。
複数交際とは、人をランキングするためではありません。
**自分の心の輪郭を知るための鏡**
でもあるのです。
## ***第13章 比較しすぎると、誰も選べなくなる***
ただし、比較には危険があります。
「Aさんは優しい。でもBさんのほうが年収が高い」
「Bさんは収入が高い。でもCさんのほうが会話が楽しい」
「Cさんは楽しい。でもDさんのほうが見た目が好み」
こうして項目ごとに比較すると、永遠に決められません。
なぜなら、
**すべての項目で1位の人など、ほとんど存在しないからです。**
婚活が長期化する人には、
「もっと良い人がいるのではないか」
という思考が強くなるケースがあります。
スマートフォンには次々と新しいプロフィールが現れます。
すると一人の人間が、
「一緒に人生を歩む候補」
ではなく、
「比較可能な商品」
のように見えてしまう。
しかし結婚とは、
最も条件の良い商品を選ぶことではありません。
ある人の長所と短所を含めて、
**「この人と人生を作ってみたい」**
と思うことです。
ショパンの曲にも、
完全に均整の取れた美しさだけがあるわけではありません。
揺らぎ。
ためらい。
陰影。
不安。
明るさ。
そうしたものが共存するからこそ、人の心に残ります。
人間も同じです。
## ***第14章 仮交際では「相手を見る」だけでは足りない***
婚活をしていると、
「この人は結婚相手として合格か」
という視点になりがちです。
しかしショパン・マリアージュでは、もう一つの視点を大切にします。
それは、
**「この人といるとき、自分はどんな自分になっているか」**
です。
例えば、
よく笑っている。
自然に話せる。
相手の話をもっと聞きたいと思う。
自分の弱いところを見せても大丈夫だと思う。
逆に、
常に緊張している。
嫌われない言葉ばかり選んでいる。
相手の機嫌を気にしている。
自分らしく話せない。
これは重要な情報です。
良い結婚とは、
「素晴らしい相手を得ること」
だけではありません。
**「その人といることで、自分も穏やかで誠実な人間でいられる関係を作ること」**
です。
## ***第15章 デート後に必ず考えてほしい5つのこと***
仮交際のデートが終わったら、
「楽しかった・楽しくなかった」
だけで判断せず、次の5つを考えてみてください。
1つ目。
**自然に話せたか。**
2つ目。
**相手への好奇心が少しでも増えたか。**
3つ目。
**自分のことも知ってほしいと思えたか。**
4つ目。
**相手の違いを受け止められそうか。**
5つ目。
**もう一度会ってみたいか。**
最後の問いはとても重要です。
「結婚したいですか?」
ではありません。
まだそこまで答えられなくて当然です。
「もう一度会いたいか」
これだけでいいのです。
婚活は、大きな決断を小さな決断に分けることで進みやすくなります。
## ***第16章 よくある失敗1――LINEだけで関係を作ろうとする***
ある男性は、文章でのやり取りが得意でした。
毎日長文のLINEを送りました。
趣味。
仕事。
人生観。
家族。
好きな音楽。
女性も丁寧に返信していました。
男性は、
「かなり仲良くなった」
と思っていました。
しかし実際には2週間会っていませんでした。
3回目のデートを申し込むと、女性から交際終了の連絡が入りました。
男性は驚きました。
「毎日LINEしていたのに」
しかしLINEは、関係そのものではありません。
文章では分からないものがあります。
声。
表情。
間。
笑い方。
気遣い。
その人が作る空気。
婚活では、
**LINEは関係をつなぐ橋であって、関係そのものではない**
と考えたほうがよいでしょう。
## ***第17章 よくある失敗2――完璧なデートを演出しようとする***
男性側に多いのが、
「楽しませなければ」
というプレッシャーです。
人気店を調べ、
完璧な予約を取り、
会話のネタを準備し、
次の店まで用意する。
努力は素晴らしいことです。
しかしやりすぎると、
本人が疲れます。
女性も、
「すごく頑張ってくれている」
とは思いますが、
「本当のこの人はどんな人なのだろう」
と分からなくなります。
結婚後、毎週高級レストランへ行くわけではありません。
むしろ、
スーパーで買い物する。
家でお茶を飲む。
近所を散歩する。
そういう時間のほうが圧倒的に多いのです。
だから交際が進んできたら、
少し普通の時間も共有してみてください。
完璧なデートより、
**普通の時間を心地よく過ごせる相手かどうか。**
これは大切な判断材料です。
## ***第18章 よくある失敗3――質問攻めになる***
結婚相談所では効率を意識するあまり、
質問が多くなりがちです。
「転勤ありますか」
「貯金は」
「料理できますか」
「家事は」
「子どもは」
「両親は」
必要な情報ではあります。
しかし、人間関係は情報収集ではありません。
質問したら、自分のことも話しましょう。
例えば、
「料理しますか」
と聞くだけでなく、
「私は最近パスタを作るのにハマっていて。でも片付けは苦手なんです」
と自分を開く。
すると会話になります。
良いコミュニケーションとは、
**質問→回答**
ではなく、
**自己開示→共感→質問→自己開示**
という往復です。
## ***第19章 よくある失敗4――“正しい結婚相手”を探しすぎる***
真面目な人ほど、
「間違えたくない」
と思います。
離婚したくない。
後悔したくない。
だから、
「正しい相手か」
を必死に見極めようとします。
しかし、人間関係に100%の正解はありません。
どんな相手にも不確実性があります。
結婚とは、
未来が保証された人を選ぶことではありません。
**未来を一緒に作れそうな人を選ぶこと**
です。
仮交際で見るべきなのは、
欠点がないかではなく、
違いが生じたとき、
話し合える人か。
謝れる人か。
譲れる人か。
自分の考えを言える人か。
相手の考えも聞ける人か。
ということです。
## ***第20章 よくある失敗5――減点方式で見る***
婚活が長くなるほど、
人を見る目が厳しくなることがあります。
「話し方が少し気になる」
マイナス5点。
「服装が好みではない」
マイナス10点。
「店を決めるのが遅かった」
マイナス10点。
「趣味が違う」
マイナス5点。
気づけば、
「合格者なし」
です。
しかし自分自身も、誰かから見れば欠点があります。
結婚は100点の人を探すことではありません。
70点の人と、
二人で80点、90点の関係を作れるかもしれません。
反対に、
プロフィール100点の相手でも、
二人でいると50点の関係になることがあります。
見るべきなのは、
**相手の点数ではなく、二人の関係の質**
なのです。
## ***第21章 交際終了は「失敗」ではない***
仮交際の結果、
「違う」
と分かることがあります。
それは失敗ではありません。
むしろ、
仮交際の役割が正しく果たされたということです。
ある女性は、男性と4回デートしました。
優しい。
誠実。
安定した仕事。
条件的には申し分ありません。
しかし、将来について話しているとき、
男性は、
「家事は女性のほうが得意だと思うので、基本的にはお願いしたい」
と言いました。
女性は共働きを続けたいと考えていました。
話し合いましたが、お互いの価値観はかなり違っていました。
女性は悩みました。
「こんなに良い人を断っていいのでしょうか」
私はお伝えしました。
良い人かどうかと、
あなたに合う人かどうかは別です。
男性が悪いわけではありません。
女性が悪いわけでもありません。
価値観が違うのです。
婚活では、
「誰が悪いか」
ではなく、
**「二人が合うか」**
を見ることが大切です。
## ***第22章 交際終了するとき、相手を嫌いになる必要はない***
ここも重要です。
仮交際を終了するために、
相手の欠点を探す人がいます。
「こういうところが嫌だった」
「だから断る」
と自分を納得させようとする。
しかし、
嫌いになる必要はありません。
「良い方だけれど、結婚相手としては違うと思った」
それで十分です。
人生には、
素敵だけれど結ばれない人もいます。
婚活では、その事実を静かに受け入れる成熟さも必要です。
## ***第23章 真剣交際へ進むタイミングとは***
仮交際から真剣交際へ。
これは婚活の大きな節目です。
では、どんなときに進めばよいのでしょう。
「完全に好きになったとき」
だけとは限りません。
例えば、
ほかの人よりこの人に会いたい。
もっと深く知りたい。
ほかの人とのお見合いを続ける必要を感じなくなった。
結婚生活を少し想像できる。
自分の弱いところも話せそう。
意見が違っても話し合えそう。
この人と関係を育てることに集中したい。
こう感じ始めたら、真剣交際を考える時期かもしれません。
大切なのは、
**「この人なら絶対大丈夫」**
という確信ではありません。
結婚前に100%の確信を持つ人など、多くありません。
むしろ、
**「この人となら、分からない未来を一緒に考えていけそう」**
という感覚です。
## ***第24章 真剣交際へ行けない人の心理――もっと良い人がいるかもしれない***
婚活が長期化する大きな原因の一つが、
「もっと良い人がいるかもしれない」
という気持ちです。
例えば、非常に相性の良い相手と出会ったとします。
会話も楽しい。
価値観も大きく違わない。
相手からも好意を感じる。
ところが、
「来週のお見合いの人はもっと良いかもしれない」
と思う。
そして新しい人に会う。
また、
「次の人は」
となる。
これは、
**選択肢が多い時代特有の難しさ**
です。
選択肢は自由を増やします。
しかし同時に、
「選ばなかった可能性」
を増やします。
結婚とは、ある意味、
無数の可能性を捨て、
一人との可能性を選ぶことです。
その決断には、小さな勇気が必要です。
## ***第25章 カウンセラーは何のためにいるのか***
結婚相談所の婚活がアプリと大きく違う点の一つが、
カウンセラーの存在です。
仮交際では特に重要になります。
例えば、
「相手の返信が遅くなりました」
「次のデートに誘われません」
「真剣交際に行きたいけれど、相手の気持ちが分かりません」
「結婚観を聞きたいけれど、重いと思われそうです」
こうしたことを一人で悩むと、
想像が膨らみます。
「嫌われた?」
「ほかに本命がいる?」
「脈なし?」
しかし実際には、
仕事が忙しいだけかもしれません。
本人も距離の詰め方に悩んでいるかもしれません。
カウンセラー同士を通して、温度感を確認できる場合もあります。
ショパン・マリアージュでは、
カウンセラーを、
**「答えを教える人」ではなく「心の音を一緒に聴く人」**
と考えます。
婚活の途中では、自分の本当の気持ちが自分でも分からなくなることがあります。
そんなとき、
「その人に会った日はどんな気持ちになりますか」
「LINEが来るとうれしいですか」
「もし明日交際終了と言われたらどう感じますか」
と問いかける。
すると、
「実はかなり好きになっていたかもしれません」
と気づくことがあります。
## ***第26章 ケーススタディ1――条件より安心感を選んだ34歳女性***
34歳の女性、Mさん。
婚活開始時の希望条件は明確でした。
年収600万円以上。
大学卒。
身長170センチ以上。
年齢は37歳まで。
ところが実際に成婚した男性は、一部の希望条件から外れていました。
お見合いの印象も、
「普通です」
でした。
仮交際1回目。
カフェ。
「話しやすかった」
2回目。
ランチ。
「結構笑いました」
3回目。
ドライブ。
「沈黙があっても気まずくなかった」
4回目。
Mさんが仕事で落ち込んでいる話をしました。
男性はアドバイスをしませんでした。
ただ、
「それは大変でしたね」
と聞きました。
Mさんは後で言いました。
「今まで付き合った男性は、すぐ『こうすればいい』と言ってきたんです。でも彼は聞いてくれました」
この瞬間から、Mさんの中で何かが変わりました。
成婚後、彼女はこう言いました。
「婚活前は条件を選ぶと思っていました。でも実際には、一緒にいるときの自分を選んだんだと思います」
非常に象徴的な言葉です。
## ***第27章 ケーススタディ2――“いい人だけど違う”を無視した39歳男性***
39歳男性Nさんは、仮交際中の女性について、
「とても良い方です」
と繰り返していました。
しかし、
「会いたいですか」
と尋ねると、
「予定が合えば」
という答え。
「LINEが来るとうれしいですか」
「特には」
「ほかの男性と真剣交際に行くと言われたら?」
「仕方ないですね」
私は、
「もしかすると、良い人だから断れないだけではありませんか」
と問いかけました。
Nさんは黙りました。
彼は、
「相手に申し訳ない」
という気持ちから交際を続けていたのです。
これは相手への優しさに見えます。
しかし本当に優しいでしょうか。
結婚する気持ちが育っていないのに、期待を持たせ続ける。
それより、
丁寧に終了するほうが誠実な場合があります。
婚活では、
**断らないことが優しさとは限りません。**
## ***第28章 ケーススタディ3――3回目で終了しようとした女性***
36歳女性Oさん。
仮交際3回目の後、
「終了しようと思います」
と言いました。
理由を尋ねると、
「盛り上がらないんです」
しかし詳しく聞くと、
男性に不満はほとんどありませんでした。
会話もできる。
気遣いもある。
次のデートにも誘われている。
そこで私は、
「盛り上がらないというのは、退屈ですか。それとも安心していますか」
と尋ねました。
Oさんは考えました。
「安心……かもしれません」
彼女はこれまで、
追いかける恋愛ばかりしてきました。
返信が来ない。
相手の気持ちが分からない。
会えるか分からない。
そんな不安を、
「恋愛のドキドキ」
だと思っていたのです。
安定した男性に出会うと、刺激がない。
そこで、
「好きではない」
と判断してしまう。
この心理は意外に多くあります。
Oさんは交際を続け、数か月後に成婚しました。
## ***第29章 ケーススタディ4――連絡頻度の違いを話し合えた二人***
男性PさんはLINEが苦手。
女性Qさんは毎日連絡したいタイプ。
交際初期、Qさんは、
「私に興味がないのでは」
と不安になりました。
しかしPさんは、
「仕事中はほとんどスマホを見ないんです」
と説明しました。
そこで二人は、
「夜に一度くらいは連絡する」
というペースを作りました。
重要なのは、
最初から相性が完璧だったことではありません。
**違いを話し合って調整したこと**
です。
結婚生活では無数の違いが現れます。
エアコンの温度。
食事時間。
休日。
お金。
掃除。
睡眠。
実家。
子育て。
完璧に一致する人はいません。
だから仮交際で見たいのは、
一致しているか以上に、
**違ったときに話し合えるか**
なのです。
## ***第30章 ケーススタディ5――地方婚活で距離を乗り越えた二人***
釧路に住む37歳男性と、帯広方面に暮らす34歳女性。
簡単に毎週会える距離ではありませんでした。
交際当初、男性は毎回女性側まで行こうとしました。
女性は言いました。
「いつも来てもらうのは申し訳ないです。次は私が行きます」
そこから、
中間地点で会う。
交互に移動する。
オンラインで少し話す。
という工夫をするようになりました。
私はこの二人を見ていて、
距離を縮めたのは高速道路でも鉄道でもなく、
**「相手だけに負担をかけない」という気持ち**
だったと思っています。
地方婚活では、距離は確かに課題です。
しかしその距離は、
相手の思いやりを見る機会にもなります。
## ***第31章 仮交際で見えてくる「結婚向きの優しさ」***
婚活で、
「優しい人がいい」
という希望をよく聞きます。
しかし優しさにも種類があります。
プレゼントをする。
店を予約する。
車のドアを開ける。
これも優しさです。
しかし結婚生活では、もっと地味な優しさが重要になります。
疲れているときに気づく。
話を最後まで聞く。
自分が悪ければ謝る。
相手の都合を考える。
約束を守る。
困ったとき逃げない。
意見が違っても人格を否定しない。
こうした優しさです。
仮交際ではぜひ、
**「この人は私に優しいか」**
だけでなく、
**「この人は人に対して誠実か」**
を見てください。
店員さん。
家族。
職場の人。
元交際相手。
知らない人。
その語り方には人柄が表れます。
## ***第32章 仮交際で確認したいお金の感覚***
結婚において金銭感覚は重要です。
ただし、仮交際初期から貯金額を尋ねるという意味ではありません。
まず日常の感覚を見ます。
外食への考え方。
ものを買う基準。
旅行。
趣味。
節約。
支払い方。
例えば、
「記念日は少し良い店に行きたい」
という人と、
「外食にお金を使う意味が分からない」
という人では、価値観が大きく違う可能性があります。
ただし違いがあるから駄目なのではありません。
話し合えることが大切です。
## ***第33章 スキンシップと距離感について***
仮交際中のスキンシップについては、所属する相談所や連盟のルールを必ず確認してください。
ここでは心理的な距離感について考えます。
大切なのは、
**自分のペースだけで距離を縮めないこと。**
好意があるからといって、
相手も同じ温度とは限りません。
歩く距離。
座る距離。
身体への接触。
言葉遣い。
呼び方。
すべてに距離があります。
関係の初期では、
「自分がしたいか」
より、
**「相手が安心できるか」**
を考える。
この姿勢は、そのまま結婚生活の思いやりにつながります。
## ***第34章 仮交際中にやってはいけない「未来の先取り」***
交際がうまくいくと、急に未来を決めたくなる人がいます。
「結婚したらここに住みましょう」
「子どもの名前は」
「両親にも紹介したい」
まだ相手の気持ちがそこまで育っていない段階では、負担になります。
婚活にはスピード感が必要です。
しかし、
**早く進むことと、急ぐことは違います。**
早く進む関係は、二人が同じ速度で歩いています。
急いでいる関係は、一人がもう一人を引っ張っています。
この違いは大きいのです。
## ***第35章 婚活で本当に怖いのは「断られること」ではない***
仮交際では、誰でも断られる可能性があります。
ある日突然、
交際終了。
という連絡が来ることもあります。
傷つきます。
当然です。
しかし婚活で本当に怖いのは、
断られることそのものではありません。
断られることを恐れて、
**自分を出せなくなること**
です。
嫌われたくない。
だから何でも合わせる。
相手が好きなものを自分も好きと言う。
結婚観も合わせる。
意見を言わない。
そうすると、交際は続くかもしれません。
しかし相手が好きになったのは、
本当のあなたではなく、
「相手に合わせたあなた」
になってしまいます。
真剣な婚活ほど、少しずつ自分を見せる勇気が必要です。
## ***第36章 「選ばれる婚活」から「二人で選ぶ婚活」へ***
結婚相談所で活動すると、
「相手からどう思われたか」
が気になります。
お見合いOKをもらえるか。
仮交際になれるか。
次のデートに誘われるか。
真剣交際を申し込まれるか。
しかし、婚活はオーディションではありません。
あなたも相手を選んでいます。
そしてもっと正確に言えば、
**二人で関係を選んでいる**
のです。
「相手に選ばれるためにどうすればいいか」
だけを考える婚活から、
「二人にとって心地よい関係とは何か」
を考える婚活へ。
ここへ移行すると、婚活はずっと穏やかになります。
## ***第37章 ショパン・マリアージュが仮交際で大切にする7つの視点***
私たちが仮交際を見るとき、特に大切にしたいのは次の7つです。
### 1 安心感
一緒にいて過度に緊張しないか。
### 2 会話の往復
一方的ではなく、お互いが話せるか。
### 3 誠実さ
約束や時間、連絡を大切にしているか。
### 4 思いやり
自分の都合だけでなく、相手の事情を考えられるか。
### 5 価値観の調整力
違いを話し合えるか。
### 6 未来への方向性
結婚生活について大きな方向が合っているか。
### 7 心のテンポ
関係を進める速さが極端に違わないか。
この7つがすべて最初から揃う必要はありません。
関係の中で育つものもあります。
## ***第38章 仮交際を3段階で考える***
仮交際が分かりにくい方には、3段階で考える方法をおすすめします。
### 第1段階――もう一度会いたいか
初回から2回目程度。
まだ結婚を判断しません。
「また会いたいか」
だけです。
### 第2段階――人として信頼できそうか
2回目から4回目程度。
価値観。
人柄。
誠実さ。
安心感。
少しずつ見ていきます。
### 第3段階――この人との未来を考えてみたいか
交際が深まってきたら、
住まい。
仕事。
家庭。
子ども。
お金。
生活スタイル。
などを話し、
「この人に絞って考えたいか」
を見ます。
この順序で考えると、
1回目から、
「この人と結婚できるか」
と悩む必要がなくなります。
## ***第39章 仮交際で迷ったときの10の質問***
迷ったときには、自分にこう尋ねてみてください。
1.また会いたいと思うか。
2.会う前は少し楽しみか。
3.会った後、極端に疲れていないか。
4.自分らしく話せているか。
5.相手の話をもっと知りたいか。
6.相手にも自分を知ってほしいか。
7.違う意見を言えそうか。
8.相手の欠点を受け入れられそうか。
9.この人との日常を少し想像できるか。
10.もし今日交際終了になったら、少し寂しいと思うか。
最後の質問は、意外に有効です。
人は、
失いそうになって初めて、自分の気持ちに気づくことがあるからです。
## ***第40章 「条件から始まり、心へ降りてゆく」婚活***
結婚相談所の出会いは、ある意味で特殊です。
最初にプロフィールがあります。
年齢。
年収。
仕事。
写真。
趣味。
自己PR。
条件から始まります。
しかし幸せな結婚とは、
最後まで条件を眺め続けることではありません。
どこかで、
プロフィールの向こう側へ行かなければなりません。
「年収600万円の男性」
ではなく、
仕事で疲れたときにも家族を大切にしようとする一人の人間として見る。
「34歳の女性」
ではなく、
不安も夢も弱さも持つ一人の人間として見る。
その瞬間から、
婚活は検索ではなく、
出会いになります。
ショパン・マリアージュが大切にしている、
**「条件から始まり、心へ降りてゆく出会い」**
とは、まさにこのことです。
## ***終章 仮交際とは、愛を急がないための時間である***
「仮交際」という言葉には、
どこか事務的な響きがあります。
しかし本当は、とても人間的な制度だと思います。
一度会っただけでは分からない。
だからもう一度会う。
まだ好きか分からない。
だから少し話してみる。
価値観が違う。
だから話し合ってみる。
一緒にいると少し安心する。
だからまた会ってみる。
そうやって、
一歩ずつ、
相手という人間に近づいていく。
恋愛には、
一目で心を奪われる出会いもあります。
しかし人生を共にする人との出会いは、必ずしも劇的である必要はありません。
最初は、
「悪くない」
だったかもしれない。
次は、
「話しやすい」
になり、
やがて、
「会うと落ち着く」
になり、
ある日ふと、
「この人がいなくなると寂しい」
と思う。
その先に、
「この人と人生を歩いてみたい」
という気持ちが生まれる。
愛はいつも、大きな音で始まるわけではありません。
むしろ本当に深い愛ほど、
最初は聞き逃してしまいそうな、
小さな旋律なのかもしれません。
仮交際とは、
その旋律を急いで評価するのではなく、
少し耳を澄ませて聴いてみる時間です。
「好きかどうか分からない」
それで構いません。
「結婚できるか分からない」
当然です。
今、必要なのは、
人生の答えを出すことではありません。
ただ、
**「もう一度、この人に会ってみたいか」**
そこから始めればいいのです。
そして何度か会ううちに、
相手の言葉の向こうにある優しさが見え、
表情の向こうにある不安が見え、
自分自身の心の変化にも気づく。
そのとき初めて、
条件表の中にいた一人の「候補者」が、
かけがえのない一人の「人」へと変わっていきます。
ショパンのノクターンが、静かな旋律の中に言葉では説明できない感情を宿しているように、
人と人との関係にも、
数字やプロフィールでは測れない響きがあります。
一緒にいると落ち着く。
笑うタイミングが似ている。
沈黙が怖くない。
疲れていることに気づいてくれる。
くだらない話をしたくなる。
何かあったとき、最初に話したいと思う。
その小さな積み重ねこそが、
やがて、
「愛している」
という大きな言葉よりも確かなものになっていくのかもしれません。
結婚相談所の仮交際とは、
恋愛を急ぐ仕組みではありません。
むしろ反対です。
**愛を急がず、人を知るための仕組みです。**
そして同時に、
相手を知りながら、
自分自身を知る期間でもあります。
何を大切にしているのか。
どんな人といると安心するのか。
どんな言葉に心が温かくなるのか。
どんな生活を送りたいのか。
どんな自分でいたいのか。
婚活の本当の意味は、
条件に合う人を探すことだけではありません。
一人の人と向き合う中で、
**「私はどんな人生を生きたいのか」**
を知っていくことでもあります。
仮交際の時間を、
「早く答えを出さなければならない期間」
にしないでください。
それは、
二人の心のテンポを確かめる時間です。
少し速ければ待つ。
少し遅ければ歩み寄る。
違う旋律が聞こえたら、耳を傾ける。
そして、
二つの異なる人生が、
いつか一つのハーモニーを奏でられるのかを確かめる。
結婚とは、同じ人間になることではありません。
違う二人が、
違うまま、
同じ方向を向いて歩いていくことです。
だからこそ仮交際では、
完璧な一致を探さなくていい。
必要なのは、
**違いを越えて、一緒に調和を作れる人かどうか。**
それを確かめることです。
もし今、
仮交際中の相手について、
「まだ好きか分からない」
と悩んでいる方がいるなら、
少し問いを変えてみてください。
「この人といる私は、どんな私だろう」
「もう少しこの人を知ってみたいだろうか」
「この人と話す時間を、もう一度持ちたいだろうか」
そして心のどこかで、
小さくでも、
「はい」
という声が聞こえるなら、
次のデートへ進んでみてください。
人生を変えるご縁は、
必ずしも華やかなファンファーレとともに現れるとは限りません。
ある日、
何気なく向かい合ったカフェのテーブルで。
帰り際の、
「今日は楽しかったです」
という一言の中で。
寒い日に、
「大丈夫ですか」
と差し出された気遣いの中で。
静かに、
ほとんど気づかないほど小さく、
始まっていることがあります。
その小さな音を聴き逃さないために、
仮交際という時間がある。
ショパン・マリアージュは、そう考えています。
結婚とは、
運命の人を一瞬で見抜くことではありません。
一人の人を、
時間をかけて知り、
理解し、
違いを受け入れ、
二人で関係を育てていくことです。
そして仮交際とは、
その長い物語の、
まだ名前もついていない最初の一章なのです。
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