夜、私たちは眠る。 一日の終わりに照明を落とし、時計の音だけが静かに残る。社会人としての役割も、婚活中の自分という肩書きも、「選ばれなければならない」という焦りも、「そろそろ結婚しなくては」という世間の声も、その瞬間だけはいったん遠ざかる。 しかし、人の心まで眠ってしまうわけではない。 むしろ、昼間には口を閉ざしていた心が、夜になるとひそかに語り始める。 見知らぬ駅。 昔住んでいた家。 なぜか会えない恋人。 遅れてしまう結婚式。 鳴らない電話。 扉の向こうにいる誰か。 何度探しても見つからない靴。 演奏しようとしても音が出ないピアノ。 目覚めた私たちは、それらを「変な夢だった」のひと言で片づける。 けれども、ジークムント・フロイトは、そこに人間の精神生活へ通じる重要な入口を見た。 彼にとって夢とは、夜の脳が生み出す無意味な映像ではなかった。 それは、意識の検閲が弱まったとき、普段は表面に現れにくい欲望、恐れ、葛藤、記憶が、姿を変えて現れる場所だったのである。
フロイトは夢を「無意識への王道」と考えた。 もちろん、今日の心理学や神経科学から見れば、フロイトの夢理論のすべてが科学的に証明されているわけではない。夢を必ず抑圧された欲望の表現だと断定することもできない。 それでもなお、彼の思想が現代の私たちに問いかけ続けるものがある。 それは、 「あなたは、自分の心について、本当にすべてを知っていますか」 という問いである。 婚活という営みほど、この問いが切実になる場面は少ない。 「優しい人がいい」 「安定した職業の人がいい」 「価値観の合う人がいい」 「会話が楽しい人がいい」 そう語っていた人が、実際に優しく安定した相手と出会うと、 「何か違うんです」 と言う。 逆に、 「もう振り回される恋愛は嫌です」 と言っていた人が、なぜかまた感情の起伏の激しい相手に惹かれてしまう。 そこには、プロフィール欄には書かれていない「もう一人の自分」がいる。 ショパン・マリアージュが婚活を単なる条件照合とは考えない理由も、ここにある。 結婚相手を探しているように見えて、人はしばしば、 「自分がどのような愛を求めているのか」 を探しているのである。
第1章 『夢判断』とは何だったのか――人間の心に地下室を発見した思想
フロイトの『夢判断』は、1899年に刊行され、書物上の刊行年は1900年とされた。 この一冊が与えた衝撃は、「夢には意味がある」と言ったことだけではない。 それ以前にも夢占いや夢の象徴解釈は存在していた。 フロイトの革新性は、夢を未来の出来事を予言するものではなく、 「夢を見る本人の過去と現在の心理を理解する資料」 として扱ったところにあった。 ここには婚活にも重要な転換がある。 たとえば、ある女性が、 「知らない男性と結婚式を挙げる夢を見ました。これは近いうちに結婚できるという意味でしょうか」 と尋ねたとする。 フロイト的な考え方では、答えは、 「そうとは限りません」 となる。 大切なのは、 「その夢の中で、あなたは何を感じていたのか」 という問いである。 嬉しかったのか。 怖かったのか。 相手の顔が見えなくて不安だったのか。 家族が喜んでいたのか。 逃げ出したかったのか。 同じ「結婚式の夢」でも、意味はまったく違う。 夢の意味は、夢の辞典には載っていない。 夢を見た人の人生の中にある。 この考え方は、ショパン・マリアージュのカウンセリングにも深く通じる。 私たちは、 「この条件なら相性がいい」 と機械的に断定するのではなく、 「なぜ、その条件があなたにとって大切なのですか」 と問いかける。 「年収600万円以上」という条件の裏に、 「子どもの頃、家計が不安定だったので、お金のことで家族が争う家庭にはしたくない」 という記憶があるかもしれない。 「絶対に穏やかな人」という希望の奥に、 「父が怒鳴る人だった」 という経験があるかもしれない。 逆に、 「引っ張ってくれる人がいい」 という希望の背後に、 「自分で決断すると失敗する気がする」 という不安が潜んでいることもある。 条件とは、ときに無意識の物語が表面化したものである。 だからショパン・マリアージュでは、条件を否定しない。 しかし、条件の奥にある「心の理由」を一緒に考える。 ピアノの音が鍵盤だけで生まれているのではなく、その下に張られた弦、響板、ハンマー、空間全体によって生まれるように、人の恋愛観も表面的な希望だけでできているわけではない。
第2章 意識と無意識――「私はこう思っている」の下にあるもの
人間は、自分の考えていることを自分で分かっていると思っている。 しかしフロイトは、そこに疑問を投げかけた。 私たちの精神活動の大部分は、自分でも直接には気づいていない領域に支えられているのではないか。 それが「無意識」という考え方である。 これは婚活の現場では非常に分かりやすい。 35歳の女性、仮に美咲さんとしよう。 彼女は結婚相談所に入会したとき、こう語った。 「私は優しい人と穏やかな家庭を築きたいです。刺激的な恋愛はもう十分です」 ところが、お見合いで会う誠実な男性には心が動かない。 一方、返信が遅く、予定も曖昧で、少し気まぐれな男性には妙に惹かれる。 頭では、 「こういう人はやめた方がいい」 と理解している。 それでも気になる。 ここで、 「あなたは見る目がない」 と言っても何も解決しない。 なぜなら、問題は意志の弱さではないからである。 カウンセリングを重ねるうちに、美咲さんは思い出した。 父親は仕事が忙しく、家庭にはあまりいなかった。 たまに早く帰ってくると、とても優しかった。 幼い美咲さんにとって父親の愛情は、 「いつ来るか分からないもの」 だった。 待って、待って、ようやくもらえる愛情。 その記憶が、愛についての感覚を形づくっていた可能性がある。 いつでも穏やかに連絡をくれる男性は安心できる。 しかし、心のどこかでは、 「愛とは待つもの」 「愛とは不安の後に訪れるもの」 という古い感覚が残っている。 だから、安定した相手に対して、 「何か物足りない」 と感じる。 この場合、「物足りない」という感情は、相手の魅力不足を意味しているとは限らない。 むしろ、 「慣れ親しんだ愛のパターンが再現されていない」 という可能性がある。 ここで夢判断的な視点が役立つ。 美咲さんはある夜、駅のホームで列車を待つ夢を見た。 何本も電車が来る。 しかし彼女は、 「私の乗る電車ではない」 と思って見送る。 やがて最終列車も去る。 それでも彼女はホームに残って、 「きっと次が来る」 と待ち続けていた。 この夢を、 「婚期を逃す暗示」 などと読む必要はない。 大切なのは、美咲さん自身の連想である。 彼女は夢について話しながら、 「私はずっと、来ない人を待つ癖があるのかもしれません」 と言った。 それは夢が未来を予言したのではない。 夢を語ることによって、彼女自身が自分の心に気づいたのである。 これこそ、夢を婚活に生かすときの最も重要な姿勢である。
第3章 夢の顕在内容と潜在内容――見えている物語と、その下の感情
フロイトは夢を理解するとき、 「顕在夢内容」 と 「潜在夢思想」 を区別した。 簡単に言えば、顕在内容とは、 「夢の中で実際に見たストーリー」 である。 潜在内容とは、 「その夢に結びついている感情や願望、葛藤」 である。 たとえば、 「結婚式に遅刻する夢」 を見る。 顕在内容だけを見れば、 「結婚式に遅刻した」 というだけだ。 しかし、そこから何を連想するかは人によって違う。 ある人は、 「置いていかれる怖さ」 を感じる。 別の人は、 「結婚そのものから逃げたい気持ち」 を感じる。 また別の人は、 「親の期待に応えられない不安」 を感じる。 ここが非常に大切である。 夢判断を夢占いにしてはいけない。 夢に現れる「海は母親」「家は自分」「蛇は性的象徴」といった固定的対応表で人の人生を解釈してしまえば、その人固有の物語を失ってしまう。 ショパン・マリアージュの婚活支援も同じである。 「35歳女性ならこう考える」 「40代男性ならこういう心理だ」 という一般論だけでは、人は理解できない。 同じ35歳女性でも、 これまで恋愛経験がほとんどない人と、 長年の交際を終えた人と、 離婚経験がある人とでは、 結婚という言葉の響きは違う。 ショパンの同じノクターンでも、演奏者によって「間」の意味が変わる。 楽譜は同じでも、人生が違えば音は違う。 夢も同じである。
第4章 夢は「願望充足」なのか――愛されたいという静かな願い
フロイトの夢理論で最も有名な考えの一つが、 「夢は願望充足である」 という命題である。 もちろん、すべての夢が単純な願望の実現に見えるわけではない。 怖い夢もある。 失敗する夢もある。 別れる夢もある。 しかしフロイトは、それらの背後にも複雑な心理的願望が隠れている可能性を考えた。 婚活に置き換えてみよう。 39歳の男性、健一さんは、交際中の女性から断られる夢を繰り返し見ていた。 夢の中で女性は言う。 「あなたとは結婚できません」 健一さんは目覚めるたびに不安になった。 「これは彼女と別れる予兆でしょうか」 と尋ねた。 もちろん、そうではない。 夢は未来を知らせるものではない。 カウンセリングで話を聞くと、健一さんは交際が順調になるほど緊張していた。 「今まではどうせ駄目だと思えたんです。でも今回は、うまくいくかもしれない。それが怖い」 興味深い言葉だった。 人は不幸だけを恐れるのではない。 幸福を恐れることもある。 なぜなら、手に入れた幸福には、 「失う可能性」 が生まれるからである。 最初から何も持たなければ、失うものもない。 しかし本当に愛する人ができれば、 「失いたくない」 という新しい恐怖が生まれる。 そこで心の一部は、 「振られてしまった方が楽だ」 と考えることさえある。 もちろん、本人はそんな願望を意識していない。 だが、 「先に失敗してしまえば、不安から解放される」 という心理的な願いが存在することはある。 健一さんの夢は、 「彼女があなたを振ります」 という予言ではない。 むしろ、 「本気で好きになってしまったからこそ、失うことが怖い」 という感情に気づかせる入り口だった。 彼はやがてこう言った。 「今まで僕は、結婚できないことが怖いと思っていました。でも、本当は結婚できそうになることも怖かったんですね」 人の心とは不思議なものである。 望んでいた扉が開き始めたとき、その向こうへ進む勇気が必要になる。
第5章 夢の仕事――心はなぜ本音を変装させるのか
フロイトは、潜在的な心理内容がそのまま夢に現れるのではなく、さまざまな変形を受けると考えた。 これを「夢の仕事」と呼んだ。 代表的なものとして、 「圧縮」 「置き換え」 「表象可能性」 「二次加工」 などがある。 婚活に引き寄せて考えると、この概念は非常に示唆的である。 私たちは日常生活でも、本当の気持ちをそのまま口にできない。 「寂しい」 と言えず、 「忙しい」 と言う。 「傷ついた」 と言えず、 「別に気にしていません」 と言う。 「もっと会いたい」 と言えず、 「都合が合えばまた」 と言う。 「あなたを好きになってきた」 と言えず、 「まだ分かりません」 と言う。 夢だけではない。 人間の心そのものが、しばしば変装するのである。 婚活とは、この「変装した感情」を丁寧にほどいていく営みでもある。
第6章 圧縮――一人の相手に、何人もの記憶を重ねてしまう
フロイトが指摘した夢の特徴の一つに「圧縮」がある。 夢の人物が、一人でありながら複数の人物の特徴を持つ。 顔は母親なのに、声は昔の恋人。 職場の上司なのに、服装は父親。 夢の世界では、いくつもの記憶が一つの像に凝縮される。 実は恋愛にも似たことが起きる。 私たちは目の前の相手だけを見ているつもりで、過去の人々を重ねて見ることがある。 32歳の女性、奈緒さんは、お見合いで出会った男性に強い違和感を持った。 「とてもいい方なのですが、話していると圧迫感を感じるんです」 男性は穏やかだった。 声を荒らげることもない。 質問も丁寧だった。 なぜ圧迫感があるのか。 奈緒さん自身にも分からなかった。 数日後、彼女は夢を見た。 学校の教室で、教師から答案用紙を返される。 点数は98点。 教師は、 「あと2点だったのに」 と言う。 夢について話しているうちに、奈緒さんは父親のことを思い出した。 子どもの頃、90点を取っても、 「なぜ100点ではないんだ」 と言われた。 そして、お見合い相手の男性が質問するとき、語尾に、 「なるほど。それで?」 と言う癖があった。 男性自身には批判の意図などなかった。 しかし、その言葉のリズムが父親を思い出させていた。 奈緒さんは、目の前の男性を見ながら、無意識のどこかで父親に会っていたのである。 ここで重要なのは、 「だからその男性と交際すべきだ」 でも、 「父親が原因だから違和感は無視すべきだ」 でもない。 ただ、 「今感じている感情の一部には、過去の記憶が混ざっているかもしれない」 と気づく。 それだけで判断の自由度は大きくなる。 人は、原因の分からない感情には支配されやすい。 しかし、 「これは今の人への反応だけではないかもしれない」 と気づくと、少し距離を取って考えられるようになる。
第7章 置き換え――本当に怖いものを、別の問題にすり替える心
夢の仕事には「置き換え」もある。 本来強い感情が向けられている対象から、別の対象へ感情が移される。 婚活では、この置き換えが実に頻繁に起こる。 たとえば交際中、 「相手の食べ方がどうしても気になる」 「服装が少し古い」 「LINEに絵文字が少ない」 「店を選ぶセンスが微妙」 という理由で急に気持ちが冷める。 もちろん、本当に価値観が合わないこともある。 だが、ときには別の問題が隠れている。 41歳の女性、佳代さんは、真剣交際を考えていた男性について突然、 「靴がどうしても気になる」 と言い始めた。 手入れはされている。 汚れているわけでもない。 しかし、 「形が好きではない」 という。 カウンセリングで、 「その靴を見ると、どんな気持ちになりますか」 と尋ねた。 佳代さんはしばらく黙った。 そして、 「生活感があるんです」 と言った。 さらに話を続けると、 「本当に結婚したら、毎日一緒に暮らすんですよね」 という言葉が出た。 問題は靴ではなかった。 靴が象徴していたのは、 「現実の結婚生活」 だったのである。 恋愛は美しい部分だけを見せることができる。 しかし結婚すれば、 洗濯物がある。 寝癖がある。 食器がある。 病気になる。 疲れて帰る日がある。 収入や家事や親の介護について話す日も来る。 つまり、結婚とは愛が日常になることである。 佳代さんは結婚したかった。 しかし同時に、 「ロマンティックな関係が日常生活に変わってしまうこと」 を恐れていた。 そこで心は、巨大な不安を、 「靴が好きではない」 という小さな問題へ置き換えていたのかもしれない。 ショパン・マリアージュでは、このようなとき、 「そんなことは気にしない方がいい」 とは言わない。 小さな違和感を馬鹿にしてはいけない。 そこには大切な感覚がある。 ただし、 「その違和感の向こう側には何がありますか」 と一緒に考える。 婚活では「違和感を信じろ」とよく言われる。 それは半分正しい。 しかしもう半分、 「違和感を理解せよ」 とも言う必要がある。
第8章 夢と「昼間の残りかす」――一日の小さな出来事が心の深部へ触れるとき
フロイトは、夢には直近の日常経験、いわゆる「昼間の残滓」が取り込まれることが多いと考えた。 昼間には何でもなかった出来事が、夜になると不思議な形で夢に現れる。 婚活でも同じことが起こる。 デートで相手が何気なく言った一言。 「結婚したら、できれば共働きがいいですね」 本人は軽く言っただけかもしれない。 しかし、その夜、 自分一人で大量の荷物を運ぶ夢を見る。 なぜか誰も助けてくれない。 目覚めて、 「変な夢だった」 と思う。 けれども、その夢について考えてみると、 「結婚したら仕事も家事も全部私が抱えることになるのではないか」 という不安があったことに気づく。 夢は相手の本心を教えてくれるわけではない。 だが、 「相手の言葉を私はどう受け止めたのか」 を教えてくれることがある。 ここに、婚活カウンセリングにおける夢の健全な使い方がある。 夢を証拠にしてはいけない。 「夢で浮気されました。だから彼は浮気します」 とは言えない。 しかし、 「なぜ私は浮気される夢を見て、これほど不安になったのだろう」 と考えることはできる。 夢は他人の秘密を暴く道具ではない。 自分の心を知る鏡なのである。
第9章 恋愛における反復――なぜ私たちは似た人を何度も好きになるのか
婚活相談の中で、非常によく聞く言葉がある。 「なぜか毎回、似たタイプの人を好きになるんです」 付き合う相手の職業は違う。 見た目も違う。 性格も違う。 しかし最終的には、 「私が相手を追いかける」 という形になる。 あるいは、 「最初はとても優しいのに、だんだん支配的になる人を選ぶ」 「好きになった人はいつも忙しい」 「結婚願望のない人ばかりに惹かれる」 なぜなのか。 フロイト以後の精神分析では、過去の関係性を現在の人間関係で無意識に反復する現象が重要視されてきた。 人は必ずしも「幸福なもの」だけを選ぶのではない。 「慣れているもの」を選ぶことがある。 たとえば、幼いころ、 親の顔色を読むことで家庭の平和を保っていた人がいる。 その人は大人になって、 「穏やかな関係がほしい」 と思う。 しかし、何でも話し合える対等な相手に会うと、なぜか落ち着かない。 一方、 「今日、機嫌が悪いのかな」 と気を遣わせる人といると、妙に恋愛感情が高まる。 なぜなら、 「相手の気持ちを読んで関係を維持する」 という役割が、あまりにも身体になじんでいるからである。 その人にとって愛は、 「安心するもの」 ではなく、 「頑張って維持するもの」 だった。 ここでショパン・マリアージュが重視するのは、 「好きになった相手が運命の人とは限らない」 という冷静さである。 強い感情は大切である。 しかし、 「なぜ私はこの人にこれほど強く惹かれるのか」 と自分に問いかけることも必要だ。 音楽でも、激しい和音が必ずしも美しい終止へ向かうとは限らない。 ドラマティックであることと、幸福であることは同義ではない。
第10章 ケース1――「結婚式なのに新郎が来ない」夢を繰り返す34歳女性
34歳の沙織さんは、婚活を始めて1年になる。 仕事は順調。 友人関係にも恵まれている。 結婚願望も強い。 しかし交際が3か月ほど続くと、なぜか自分から終わらせてしまう。 理由は毎回違った。 「会話が少し単調」 「休日の過ごし方が合わない」 「将来像がはっきりしない」 どれも完全な言いがかりではない。 しかし、何人と会っても同じ場所で止まる。 ある日、沙織さんが話した。 「最近、同じ夢を見るんです」 夢の中では、自分の結婚式の日。 白いドレスを着ている。 友人も家族も集まっている。 しかし新郎だけが来ない。 時計は進む。 式場スタッフが困っている。 沙織さんは、 「やっぱり来なかった」 と思う。 ここで重要なのは、 「新郎が来ない夢=結婚できない」 ではない。 「やっぱり来なかった」 という言葉に注目した。 なぜ「やっぱり」なのか。 沙織さんは少し考え、 「子どもの頃、父が約束を守らない人でした」 と話した。 運動会。 誕生日。 学校行事。 「行く」と言いながら、仕事を理由に来ない。 子どもの沙織さんは、 「今度こそ」 と待った。 しかし、期待すればするほど失望した。 やがて彼女は、 「期待しない方が傷つかない」 と学んだ。 大人になった沙織さんは結婚を望んでいる。 しかし心の深いところでは、 「大切な人は最後には来ない」 という感覚が残っている。 交際が深まり、 「この人なら結婚できるかもしれない」 と思い始めると、不安になる。 そして相手に欠点を探し始める。 自分から関係を終わらせれば、 「待って裏切られる」 経験をしなくて済む。 つまり、 「捨てられる前に、自分から離れる」 のである。 この構造に気づいた沙織さんは、次の交際で不安を感じたとき、 すぐに結論を出さないようにした。 「違和感がある」 と思ったら、 「これは今の相手の問題なのか。それとも、期待することへの怖さなのか」 と考えた。 数か月後、彼女は言った。 「以前は、相手を見極めているつもりでした。でも、実際には傷つかないために逃げ道を探していたのかもしれません」 婚活における自己理解とは、 自分を責めることではない。 自分の防衛を理解することだ。 過去の自分を守るために必要だった方法が、現在の幸福には必要なくなっていることもある。
第11章 ケース2――「閉まらないドア」の夢を見る42歳男性
42歳の直樹さんは、結婚相談所で活動を始めたものの、お見合い申し込みをほとんどしなかった。 プロフィールを何度も見る。 お気に入り登録する。 しかし申し込まない。 「もう少し考えてから」 が口癖だった。 ある夜、直樹さんは夢を見る。 自宅の玄関を閉めようとするが、ドアが閉まらない。 何度押しても、少し隙間ができる。 外には誰かが立っている。 顔は見えない。 直樹さんは恐怖を感じながら、必死にドアを閉める。 この夢について自由に話してもらうと、 「家に人が入ってくるのが嫌なんですよね」 という言葉が出た。 そこから話は結婚生活へ向かった。 直樹さんは長い独身生活を送ってきた。 一人の時間が好きだった。 誰にも干渉されない。 休日の予定も自由。 食事の時間も自由。 お金の使い方も自由。 「結婚したい」という思いは本物だった。 だが同時に、 「自分の生活に誰かが入ってくる」 ことへの恐怖もあった。 結婚願望と自由を守りたい願望。 二つは矛盾するようでいて、どちらも本心である。 婚活では、人はしばしば自分に単純さを要求する。 「結婚したいなら迷ってはいけない」 「好きなら会いたいはず」 しかし心は、そんなに単純ではない。 「近づきたい」 と 「逃げたい」 が同時に存在する。 フロイト的な視点は、この矛盾を異常とは考えない。 むしろ人間らしい心のあり方として考える。 直樹さんに必要だったのは、 「本当に結婚したいのか」 という二択ではなかった。 必要だったのは、 「結婚しても守りたい一人の時間は何か」 を具体化することだった。 週に1度、一人で過ごす時間。 書斎。 趣味。 友人との時間。 それらを結婚によってすべて捨てる必要はない。 結婚とは二人が完全に融合することではない。 二人が、二人のままで共に生きることである。 直樹さんは少しずつ申し込みを始めた。 「ドアを全部開ける必要はないと思ったら、怖くなくなりました」 と語った。 親密さとは、壁を全部壊すことではない。 必要な扉を、自分の意志で開くことなのである。
第12章 ケース3――「昔の恋人が夢に出てくる」37歳女性
37歳の真由さんは、誠実な男性と仮交際中だった。 相手には不満がない。 むしろ安心できる。 しかし最近、昔の恋人が頻繁に夢に現れる。 真由さんは不安になった。 「まだ元彼が好きなのでしょうか」 夢に昔の恋人が出るからといって、必ずしも復縁願望があるわけではない。 まず、 「夢の中の彼はどんな人ですか」 と聞く。 真由さんは答えた。 「実際の彼よりずっと自由な感じです。突然旅行に行こうと言ったり、夜中に車で迎えに来たり」 現実の元恋人は、むしろ無口な人物だったという。 つまり夢に登場していたのは、 「実在した元恋人そのもの」 ではない可能性が高い。 真由さんの中で、 「若さ」 「自由」 「予測不能」 「まだ何にでもなれた自分」 を象徴する人物になっていた。 真由さんは現在の交際について、 「安心できるけれど、結婚したら人生が決まってしまう気がする」 と言った。 彼女が恋しかったのは元恋人ではない。 「あの頃の自分」 だったのかもしれない。 結婚を前にすると、人は未来だけを見るのではない。 過去にも目を向ける。 独身生活の終わり。 若さの終わり。 「まだ何者にでもなれる」という可能性との別れ。 結婚には獲得だけでなく、小さな喪失がある。 それを認めることは、結婚への意志が弱いということではない。 人生の大きな選択には、選ばなかった道への哀惜が伴う。 ショパンの作品にも、幸福と哀しみが同じ旋律の中に共存する瞬間がある。 愛とは、過去を消して未来へ行くことではない。 過去を抱えたまま、新しい旋律へ進むことである。
第13章 ケース4――「試験に遅れる」夢を繰り返す婚活男性
45歳の聡さんは、婚活に強い焦りを持っていた。 周囲の同僚はほとんど結婚している。 親からも、 「そろそろ」 と言われる。 相談所に入会すると、彼は非常に熱心に活動した。 毎週お見合いを入れる。 デートの反省点をノートに書く。 服装も会話も研究する。 一見すると理想的な会員である。 しかし疲れていた。 彼がよく見る夢は、 「試験会場へ向かうが、時間に間に合わない」 というものだった。 電車を乗り間違える。 筆記用具がない。 教室が見つからない。 やっと着くと試験は終わっている。 夢の話から、 「婚活って、僕にとって試験なんですね」 と彼自身が気づいた。 「合格しないと人生失格みたいな感じがします」 婚活を試験にすると、すべての出会いが評価になる。 相手の笑顔を見ても、 「好印象だっただろうか」 質問されても、 「正解を言わなければ」 デート後も、 「何点だったか」 を気にする。 しかし結婚とは入学試験ではない。 相手から100点をもらうことではない。 二人で一緒に暮らせるかを確かめる営みである。 聡さんには、 「評価される婚活」 から 「関係を作る婚活」 への転換が必要だった。 次のお見合いでは、 「好かれようとする代わりに、相手を一つ知る」 という目標を立てた。 すると、 「初めて会話をした気がします」 と笑った。 それまでは会話をしているようで、試験を受けていたのである。
第14章 婚活における「検閲」――言ってはいけないと思っている願い
フロイトは、無意識の内容がそのまま意識に上がらない背景に「検閲」の働きを想定した。 現代的に言い換えれば、 人には、 「こんなことを思ってはいけない」 と自分自身に禁じている気持ちがある。 婚活では非常に多い。 「本当は専業主婦になりたいけれど、今どきそんなことを言ったら駄目ですよね」 「本当は子どもを望んでいないのですが、相談所では不利でしょうか」 「本当は年下の女性が好きです。でも言うと嫌な人と思われそうで」 「本当は収入より、一緒にいて落ち着く人を選びたい。でも親が反対しそう」 「本当は結婚より恋愛がしたいのかもしれない」 「本当は一人でいることも好きです」 こうした気持ちを否定すると、心は別の形で訴える。 夢もその一つかもしれない。 大切なのは、その願いをすぐ実行することではない。 まず、 「私はそう感じている」 と認めることである。 欲望を認識することと、欲望のまま行動することは違う。 むしろ自分の願いを知らない人ほど、その願いに振り回される。 自分の中にあるものを知る。 そのうえで、 「私はどう生きたいのか」 を選ぶ。 成熟とは欲望を消すことではない。 欲望と対話できるようになることである。
第15章 「いい人なのに好きになれない」の背後にあるもの
婚活で最も苦しい言葉の一つが、 「いい人なのですが、好きになれません」 である。 これは決して軽視してはいけない。 恋愛感情を強制することはできない。 しかし、この言葉が出たときに一度だけ考えてみたい。 「好きになれない」のか。 それとも、 「好きになるのが怖い」のか。 二つはよく似ている。 しかし意味はまったく違う。 38歳の由美さんは、ある男性について、 「本当にいい人です。でもドキドキしない」 と言った。 そこで、 「もしその男性から明日、交際終了を告げられたらどう感じますか」 と尋ねた。 由美さんは即座に、 「かなりショックだと思います」 と答えた。 興味深い。 好きではないはずなのに、失うとショックを受ける。 さらに話すと、由美さんは、 「相手が私を大切にしてくれるほど怖くなる」 と言った。 過去の恋愛で、突然別れを告げられた経験があった。 「もうあんな思いはしたくない」 そのため、 相手を好きになる前に、 「好きではない」 という結論を出そうとしていた。 もちろん、すべての「好きになれない」が防衛ではない。 単純に相性が合わない場合も多い。 重要なのは、 「感情を疑え」 ということではない。 感情をもう一段深く聴くことだ。 ショパンの演奏で、表面の旋律だけを弾いても作品にならない。 左手の和声がある。 内声がある。 ペダルによる残響がある。 恋愛感情にも内声がある。
第16章 親密さへの抵抗――愛されたいのに、近づかれると逃げたくなる
人間には、 「誰かと深くつながりたい」 という願いがある。 しかし同時に、 「誰かに深く知られるのが怖い」 という気持ちもある。 これを理解しないと、婚活で不思議な行動が起きる。 出会いがないときは、 「誰かと出会いたい」 と願う。 お見合いが決まると不安になる。 交際が始まると嬉しい。 相手が好意を示すと急に冷める。 距離を置かれると追いかけたくなる。 近づくと離れる。 離れると近づきたくなる。 心の振り子である。 フロイトの理論をそのまま現代のすべてのケースに当てはめる必要はないが、 「人間の行動には、本人にも完全には分からない葛藤がある」 という洞察は今も重要である。 ショパン・マリアージュでは、 「なぜそんな矛盾したことをするのですか」 と責めるのではなく、 「近づいたとき、何が怖くなりますか」 と考える。 「嫌われること」 「自由を失うこと」 「期待に応えられないこと」 「素の自分を知られること」 「幸せになった後に失うこと」 理由は人によって違う。 親密さとは、距離ゼロになることではない。 安全な距離を二人で調整できることだ。
第17章 夢の中の家――結婚とは「誰を家に入れるか」という問題でもある
夢には家がよく登場する。 精神分析的伝統では家を自己の象徴として読むこともあるが、固定的に決めつける必要はない。 ただ、婚活において「家」というイメージは興味深い。 結婚とは、 相手を人生という家に招き入れることでもある。 40歳の女性、理恵さんは、 古い大きな家に一人で住む夢を見た。 部屋がたくさんある。 使っていない部屋もある。 ある日、廊下の奥に見知らぬ扉を発見する。 怖くて開けられない。 この夢について話しながら、 「私、自分のことを全部知られるのが怖いのかもしれません」 と彼女は言った。 理恵さんは仕事では明るく有能な女性だった。 婚活でも、 「話しやすいですね」 と言われる。 しかし、自分の弱い部分を話すことが苦手だった。 寂しいと言えない。 不安と言えない。 疲れたと言えない。 頼れない。 「重い人だと思われるのが怖い」 からである。 しかし結婚生活で、一生「感じのいい人」を演じ続けることはできない。 結婚とは、 人生のきれいな客間だけを見せることではない。 散らかった部屋も、 まだ整理できていない部屋も、 本人さえ忘れていた部屋も、 少しずつ共有していくことである。 もちろん、初対面ですべてを話す必要はない。 秘密を持つ自由もある。 しかし、 「弱さを見せたら愛されない」 という信念を持っていると、親密さは育ちにくい。 人は完璧だから愛されるのではない。 不完全なまま安心していられる関係の中で、愛は深くなる。
第18章 夢の中のピアノ――「音が出ない」という婚活女性の夢
ショパン・マリアージュらしい事例を一つ挙げたい。 33歳の女性、亜紀さんはピアノ経験者だった。 お見合いでも会話は上手。 プロフィールも魅力的。 しかし、 「本当の自分を出せない」 という悩みを抱えていた。 ある夜、演奏会の夢を見る。 舞台に出る。 満員の客席。 ショパンのノクターンを弾こうとする。 しかし鍵盤を押しても音が出ない。 何度弾いても無音。 客席だけがこちらを見ている。 この夢について話すと、 「婚活そのものですね」 と彼女は笑った。 「ちゃんとしなきゃと思うほど、何を話していいか分からなくなるんです」 亜紀さんはデート前に、 好かれる服装、 好かれる話題、 好かれる返答、 好かれる笑顔を準備していた。 つまり「演奏」はしている。 しかし自分の音が出ていなかった。 そこで次のデートでは一つだけ、 「自分が本当に好きなことを話す」 と決めた。 彼女は休日に一人で古い喫茶店を巡るのが好きだった。 以前なら、 「地味だと思われそう」 と隠していた趣味である。 しかし話してみると、相手の男性が、 「僕も古い建物が好きです」 と言った。 そこから会話が広がった。 亜紀さんは後に、 「会話が上手くいったというより、初めて音が出た感じでした」 と表現した。 婚活とは演奏会に似ている。 上手に弾こうとしすぎると、音楽を失う。 人に評価されようとしすぎると、自分を失う。 ショパンの作品が人の心を打つのは、間違いがないからではない。 そこに、演奏者の呼吸があるからである。
第19章 夢の解釈で最も大切な「自由連想」――答えを教えないカウンセリング
フロイトの夢分析で重要なのが自由連想である。 夢の中の一つの場面について、 「そこから何を思い出しますか」 「どんな人が浮かびますか」 「どんな感情がありますか」 と、本人の連想をたどっていく。 ここに、ショパン・マリアージュのカウンセリングに応用できる重要な姿勢がある。 カウンセラーが答えを教えすぎないことである。 たとえば、 会員が、 「海の夢を見ました」 と言ったとする。 そこで、 「海は母性の象徴です」 などと断定する必要はない。 むしろ、 「あなたにとって海はどんな場所ですか」 と聞く。 すると、 「父と釣りに行った場所です」 と言うかもしれない。 別の人なら、 「元恋人と別れた場所」 かもしれない。 ある人にとって海は自由。 別の人にとって海は恐怖。 夢の意味は個人史の中にある。 婚活も同じだ。 「あなたにとって結婚とは何ですか」 と尋ねる。 ある人は、 「安心できる家族」 と言う。 ある人は、 「社会人としての完成」 と言う。 ある人は、 「一人ではないこと」 と言う。 ある人は、 「自由を失うこと」 と言う。 同じ「結婚したい」という言葉でも、内側の意味は違う。 優れたカウンセリングとは、答えを与えることではない。 その人が、自分の答えを聞ける静けさをつくることである。
第20章 転移――目の前の相手に、昔の誰かを重ねる
フロイトの精神分析において「転移」は非常に重要な概念である。 過去の重要人物に向けていた感情を、現在の別の人物へ向ける現象である。 これは恋愛でも起きる。 「なぜかこの人だけは許せない」 「初めて会ったのに、昔から知っている気がする」 「理由はないけれど安心する」 そのすべてを転移で説明することはできない。 しかし、 目の前の人への感情の一部に、過去の記憶が混ざることは珍しくない。 43歳の男性、修一さんは、 お見合い相手の女性が、 「旅行が好きです」 と言った瞬間、急に不快になった。 「浪費しそう」 と思ったという。 しかし女性は年に1、2回旅行する程度だった。 なぜそれほど反応したのか。 話していくと、修一さんの母親が家計を顧みず買い物する人だったことが分かった。 幼い彼は、 「お金を使う女性」 に不安を感じるようになっていた。 相手女性の旅行好きそのものより、 母親の記憶が反応していた可能性がある。 ここでも大切なのは、 「その女性と交際すべき」 と結論づけることではない。 「自分の反応のどこまでが現在で、どこからが過去なのか」 を考えることである。 人間関係では、二人だけが会っているようで、実は心の中には大勢の人がいる。 父。 母。 元恋人。 学校の先生。 かつて自分を否定した人。 かつて愛してくれた人。 そうした記憶を連れて、私たちは出会う。 結婚とは、二人の人生史が出会うことでもある。
第21章 「相手の問題」に見えて、実は「自分の恐れ」であるとき
婚活では、相手を評価する言葉が増える。 「話がつまらない」 「積極性がない」 「頼りない」 「優しすぎる」 「リードしてくれない」 もちろん、本当に相性が合わない場合もある。 しかし一度、 「その特徴が、なぜ自分にこれほど強く響くのか」 を考えることには価値がある。 36歳の女性、麻衣さんは、 「優柔不断な男性は絶対に嫌」 と言っていた。 理由を尋ねると、 「頼りないから」 という。 さらに聞くと、 母親が非常に決断力の強い人だった。 服も進学先も就職先も、母親が決めた。 麻衣さんは、 「自分で決めなくていい生活」 に慣れていた。 彼女が求めていた「決断力のある男性」は、 単に頼もしい男性というだけでなく、 「自分の代わりに人生を決めてくれる人」 でもあった。 そこに気づくと、 「私は男性にリードしてほしいのではなく、自分で決めるのが怖かったのかもしれません」 と言った。 自己理解とは、希望条件を捨てることではない。 「なぜそれを求めているのか」 を知ることである。 理由を知ったうえで求める条件は、以前より自由である。
第22章 婚活の夢に現れやすい8つのテーマ
夢に「この象徴が出ればこの意味」と決めることはできない。 しかし婚活中の相談を考えるうえで、問いを深めやすいテーマは存在する。
1 遅刻する夢 「間に合わない」という感覚。 年齢への焦り。 周囲から取り残される不安。 あるいは「その場所へ行きたくない」という抵抗。 問いは、 「何に間に合わせなければならないと感じていますか」 である。
2 相手が来ない夢 見捨てられる恐れ。 約束への不信。 期待して傷つくことへの怖さ。 「待つ」という人生経験との関連。
3 逃げる夢 結婚から逃げたいとは限らない。 評価。 親の期待。 責任。 親密さ。 何から逃げている感覚なのかを考える。
4 元恋人の夢 復縁願望とは限らない。 その時代の自分。 失われた若さ。 自由。 当時の感情。 未完了の悲しみ。 現在の恋愛との比較。
5 結婚式の夢 幸福だけでなく、 注目される怖さ。 人生が決まる感覚。 家族への責任。 社会的な「結婚すべき」という圧力。
6 家の夢 安心。 プライバシー。 家族観。 過去の家庭。 誰かを人生に入れることへの思い。
7 乗り物の夢 人生の方向。 自分が運転しているのか。 誰かに運転されているのか。 どこへ向かっているのか。
8 声が出ない、音が出ない夢 自己表現への不安。 評価される怖さ。 「本当の自分を見せたら嫌われる」という恐れ。 ただし、これらは解釈の答えではない。 あくまで問いの入口である。
第23章 夢日記を婚活に生かす方法――「解釈」より「感情」を記録する
夢に興味を持った人に勧めたいのは、夢占いの本を買うことではない。 小さなノートを一冊用意することである。 枕元に置き、目覚めた直後に書く。 記録するのは次の5点で十分だ。 1. 何が起きたか 2. 誰がいたか 3. どんな感情だったか 4. 前日に印象に残った出来事 5. 夢から最初に連想したこと たとえば、 「駅で誰かを待つ。来ない。寂しい。昨日、交際相手から返信がなかった。父を思い出した」 これだけでもいい。 重要なのは、 「正しい夢解釈をする」 ことではない。 繰り返される感情に気づくことである。 夢は毎回違っても、 「待っている」 が続く。 あるいは、 「追いかける」 が続く。 「隠れる」 が続く。 「試験を受ける」 が続く。 すると、 「私は恋愛になると、いつも評価される側にいる気がする」 と気づくかもしれない。 それは婚活に非常に役立つ自己理解になる。
第24章 夢を相手への疑惑に使ってはいけない
ここは強調しておきたい。 夢分析は、相手を裁く材料ではない。 「彼が浮気する夢を見た」 から、 「彼は浮気している」 とは言えない。 「彼女が去る夢を見た」 から、 「彼女は別れようとしている」 とも言えない。 夢が教えてくれる可能性があるのは、 「私は浮気されることをどれほど怖がっているのか」 「私は別れをどれほど恐れているのか」 という、自分側の感情である。 この違いは非常に大きい。 夢を他人の秘密を知る道具にすると、人間関係は疑心暗鬼になる。 夢を自分の心を聴く道具にすると、対話が始まる。 「あなたが浮気している気がする」 ではなく、 「最近、あなたを失うことが少し怖くなっている」 と言える。 後者の方が、はるかに親密な会話である。
第25章 ショパンの音楽と夢――言葉になる前の感情
なぜショパンの音楽は、これほど人の心に入り込むのだろう。
彼の作品には、言葉がない。
それなのに聴いていると、
懐かしい。
寂しい。
誰かに会いたい。
失ったものを思い出す。
まだ起きていない別れを予感する。
幸福なのに泣きたくなる。
説明できない感情が立ち上がる。
夢も似ている。
夢は論理的な文章ではない。
映像。
感覚。
断片。
声。
場所。
時間の歪み。
それらによって心を語る。
ショパンのノクターンを、
「この小節は悲しみを意味します」
と一義的に解釈できないように、
夢も固定した意味に還元できない。
大切なのは、
「この音を聴いたとき、あなたの心に何が起きるか」
である。
ショパン・マリアージュという名前に込めることのできる思想も、そこにある。
婚活とは、条件表だけでは聞こえない「内なる音」を聴くことである。
年齢。
年収。
職業。
身長。
学歴。
居住地。
それらは重要だ。
しかし人は、条件だけで恋をしない。
ほんの一言。
笑い方。
沈黙。
声の柔らかさ。
一緒に歩いたときの速度。
食事のあと、店員に言った「ありがとう」。
そうした小さな音から、
「この人となら暮らせるかもしれない」
という感覚が生まれる。
恋愛とは、論理だけでは書けない楽譜なのである。
***第26章 フロイトから学ぶ「自分に嘘をつかない婚活」***
『夢判断』から婚活に引き継ぐべき最大の教訓は、
「夢には必ず性的意味がある」
というような単純化ではない。
もっと根本的なことである。
それは、
「人間は自分自身についてさえ、完全には透明ではない」
という認識だ。
だから、
「私は絶対こういう人が好き」
と言っていても、違う人に惹かれることがある。
「結婚したい」
と言いながら、結婚に近づくと逃げたくなる。
「安定した人がいい」
と言いながら、不安定な人に夢中になる。
それを、
「私は矛盾している」
と責める必要はない。
人間とは矛盾を抱える存在だからである。
重要なのは、
その矛盾を隠すのではなく、理解することである。
私は結婚したい。
でも自由も失いたくない。
私は愛されたい。
でも傷つきたくない。
私は相手に近づきたい。
でも拒絶されたくない。
私は穏やかな家庭がほしい。
でも刺激のある恋にも惹かれる。
その全部が自分である。
成熟した婚活とは、
「矛盾のない人間になること」
ではない。
矛盾を抱えたまま、自分にとって何を大切にするか選べるようになることだ。
***第27章 カウンセラーとの対話例――夢から婚活の本音へ***
会員:
「昨日、彼に振られる夢を見ました。すごくリアルで怖かったです」
カウンセラー:
「夢の中で、一番強かった気持ちは何でしたか」
会員:
「悲しいというより、やっぱり、という感じでした」
カウンセラー:
「『やっぱり』という言葉が気になりますね。何か思い浮かびますか」
会員:
「昔の恋愛でも、最初はすごく優しかったのに突然別れたことがあります」
カウンセラー:
「今回の彼にも、同じことが起きる気がしていますか」
会員:
「はい。幸せなほど怖いです」
カウンセラー:
「彼に何か不信を感じる出来事がありますか」
会員:
「特にはないんです」
カウンセラー:
「だとすると、その夢は彼の未来を示しているというより、過去に傷ついたあなたの一部が、『また起きるかもしれない』と警戒している可能性がありますね」
会員:
「なるほど……」
カウンセラー:
「その怖さをなくす必要はないと思います。怖いままでも、現在の彼を現在の彼として見ていけるか。それが大切かもしれません」
この対話では、カウンセラーは夢を解釈していない。
会員本人が、自分の感情へ近づくための問いを置いている。
これが重要である。
***第28章 「運命の夢」を求める心理――決断を自分以外の何かに委ねたいとき***
婚活が長くなると、
人はときに「サイン」を求めたくなる。
夢。
偶然。
占い。
相性診断。
星座。
血液型。
「この人が運命の人だと分かる何かがほしい」
その気持ちは理解できる。
なぜなら結婚は大きな決断だからである。
絶対に失敗したくない。
だから、
「これは運命です」
と誰かに保証してほしくなる。
しかし成熟した結婚には、
保証のない世界で選ぶ勇気が必要である。
結婚前に相手の未来を100%知る方法はない。
10年後の自分さえ分からない。
それでも、
「この人となら問題が起きたときに話し合える」
「この人を大切にしたい」
「この人も私を大切にしようとしてくれている」
という現在の事実を積み重ねて選ぶ。
運命とは、最初から書かれた答えではなく、
二人が後から作っていく物語なのかもしれない。
***第29章 夢判断と現代心理学――フロイトを絶対化しないために***
ここで一度、冷静な距離を取る必要がある。
フロイトの『夢判断』は、心理学史上きわめて重要な作品である。
しかし現代の心理学や睡眠研究では、
「すべての夢は抑圧された願望の充足である」
という形で彼の理論がそのまま受け入れられているわけではない。
夢は、
記憶の整理、
感情処理、
睡眠中の神経活動、
日常の経験、
ストレス、
さまざまな認知的要因などと関連すると研究されている。
したがって、ショパン・マリアージュの婚活支援でフロイトを用いるなら、
「夢を科学的診断に使う」
のではなく、
「自己理解のための対話の素材にする」
ことが望ましい。
これは非常に重要な線引きである。
夢から、
「あなたは結婚恐怖症です」
「あなたは父親コンプレックスがあります」
などと断定してはいけない。
人の人生は、それほど簡単ではない。
夢は診断書ではない。
心が差し出してくる一枚のスケッチである。
そこから話を始めることはできる。
しかし、それだけで人生を決めることはできない。
***第30章 夢から始める10の自己対話***
婚活中に印象的な夢を見たなら、次の問いを自分に向けてみるとよい。
1. 夢の中で最も強かった感情は何だったか。
2. その感情を最近いつ感じたか。
3. 夢の登場人物から誰を連想するか。
4. その人物のどんな特徴が印象に残ったか。
5. 前日に何があったか。
6. 現在の交際で似た感情はあるか。
7. 過去の恋愛で似た感情はあったか。
8. 子どもの頃にも似た感情を経験したか。
9. 本当は誰に何と言いたいのか。
10. もし怖れがなければ、自分は何を選びたいか。
最後の問いは特に重要である。
婚活では、
「失敗しないために何を選ぶか」
ばかり考えてしまう。
しかし、
「怖れがなければ何を望むか」
と尋ねると、自分の願いが見えてくることがある。
***第31章 無意識を知ることは、過去に縛られることではない***
心理学の話をすると、
「結局、全部子どもの頃のせいなのですか」
と尋ねられることがある。
そうではない。
過去を知る目的は、過去に責任を押しつけることではない。
現在を自由にするためである。
自分がなぜ特定の人に惹かれるのか。
なぜ親密さが怖いのか。
なぜ相手の返信が少し遅いだけで不安になるのか。
その背景を知る。
すると、
「ああ、私はこう反応しやすいのだ」
と分かる。
反応と自分の間に、ほんの少し距離が生まれる。
その距離こそ自由である。
以前なら返信が3時間来ないだけで、
「嫌われた」
と思っていた。
しかし、
「私は待たされることに敏感なんだ」
と気づけば、
「でも、彼が嫌っているという証拠はない」
と考えられる。
無意識を知ることは、
「私はこういう人間だから仕方ない」
と諦めることではない。
「私はこう反応しやすい。だから次は少し違う選択ができる」
と知ることである。
***第32章 結婚とは、互いの無意識と暮らすこと***
結婚生活を考えると、フロイトの洞察はさらに深くなる。
結婚する二人は、
価値観だけを持ち寄るのではない。
癖。
記憶。
恐怖。
家族観。
愛情表現。
怒り方。
沈黙の意味。
お金の感覚。
助けを求める方法。
そうした、本人さえ完全には説明できないものを持ち寄る。
夫が帰宅すると無口になる。
妻は、
「怒っている」
と感じる。
しかし夫にとって沈黙は、
「安心している」
という意味かもしれない。
妻が、
「大丈夫」
と言う。
夫は、
「本当に大丈夫なのだ」
と思う。
しかし妻の家庭では、
「大丈夫」という言葉は、
「気づいてほしい」
という意味だったかもしれない。
結婚とは、二つの辞書をすり合わせる営みでもある。
だから相手を理解するとき、
言葉だけでは足りない。
「その人にとって、その言葉が何を意味するのか」
まで知る必要がある。
これは夢判断とよく似ている。
同じ夢の象徴でも人によって意味が違う。
同じ「大丈夫」でも人によって意味が違う。
愛とは、自分の辞書を相手に押しつけることではない。
互いの言葉の意味を学び続けることである。
***第33章 ショパン・マリアージュが考える「心を調律する婚活」***
ピアノは、どれほど高価でも、調律しなければ少しずつ音がずれる。
人の心も同じである。
傷ついた経験。
失恋。
親から受け取った価値観。
社会からの期待。
年齢への焦り。
周囲との比較。
それらによって、自分の本来の願いが聞こえにくくなることがある。
「本当は何を望んでいるのか」
より、
「何を望むべきか」
が大きくなる。
「どんな人といたいか」
より、
「どんな人を選べば失敗しないか」
が大きくなる。
「この人といるとどう感じるか」
より、
「この人は条件的に何点か」
を考える。
婚活カウンセリングの役割の一つは、
そのずれを調律することだ。
夢は、そのための一つの音叉になる。
夢を信じるのではない。
夢に耳を澄ます。
そこに響いている感情を聞く。
「私は怖かった」
「私は置いていかれたくなかった」
「私は本当は選ばれたかった」
「私は自由を失いたくなかった」
「私は安心したかった」
その声が聞こえたとき、婚活は少し変わる。
相手探しだけだった婚活が、
自己理解の旅になる。
***第34章 愛されるための婚活から、愛するための婚活へ***
婚活を始めると、多くの人が、
「どうすれば選ばれるか」
を考える。
プロフィール写真。
服装。
会話。
LINE。
デート。
もちろん、どれも大切である。
しかし、フロイト的な無意識への視点を持つと、もう一つの問いが生まれる。
「私はなぜ、これほど選ばれたいのだろう」
そこには、
「自分の価値を証明したい」
という願いがあるかもしれない。
親から十分に認めてもらえなかった人。
過去の恋人から振られた人。
周囲の結婚に焦っている人。
「結婚できれば、自分は大丈夫だと思える」
という気持ちを持つ人もいる。
しかし結婚は、自分の価値を証明する資格証ではない。
誰かに選ばれたから価値があるのではない。
むしろ成熟した婚活では、
「私はこの人を大切にしたいだろうか」
という問いが重要になる。
選ばれる人生から、
選ぶ人生へ。
評価される婚活から、
関係を育てる婚活へ。
そこに大きな転換がある。
***第35章 無意識の扉の前で――夢を知ることは、自分を知ること***
私たちは眠る。
そして夢を見る。
忘れてしまう夢。
何年たっても覚えている夢。
笑って目覚める夢。
涙を流して目覚める夢。
誰かを探す夢。
誰かから逃げる夢。
帰る場所を探す夢。
見知らぬ扉を開く夢。
夢の中で、人はときに昼間より正直である。
しかし夢が語る言葉は、そのままでは読めない。
象徴。
変形。
置き換え。
断片。
沈黙。
それらを通して、心は語る。
婚活もまた、よく似た旅である。
人は、
「結婚相手を探しています」
と言って相談所を訪れる。
けれども活動を続けるうちに、別の問いに出会う。
私は何を怖れているのか。
私はどんな愛を信じているのか。
私はなぜこの人に惹かれるのか。
私はなぜ幸せになる直前で逃げたくなるのか。
私は誰かを愛したいのか。
それとも、愛されることで自分の価値を確かめたいのか。
そして最後には、
「私はどんな人生を生きたいのか」
という問いへたどり着く。
フロイトの『夢判断』が100年以上読み継がれてきた理由の一つは、そこにあるのだろう。
夢についての本でありながら、
実は人間についての本だからである。
***終章 夜の心に耳を澄ませる――結婚とは二人で新しい夢を見ること***
ショパンのノクターンを想像してみたい。
夜。
静かな部屋。
最初の一音が鳴る。
その音は華やかではない。
しかし、耳を澄ますと、その後ろに幾つもの響きが聞こえる。
低音。
内声。
残響。
沈黙。
人の心も同じだ。
「結婚したい」
という一つの言葉の後ろには、無数の声がある。
「愛されたい」
「一人になりたくない」
「家庭を持ちたい」
「親を安心させたい」
「子どもがほしい」
「誰かと食卓を囲みたい」
そして同時に、
「傷つきたくない」
「自由を失いたくない」
「裏切られたくない」
「失敗したくない」
という声もある。
そのどれか一つが偽物なのではない。
すべてが私たちなのである。
フロイトが夢の向こう側に見ようとしたものは、
単なる欲望ではない。
自分自身でも知らなかった自分だった。
婚活でも、本当に大切なのは、
「理想の人を見つけること」
だけではない。
誰かと出会う過程で、
自分の心を知ることである。
なぜなら、自分の心を知らずに相手を選べば、
過去の恐れに相手を選ばせてしまうことがあるからだ。
反対に、
自分の恐れも、
願いも、
寂しさも、
矛盾も知ったうえで相手を選ぶなら、
その選択は以前より自由になる。
夢は未来を教えてくれない。
しかし、ときに、
「あなたは今、何を怖れ、何を願っているのか」
を考えるきっかけを与えてくれる。
その意味で夢は、無意識への扉である。
そして婚活とは、
その扉の向こうにいる自分自身と出会いながら、
誰かと共に歩く道を選んでいく営みなのかもしれない。
結婚とは、
完全な二人が出会うことではない。
それぞれが、
過去を持ち、
傷を持ち、
恐れを持ち、
言葉にならない願いを持ちながら、
それでも、
「あなたと生きてみたい」
と選ぶことである。
夜が深くなる。
一日の言葉が静まり、
夢が始まる。
そこには時として、
昼間の自分が聞こうとしなかった声がある。
その声に耳を澄ますこと。
拒絶せず、
慌てて意味を決めず、
ただ、
「これは私のどんな気持ちなのだろう」
と問いかけること。
ショパン・マリアージュが目指す婚活も、そこから始まる。
条件を整えるだけではない。
心を調律する。
相手を探すだけではない。
自分を知る。
選ばれることだけを願うのではない。
誰を愛し、
どのような人生を共に奏でたいのかを考える。
その先で、二人は初めて同じ鍵盤の前に座る。
片方が旋律を奏で、
もう片方が伴奏するのではない。
あるときは一人が支え、
あるときはもう一人が支える。
速くなる日もある。
立ち止まる日もある。
不協和音が響く夜もある。
それでも互いの音を聴こうとする。
その積み重ねが、
結婚という長い音楽になる。
フロイトの『夢判断』が開いた「無意識への扉」は、
決して暗い地下室だけへ続いているのではない。
そこには、
自分でも忘れていた願いがある。
愛されたい気持ちがある。
愛したい気持ちがある。
そして、
「今までとは違う愛し方を選んでもいい」
という可能性がある。
夢を読み解くことの最終目的は、
夢の意味を当てることではない。
自分の人生を、少し自由に生きられるようになることである。
婚活もまた同じだ。
「正しい結婚相手」を当てることではない。
自分の心を理解し、
目の前の一人を現実の一人として見つめ、
互いに選び合うこと。
そこから、
二人にしか奏でられない音楽が始まる。
夜の夢が無意識への扉ならば、
出会いは他者への扉である。
そして結婚とは、
その二つの扉を通った先で、
自分自身を失うことなく、
もう一人の人生と響き合っていくことなのだろう。
それは派手なファンファーレではない。
むしろショパンのノクターンのように、
静かで、
繊細で、
ときには寂しさを含み、
それでも不思議な温かさを残す音楽である。
人生の夜に、
隣で同じ静けさを聴ける人。
言葉にならない心の音にも、
耳を澄ませてくれる人。
そして自分もまた、
その人の心の音を聴こうと思えること。
もしかすると、
ショパン・マリアージュが考える「良い結婚」とは、
そのような二人が出会うことなのかもしれない。
夢から目覚めた朝、
昨日と同じ世界が窓の外にある。
しかし、自分の心を一つ知った人にとって、
その世界はもう、昨日とまったく同じではない。
そして婚活もまた、
そこから新しく始めることができるのである。
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