「人はなぜ結婚するのか」について筒井淳也教授の視点から

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序章 結婚という制度を問い直す


1. 結婚という「当たり前」を疑う
私たちは「結婚」という言葉を聞くと、当然のように一つのイメージを抱く。男女が出会い、恋愛を経て結ばれ、役所に婚姻届を出す。二人は「夫」と「妻」となり、同じ戸籍を共有し、生活を共にする。日本社会においては、このプロセスがいわば「正規ルート」として強く刷り込まれてきた。
しかし、この「当たり前」のように見える結婚像は、実は歴史的にも文化的にも非常に限定的な産物である。筒井淳也教授は、結婚を「自然な人間関係」ではなく「制度」としてとらえる視点を強調する。つまり、結婚とは本来、愛情や個人の感情から自動的に生まれるものではなく、社会が生き延び、秩序を維持するために構築した仕組みにほかならない。
このような視点から出発すると、「人はなぜ結婚するのか」という問いは単に心理学的・感情的に「愛しているから」という答えに収束するものではなくなる。むしろ、経済的・社会的・文化的な背景が複雑に絡み合い、人々を結婚へと導いてきた歴史が見えてくるのだ。


2. 「結婚=自然」ではなく「結婚=制度」
結婚は人類史において普遍的に存在してきたとしばしば考えられる。だが厳密に言えば、「結婚」という形態は文化ごとに異なる。ある社会では一夫多妻が許容され、別の社会では一夫一婦が強制される。日本の歴史を振り返れば、平安時代には「通い婚」が一般的であり、男性が女性の家を訪ねる形式が支配的だった。家父長制的な「家制度」が確立するのは、もっと後の時代である。
ここで浮かび上がるのは、「結婚」は自然な生物学的欲求の延長ではなく、社会が決めたルールの中で形作られた制度であるという事実だ。結婚の形は変わりうるし、変わってきた。だからこそ、現代に生きる私たちが「結婚」という制度を問い直すことには十分な意義がある。


3. 結婚が果たしてきた社会的役割
筒井教授の分析を踏まえれば、結婚が担ってきた役割は大きく三つに整理できる。
経済的役割:労働力の分担、財産の継承、生活の安定。
社会的役割:親族関係の形成、社会的ネットワークの構築、規範の維持。
文化的役割:性関係の統制、子どもの出生と養育の正当化。
例えば、農村社会では結婚は家と家をつなぐ「契約」であり、恋愛感情は二の次だった。結婚によって労働力が補強され、子どもを持つことで家の存続が保証された。近代国家においては、戸籍制度と結びつき、結婚は法的にも「正規の家族」を生み出す装置となった。
一方で現代社会においては、結婚の経済的・社会的必然性が薄れつつある。女性が労働市場で自立し、家事や育児が外部化される中で、結婚しなくても生きていける状況が広がっている。そうした環境変化の中で、「なぜ結婚するのか」という問いが再び浮かび上がっているのだ。


4. 個人化の時代と結婚の危機
現代社会はしばしば「個人化社会」と呼ばれる。個人が自らの人生を自由に設計し、選択できるようになった一方で、従来の規範的な人生コース(学業→就職→結婚→出産→老後)が崩れている。
筒井教授の議論に即せば、結婚は「個人化の時代」において二つの顔を持つ。
一方で、自由な個人の選択としての結婚。恋愛感情や自己実現の延長として、結婚を選ぶ。
他方で、依然として社会的圧力や文化的期待に基づく結婚。「結婚しないと一人前ではない」という規範が根強く残る。
この二重性は、結婚制度をめぐる混乱を生み出す。結婚を「選択」として尊重する社会でありながら、同時に「しないと不安」な空気が漂う。多くの若者がこの板挟みに苦しんでいる。


5. 具体的エピソード:結婚を「選ぶ」若者たち
ここで、婚活現場で見られる二つの典型的な事例を紹介したい。


事例A:経済的合理性を超えて「結婚」を求める男性
35歳の会社員男性は、すでに一定の収入があり、生活に困ることはない。しかし彼は「一人で食べる夕食の味気なさ」に耐えられず、結婚相談所に登録した。彼にとって結婚は「効率」や「生存」のためではなく、「人生を共に語り合う相手が欲しい」という感情的欲求の表れだった。


事例B:規範意識に押される女性
一方で、32歳の女性は「周囲の友人が次々と結婚していくことに焦りを感じている」と語った。彼女自身は独身でも十分に生活できるが、親からの「いつ結婚するの?」という問いに疲れ、婚活を始めた。彼女にとって結婚は「個人の選択」であると同時に、「社会的義務」としての色合いを帯びていた。
これらの事例は、結婚が「制度」であると同時に「感情」とも結びつく複雑さを示している。


6. 結婚を問い直す意義
結婚をめぐる議論では、しばしば「結婚するか/しないか」という二元論に陥りがちだ。しかし筒井教授の立場からすれば、重要なのは「結婚制度が社会にどのような影響を与え、またどのように変わってきたのか」を見極めることにある。
結婚を「制度」として相対化して眺めることで、私たちは「結婚すべきだからする」という盲目的な選択から解放される。結婚するにせよ、しないにせよ、その選択の背後には歴史的・社会的な背景があるのだと理解できる。
そして、この理解は私たちに「結婚とは何か」を改めて考え直す契機を与える。結婚が「愛」や「ロマン」に彩られた個人的物語であると同時に、社会の中で編まれた制度的枠組みであることを自覚すること――それこそが、現代において結婚を問い直す第一歩なのである。


7. 次章への橋渡し
こうして見てきたように、結婚は決して普遍的でも永遠でもなく、社会の要請や歴史的状況に応じて変化してきた制度である。では、その変遷のプロセスをもう少し掘り下げると、どのような必然性や合理性が結婚を支えてきたのだろうか。
次の第Ⅰ部では、歴史と制度の観点から結婚を捉え直す。農耕社会における結婚の意味、近代国家の成立とともに整備された法的枠組み、日本の「家制度」が果たした役割――そうした制度史をたどることによって、現代社会における結婚の揺らぎをより立体的に理解できるはずである。


第Ⅰ部 歴史と制度から見る結婚の必然性
1. 結婚を歴史の中に位置づける
「結婚は人類普遍の制度である」という言葉は、一見すると正しいように思える。古今東西を問わず、人は一定の関係を結び、共同生活を営んできた。しかし、社会学的に見れば「結婚」という枠組みは時代や文化によって大きく異なっており、普遍的なのは「性的関係や共同生活の社会的調整」という機能に過ぎない。
筒井淳也教授の議論に即せば、結婚を理解する上で鍵となるのは「制度化」である。つまり、人々の自然な欲求を超えて、社会が存続のためにルールを設け、そのルールを遵守することを強制する――そこに「結婚」という制度の必然性があった。


2. 農耕社会における結婚と生存戦略
狩猟採集社会においては、性関係や同居は比較的流動的だったとされる。しかし農耕が始まると、土地や収穫物といった「資産」が生まれ、それを次世代へと継承する仕組みが必要になった。この時点で「誰の子どもであるか」を明確にする必要が生じ、結婚制度が強固に形作られる。
日本でも、稲作農耕の定着に伴って「家」という単位が形成され、結婚は単なる個人の結びつきではなく「家と家をつなぐ契約」として機能するようになった。ここでは愛情よりも、労働力の確保や血統の維持が重視された。


事例:江戸時代の農村結婚
江戸期の村落では、結婚は村全体の承認を得て行われた。ある村の古文書には「田畑の相続のために娘を嫁がせた」という記録が残されている。つまり、結婚は個人の幸せよりも「家」の存続のために存在していたのである。
このように、農耕社会における結婚は「生存の合理性」に裏打ちされた制度だった。


3. 近代国家と法制度の中の結婚
19世紀後半、日本は明治維新を経て近代国家を形成していく。その過程で結婚制度も大きく変わった。明治民法(1898年施行)は「家」を単位とする家制度を規定し、結婚は家長の同意によって成立するものとされた。
ここで注目すべきは、結婚が「国家の管理装置」として組み込まれた点である。戸籍制度の導入により、結婚は国家が認定する唯一の正規な男女関係となり、婚外子は差別される対象となった。つまり、結婚制度は「誰が正統な家族か」を定義する枠組みとなったのである。


事例:明治期の「政略結婚」
明治期の上層階級では、政治的・経済的な利害を調整するために結婚が利用された。ある華族の家では、家の格式を維持するために「釣り合う」家同士での縁談が繰り返された。恋愛感情は二の次であり、むしろ「感情のない結婚」こそが社会的に安定した関係とされた。
この段階で、結婚は「国家の秩序維持」と「社会的ヒエラルキーの再生産」を担う制度としての必然性を持つに至った。


4. 戦後日本と「標準家族モデル」
1945年の敗戦後、日本は家制度を廃止し、民法は個人単位の「平等な婚姻」を掲げた。表面的には「個人の自由な意思による結婚」が可能になったように見える。しかし、戦後社会が形成したのはむしろ「新しい規範」としての「標準家族モデル」であった。
専業主婦とサラリーマンの夫、そして子ども二人という「核家族像」が、戦後の高度経済成長とともに国民的理想として浸透した。このモデルは経済成長を背景にした「性別役割分業」を制度化したものであり、夫婦の愛情だけではなく、国家の経済戦略によって支えられていた。


事例:団地に住む新婚夫婦
1960年代、多くの若い夫婦が団地に入居し、夫が外で働き、妻が家庭を守る生活を始めた。団地雑誌に掲載された新婚家庭の写真は、夫婦が仲睦まじく食卓を囲む姿を理想化して描いていた。しかし、その背後には「夫の安定収入」と「妻の家事労働」が前提条件として存在していた。
ここにおいても、結婚は個人の幸福というより、社会システムの安定に貢献する制度として必然化されていた。


5. 戦後から現代への移行と揺らぎ
1980年代以降、日本社会は大きな転換点を迎える。経済成長が鈍化し、女性の社会進出が進む中で、「専業主婦モデル」は揺らぎ始めた。結婚が必ずしも経済的合理性を保証しなくなり、離婚率も上昇した。
さらに、90年代以降の非正規雇用の拡大は「結婚できない若者」を生み出した。筒井教授の指摘によれば、結婚はかつて「誰もが当たり前にできる制度」から「一部の人がアクセスできる特権的制度」へと変化しつつある。


事例:非正規雇用の男性の声
40歳の非正規雇用男性はこう語る。「結婚したい気持ちはあるが、相手に安定を提供できないのではないかと不安で踏み出せない」。かつて結婚は「誰もが乗れる船」だったが、現代では「選ばれた人しか乗れない船」となりつつある。


6. 結婚の必然性をめぐるパラドックス
こうした歴史を振り返ると、結婚が制度として必然性を持ち続けてきたことは明らかだ。しかし同時に、その必然性は時代ごとに形を変えてきた。
農耕社会:家の存続と労働力維持
近代国家:戸籍制度による統治と秩序
戦後社会:経済成長と性別役割分業
現代社会:自己実現と「選択」としての結婚
つまり、結婚は「必然であるが、必然の理由は常に変化する」制度なのである。この変化こそが、結婚を問い直す上での重要な視点である。


7. 次章への橋渡し
結婚の歴史を俯瞰すると、それは社会の構造や経済の仕組みと密接に結びついていることが見えてくる。結婚は個人の感情や選択のみによって成立するのではなく、常に社会全体の要請を反映してきた制度であった。
では、現代社会において「結婚する合理性」はどこにあるのだろうか。愛だけでは説明できず、社会的必然性も揺らいでいる中で、人はなぜ結婚を選ぶのか。
次の第Ⅱ部では、「経済的合理性としての結婚」をテーマに、夫婦関係の分業、生活コストの共有、そして共働き社会における結婚の新たな意味を探っていく。


第Ⅱ部 経済的合理性としての結婚
1. 経済合理性という視点から結婚を見る
結婚を語るとき、多くの人はまず「愛」を思い浮かべる。しかし、社会学的な観点からは、結婚を経済的合理性の枠組みで捉えることが重要である。筒井淳也教授も指摘するように、結婚は長らく「生活を営むための合理的制度」として機能してきた。
経済学の言葉を借りれば、結婚は「取引コストの削減」「資源の共同利用」「リスクの分散」といったメリットを提供する制度である。これらの要素は愛や情熱といった感情を超えて、制度としての結婚を支えてきた。
では、具体的に結婚がどのように「経済合理性」として成立してきたのかを見ていこう。


2. 分業としての結婚
2-1. 性別役割分業の成立
経済学者ゲイリー・ベッカーは「家庭内分業論」において、結婚の本質を「効率的な分業」に見出した。彼の理論によれば、夫婦がそれぞれ異なる役割を担うことで、家庭全体としての効率が最大化される。
たとえば、夫が外で賃金労働を行い、妻が家事や育児を担当することで、それぞれが「比較優位」を発揮できる。この分業構造こそが結婚を合理的に成立させる基盤となった。


2-2. 日本における専業主婦モデル
戦後日本では、この分業モデルが「夫=稼ぎ手、妻=家庭」という形で制度化された。高度経済成長期においては、夫の収入だけで家計を維持できる環境が整い、妻は専業主婦として家庭に専念することが社会的に推奨された。
これは単なる慣習ではなく、経済的にも合理性を持っていた。家事・育児を妻が担うことで、夫は安心して長時間労働に従事でき、企業の成長と国家の発展につながったのである。


事例:団地妻の経済合理性
1960年代の団地生活を描いた雑誌記事には、「夫は夜遅くまで働き、妻は子どもを育て、隣人と助け合う」姿が美化されて紹介されている。当時の社会では、このモデルが最も効率的で安定的な家庭像とされていた。


3. 家計の共同化とスケールメリット
結婚は「生活コストの共有」という点でも合理的である。二人が別々に暮らすよりも、一緒に暮らしたほうが住居費・光熱費・食費などを削減できる。


3-1. 「二人で暮らすと安くなる」原理
社会学的に言えば、結婚は「規模の経済」を家庭に持ち込む制度である。たとえば、1人でアパートを借りれば家賃は6万円かかるが、2人で住めば一人当たり3万円で済む。光熱費や食費も同様である。


3-2. 日本の共働き夫婦の工夫
現代の共働き夫婦は、家計の共同化を通じて「お金の管理方法」を工夫している。例えば「財布を一つにまとめる夫婦」と「生活費だけを共同出費にする夫婦」に分かれる。いずれも生活コストの効率化を狙った合理的行動である。


事例:共働き夫婦の家計戦略
ある30代夫婦は、共働きで収入はほぼ同じ。家賃や生活費は折半し、残りは各自の趣味や貯蓄に充てる。この仕組みは互いの自立を保ちながらも、生活費の効率化を実現する経済合理性の表れだ。


4. リスク分散としての結婚
結婚は「人生のリスクヘッジ」としても機能する。病気や失業、老後の生活不安といったリスクを、二人で分担することができるからだ。


4-1. 社会保障制度と結婚
日本では、配偶者控除や遺族年金といった制度が結婚に紐づいている。結婚していることで、万一のときに保険的な機能が働く。これは国家レベルで設計された「結婚の経済的インセンティブ」と言える。


4-2. 老後のリスクと結婚
高齢化社会においては、結婚が「孤独死リスクの回避」として意識されることも多い。独居高齢者の増加が社会問題となる中で、結婚している人は「介護や看取りを担う人がいる」という点で相対的にリスクが低い。


事例:定年後に結婚した男性
60代で再婚した男性は「一人で老後を迎えるのが怖かった」と語る。経済的にも生活は一人で成り立っていたが、リスク分散として結婚を選んだのである。


5. 現代社会における変容
5-1. 共働き社会と経済合理性の揺らぎ
近年では、夫婦がともに働く「共働き」が主流になりつつある。専業主婦モデルが崩れたことで、従来の「夫が稼ぎ、妻が支える」合理性は薄れた。むしろ「家事育児の負担の不平等」が結婚生活の大きな課題となっている。


5-2. 経済格差と結婚格差
さらに深刻なのは「結婚できる人」と「できない人」の格差である。安定した職に就いている人ほど結婚しやすく、非正規雇用や低収入層では結婚率が低下する。この「結婚格差」は経済的合理性がもはや万人に等しく働かないことを示している。


5-3. 婚活市場の経済合理性
婚活アプリや結婚相談所は、まさに「出会いの取引コストを下げる装置」として機能している。AIマッチングやプロフィール検索は、効率的に相手を探す手段であり、現代社会における新しい「結婚の経済合理性」と言える。


事例:婚活アプリで結婚した女性
ある女性は「仕事が忙しく自然な出会いがなかったが、アプリを使えば効率的に条件の合う人と出会えた」と語る。ここでは「恋愛」よりも「効率と合理性」が結婚の背後にある動機となっていた。


6. 経済合理性の限界と新しい地平
結婚は確かに経済合理性に支えられてきたが、現代ではその合理性が相対化されている。独身でも生活できる環境が整い、家事労働も外部化され、リスク分散は保険や福祉で代替できる。
その結果、結婚は「必ずしも経済合理的である必要がない」時代に突入した。むしろ経済合理性だけでは説明できない「感情」や「自己実現」といった要素が、結婚を考える上で中心的になりつつある。


7. 次章への橋渡し
結婚は長らく「効率」「分業」「リスク分散」という経済合理性に基づいて存続してきた。しかし現代社会において、その合理性は揺らぎ、個人の選択や感情が前面に出てきている。
では、人はなぜ「愛」という感情を結婚と結びつけるようになったのか。なぜ「好きだから結婚する」という考えが当たり前になったのか。
次の第Ⅲ部では、「愛とロマンチック・ラブの浸透」というテーマを通じて、結婚の文化的変容を探っていく。


第Ⅲ部 愛とロマンチック・ラブの浸透
1. 「愛」と「結婚」が結びつく以前
現代の私たちは「好きだから結婚する」という考えを、あたかも普遍的なものとして受け入れている。しかし、結婚史を振り返ると、それはむしろ新しい概念に過ぎない。
農耕社会から近代初期にかけて、結婚は基本的に「家と家の結びつき」であり、個人の愛情や感情は二次的な位置にあった。親や親族が決める縁談、経済的合理性、地位の維持――これらが結婚の大義名分だった。愛はしばしば結婚の外に存在し、不倫や密会というかたちで語られることすら多かった。
この状況を一変させたのが、近代以降に登場する「ロマンチック・ラブ」という思想である。愛と結婚の結びつきは、歴史的に「自然」ではなく「文化的発明」であるという視点を持つことが、筒井教授の議論を理解する鍵となる。


2. ロマンチック・ラブの起源
2-1. 西洋における「恋愛の発明」
ヨーロッパにおける恋愛概念の萌芽は、中世の「宮廷愛」にさかのぼる。騎士と貴婦人の禁じられた愛を称賛する文化が、文学や詩を通じて広まった。これが近代において「恋愛=高尚なもの」として位置づけられる基盤となった。
18〜19世紀には、小説や音楽、オペラが「愛のために生き、愛のために死ぬ」というロマンチックな理想を繰り返し描いた。特に『ロミオとジュリエット』や『椿姫』のような物語は、人々の心に「愛と結婚の一致」という価値観を植え付けた。


2-2. 日本における「恋愛結婚」の受容
日本において「恋愛結婚」が広がるのは明治期以降である。西洋思想や文学の輸入とともに、樋口一葉や与謝野晶子といった文学者が「恋する自我」を描き出した。
特に大正期には、夏目漱石の『こころ』や有島武郎の『或る女』が「愛ゆえに生きる/破滅する人間像」を提示し、恋愛を人生の核心とする考え方が知識人層に広まった。戦後になると、映画や歌謡曲が「恋して結婚する」物語を庶民の間に浸透させ、ついには「恋愛結婚こそ自然」という規範が成立していった。


3. 「好きだから結婚する」という規範の誕生
3-1. 戦後日本の転換
戦後日本では、民法改正によって家制度が廃止され、結婚は「両性の合意」に基づくものとされた。この法的変化は、「愛と意思の一致」を結婚の正当性の根拠とする大きな契機となった。
さらに高度経済成長とともに「核家族」が普及し、家同士ではなく「二人の個人」が結婚を選ぶという発想が一般化した。ここにおいて、恋愛と結婚の一体化が社会的に完成したのである。


3-2. 大衆文化が作った理想
戦後の映画、テレビドラマ、歌謡曲は「恋愛から結婚へ」という物語を大量に生産した。石原裕次郎の映画に描かれる都会的な恋、松田聖子の歌に映し出された「恋する女性の夢」――こうした文化的イメージが、世代を超えて「恋して結婚する」という人生像を強固にした。


事例:昭和の恋愛結婚
昭和40年代に結婚したある夫婦は「見合い話もあったが、どうしても好きな人と結婚したかった」と振り返る。当時の若者にとって「愛のために親の意向を押し切る」ことは、自立の証であり、青春の象徴だった。


4. ロマンチック・ラブと現代の若者
4-1. 「恋愛しないと結婚できない」という新しい圧力
現代の若者にとって、結婚は「恋愛の延長」として当然視される。親や社会からの圧力ではなく、「好きになれる人と結婚したい」という自己決定の規範が支配的になった。
しかし同時に、「恋愛ができなければ結婚できない」という新しい圧力が生まれている。恋愛経験が乏しい人々は「そもそも結婚のスタートラインに立てない」と感じ、婚活市場で苦戦するケースが多い。


4-2. ロマンチック・ラブの負の側面
ロマンチック・ラブは人を高揚させ、人生を彩る一方で、「理想と現実のギャップ」に苦しむ原因にもなる。愛が冷めたとき、結婚生活の基盤も揺らぐ。
筒井教授の分析によれば、「愛の感情を結婚の唯一の根拠にしてしまうこと」が、現代における離婚率の高さや結婚の不安定化を招いている側面がある。


5. エピソード:愛と結婚の狭間で
事例A:恋愛はあったが結婚に至らなかったケース
30代女性は大学時代に交際した男性を「心から愛していた」と語る。しかし彼の収入が安定せず、親からも反対され、結婚には踏み切れなかった。「好き」という感情だけでは生活は支えられなかったのである。


事例B:条件重視で結婚したケース
一方で、40代男性は婚活で「条件の合う女性」と結婚した。当初は愛情よりも合理性を優先したが、生活を共にする中で「安心感や信頼が愛情に変わっていった」と述懐する。ここでは「ロマンチック・ラブ」が出発点ではなく、結果として愛が育まれた。
これらのエピソードは、「愛と結婚の関係が必ずしも一直線ではない」ことを示している。


6. ロマンチック・ラブの現在と未来
ロマンチック・ラブは現代社会においてもなお強力な規範として作用している。しかし、それは普遍でも絶対でもない。
「愛がなければ結婚できない」という規範は、人々を自由にする一方で、結婚を困難にしている。
恋愛至上主義が広がることで、結婚を諦める層も生まれている。
婚活市場では、愛と合理性をどう両立させるかが新しい課題となっている。
筒井教授の立場から見れば、結婚におけるロマンチック・ラブは「社会的に作られた必然」であり、その有効性は歴史とともに変化する。現代社会では「愛と制度」のバランスを見直す時期に来ているのかもしれない。


7. 次章への橋渡し
ここまで見てきたように、「愛と結婚の結びつき」は決して普遍的なものではなく、近代以降に浸透した文化的規範である。ロマンチック・ラブは人々に自由を与えたが、同時に新しい圧力と困難をも生み出した。
では、結婚を支えるもう一つの柱、「社会規範」とはどのように機能してきたのか。
次の第Ⅳ部では、「結婚すべき」という圧力や独身へのスティグマといった社会的背景に焦点を当て、結婚が社会規範として果たす役割を探っていく。


第Ⅳ部 社会規範としての結婚
1. 結婚は「すべきこと」だった
日本社会において長らく「結婚」は、個人の自由な選択というよりも「すべきこと」として強く意識されてきた。就職して数年が経ち、適齢期を迎えたら結婚し、子どもをもうける。そうしたライフコースは「普通」であり、社会的に承認される唯一の道と考えられてきた。
筒井淳也教授が指摘するのは、結婚が「社会規範」として機能してきた歴史的事実である。結婚は個人の愛情や経済合理性を超えて、「人は結婚するものだ」という強力な文化的期待によって支えられてきたのである。


2. 社会規範の三つの機能
結婚が社会規範として果たしてきた機能は、大きく三つに整理できる。
人生の標準モデルを提示する機能
「学校→就職→結婚→子育て」というライフコースを「普通」とみなし、人々の人生を統合する。
社会的承認を与える機能
結婚して「家庭を持つ」ことによって、一人前の大人として社会的に承認される。
逸脱を抑制する機能
独身や未婚、あるいは結婚外の関係に対して「不自然」「未熟」といったレッテルを貼り、規範に従わせる。
こうした機能は、特に戦後日本社会において強く働いてきた。


3. 「結婚適齢期」とは何だったのか
高度経済成長期、日本には「結婚適齢期」という言葉が存在した。女性なら20代前半、男性なら20代後半から30歳前後――この年齢で結婚しなければ「行き遅れ」と見なされる雰囲気が支配的だった。


事例:昭和世代の女性の声
昭和40年代に20代を迎えた女性はこう語る。「周りの友人がどんどん結婚していき、職場でも『まだなの?』と聞かれた。結婚していないと『不安定な人』と見なされる空気があった」。
この「適齢期」という考えは、結婚を人生の必須ステップとする強力な社会規範であり、女性のライフコースを大きく規定した。


4. 独身者へのスティグマ
結婚が社会規範として強固であればあるほど、それに従わない人々は「逸脱者」として扱われやすい。独身者はしばしば「わがまま」「寂しい人」「不完全な大人」とみなされ、スティグマを背負ってきた。


事例:独身男性への偏見
1980年代、ある未婚男性は親戚から「男として頼りない」と言われ続けたという。当時は「結婚して家庭を持つこと」が男性の社会的信用につながっており、未婚は「大人として不十分」とみなされやすかった。


事例:独身女性への偏見
1990年代のある女性は、30歳を過ぎても未婚であることを理由に「売れ残り」と呼ばれた経験を語る。これは「女性は結婚してこそ価値がある」という性別役割規範が強力に働いた証左である。


5. 晩婚化・非婚化と「普通」の揺らぎ
21世紀に入り、日本社会は急速に晩婚化・非婚化が進展した。平均初婚年齢は上昇し、生涯未婚率も高まっている。こうした変化の中で、「結婚は普通」という規範は徐々に揺らぎ始めた。
しかし、規範が完全に消えたわけではない。むしろ、「結婚は自由な選択だ」と言われながらも、「結婚していないこと」に対する無言の圧力は依然として存在している。


事例:婚活を始めた30代女性
ある女性は「仕事に満足していたが、親から『早く結婚して孫を見せてほしい』と言われ続けた。自分自身は独身でも構わないが、周囲の視線に押されて婚活を始めた」と語る。
ここには、個人の自由な選択と社会規範の板挟みが表れている。


6. 規範の変容と多様性の拡大
近年、同性婚や事実婚、子どもを持たない選択といった多様なライフスタイルが注目されている。これらは従来の「結婚すべき」という規範を相対化し、個人の自由を広げている。


6-1. 同性婚をめぐる議論
日本では法的には未承認だが、自治体のパートナーシップ制度などを通じて同性カップルの社会的承認が進んでいる。これは「結婚の規範」が従来の異性愛中心から拡張していることを意味する。


6-2. 子どもを持たない選択
「DINKs(Double Income No Kids)」というライフスタイルは、経済的合理性と自己実現の追求から生まれた。彼らにとって結婚は「子育てのため」ではなく、「人生を共にするパートナーシップ」として選ばれている。


事例:事実婚カップル
40代の夫婦は「法律婚ではなく事実婚」を選んだ。「結婚の形に縛られる必要はない」と語る二人は、あえて戸籍を同一にせず、互いの個性を尊重する関係を築いている。


7. 社会規範が生み出す心理的圧力
結婚をめぐる社会規範は、人々に安心感を与える一方で、強い心理的圧力となることもある。
「結婚しなければ幸せになれない」という思い込み
「未婚は恥ずかしい」という社会的スティグマ
「普通の人生」を歩めなかったという自己否定感
筒井教授の視点では、結婚を制度として相対化することで、こうした心理的圧力から解放される道が開ける。結婚する・しないは本来「自由な選択」であるにもかかわらず、社会規範がそれを歪めてきたのである。


8. エピソード:規範の重さを感じる人々
事例A:結婚を「義務」として受け止めた男性
50代男性は「結婚しなければ出世できない」と考え、恋愛感情の薄い相手と結婚した。結果的に夫婦関係は冷え込み、今では「なぜあのとき結婚したのか」と悔やんでいる。
事例B:結婚せずに生きることを選んだ女性
一方で、40代独身女性は「結婚の規範に縛られず、自分の人生を大切にしたい」と語る。親や社会からの圧力を受けながらも、自らの選択を肯定する姿は、規範に抗う生き方の一つの形である。


9. 次章への橋渡し
結婚は長らく「すべきこと」として社会規範に組み込まれてきた。しかし、その規範は揺らぎ、多様な生き方が台頭している。それでもなお、規範の影響は完全には消えておらず、人々の心理や行動を左右している。
次の第Ⅴ部では、この社会規範の中で特に強く作用してきた「ジェンダーの役割」に焦点を当てる。男性はなぜ「稼ぐ人」とされ、女性はなぜ「支える人」とされてきたのか。結婚とジェンダーの関係を歴史的・社会的に分析していく。


第Ⅴ部 結婚とジェンダー
1. ジェンダー視点から結婚を捉える
結婚を制度として眺めたとき、もっとも根強い要素の一つが「ジェンダー」である。
結婚は単なる個人間の契約ではなく、社会が「男性」「女性」に異なる役割を割り当て、それを強化してきた場であった。
筒井淳也教授の分析によれば、結婚は「ジェンダー秩序を再生産する制度」として長く機能してきた。つまり、結婚は男女の愛情の結晶であると同時に、社会が望む「男らしさ」「女らしさ」を体現させる仕組みでもあった。


2. 男は外で稼ぎ、女は家を守る——性別役割分業の固定化
2-1. 戦後社会における分業モデル
戦後日本の高度経済成長期、結婚の基本モデルは「夫=稼ぎ手、妻=専業主婦」とする性別役割分業であった。このモデルは単なる慣習ではなく、国家政策や企業の労務管理、社会保障制度に裏打ちされた制度的な構造であった。
夫は正社員として長時間労働に従事し、企業は「家族手当」や「住宅手当」を支給する。妻は家事・育児を一手に担い、夫の労働力を支える。この分業こそが「日本型家族」の中核を成していた。


2-2. 文化的規範としての専業主婦
雑誌やテレビドラマには「理想的な妻・母」の像が繰り返し描かれた。料理や掃除に精を出し、子どもの教育に尽くす女性の姿は「良妻賢母」として称揚され、社会的承認を得る手段とされた。


事例:団地妻の語り
1960年代に団地に住んでいた主婦は「周囲の奥さんたちとお茶をしながら夫の愚痴を言うのが日課だった」と振り返る。ここには「家を守ること」が女性の役割であるという強固な規範が透けて見える。


3. 男性性と結婚
3-1. 「一家の大黒柱」という幻想
結婚は男性にとってもまた「役割の強制」を伴った。男性は「妻子を養う責任」を背負わされ、仕事中心の人生を余儀なくされた。
「家族を養えない男は一人前ではない」という社会的規範は、男性に過剰なプレッシャーを与え、長時間労働や過労死といった問題を生む一因となった。


3-2. 男性の感情労働の抑圧
また、男性は「感情を外に出さないこと」が期待された。結婚生活においても、妻に比べて「感情を語る力」が乏しいとされ、それが夫婦間の断絶を生みやすかった。


事例:定年後の男性の孤独
定年退職後、家庭に居場所を失った男性が「妻とどう話せばいいかわからない」と語る事例は珍しくない。結婚が「養う責任」を男性に課す一方で、「感情の共有」という側面を奪ってきたからである。


4. 女性性と結婚
4-1. 「結婚しなければ一人前でない」圧力
女性にとって結婚は「社会的承認」を得るための必須条件とされてきた。特に昭和期には、未婚女性は「売れ残り」と揶揄され、30歳を超えると「クリスマスケーキ」などの差別的な言葉で語られた。


4-2. キャリアと結婚の二重負担
1970年代以降、女性の高学歴化・社会進出が進むにつれ、「仕事か結婚か」という選択を迫られるケースが増えた。結婚を選べばキャリアを諦めざるを得ず、仕事を選べば「女らしさ」を失うと批判される。


事例:キャリアを捨てた女性の声
ある女性は「大手企業で働いていたが、結婚後に『家庭を優先するべき』と夫や周囲に言われ退職した」と語る。本人は仕事を続けたかったが、当時は「結婚したら妻は家庭に入るのが当たり前」とされていた。


5. フェミニズムと結婚制度批判
1970年代以降、第二波フェミニズムは結婚制度そのものを批判の対象とした。結婚が女性に家事・育児を押し付け、経済的自立を阻む仕組みであることが告発されたのである。
筒井教授の分析に即せば、結婚は「平等なパートナーシップ」として理想化される一方で、現実には依然として性別役割分業を強化する場として機能してきた。


事例:専業主婦からの解放運動
1980年代のフェミニスト団体は「専業主婦は一つの職業である」と訴え、無償の家事労働を社会的に可視化する運動を展開した。これによって、結婚の中に潜む不平等が徐々に議論されるようになった。


6. 現代社会の変化とジェンダーの再編
6-1. 共働き化と役割の流動化
21世紀の日本では、夫婦の約7割が共働きとなった。専業主婦モデルは少数派となり、「夫も家事・育児を担うべきだ」という規範が広がっている。
しかし、現実には家事労働の大部分はいまだに女性に偏っており、「ワンオペ育児」という言葉が社会問題化している。ここに、制度としての結婚がいかにジェンダー不平等を再生産しているかが表れている。


6-2. 男性の育児参加
近年は男性の育児休業取得が奨励されるようになった。だが、取得率は依然として低く、「育休を取る男性は出世に響く」という企業文化が残る。結婚生活における「男らしさ」「女らしさ」の呪縛は完全には解かれていない。


6-3. 新しい夫婦像
一方で、パートナーシップを対等に築く夫婦も増えている。家事をシェアし、互いのキャリアを尊重し、子育てを共に担う。このような夫婦像は、ジェンダー規範を相対化しつつ、結婚を新しい形に変えている。


事例:家事分担を徹底する夫婦
30代の共働き夫婦は、家事分担をアプリで管理している。「夫も料理を作り、妻も残業する」という生活スタイルは、従来のジェンダー規範から大きく逸脱しているが、二人にとっては自然な形だという。


7. 「結婚とジェンダー」の未来
結婚とジェンダーの関係は、過去には強固な性別役割分業として存在した。しかし現代社会では、その基盤が揺らぎ、より柔軟で多様な形が模索されている。
男性に「養う責任」を一方的に課す時代は終わりつつある。
女性に「家庭に入る義務」を押し付ける規範も後退している。
その一方で、制度や文化が変わりきらず、不平等や葛藤が残存している。
筒井教授の視点からすれば、結婚は「ジェンダー秩序を再生産する場」であると同時に、「新しいジェンダー平等を実現する実験場」にもなりうる。つまり、結婚は依然として社会変革の最前線にある制度なのだ。


8. 次章への橋渡し
結婚は、ジェンダー役割の固定化と、それを揺るがす変化の狭間に揺れてきた。男性にとっても女性にとっても「結婚は生きづらさを強化する場」でありながら、「新しい関係性を模索する場」でもある。
では、このような変化の中で、結婚のあり方はどのように多様化してきたのだろうか。
次の第Ⅵ部では「現代の結婚の多様化」をテーマに、再婚、事実婚、同性婚、国際結婚、そしてテクノロジーによる婚活市場の変容を具体的に見ていく。


第Ⅵ部 現代の結婚の多様化
1. 「一つの結婚」から「多様な結婚」へ
かつて日本社会における結婚は、ほぼ一つのモデルに集約されていた。
すなわち「男女の異性愛カップルによる法律婚」であり、その先には「出産と子育て」が当然のように組み込まれていた。
しかし21世紀の現在、結婚は多様化し、その枠組みは大きく拡張しつつある。再婚や事実婚、国際結婚、同性婚、さらには「移住婚」や「ライフスタイル婚」といった新しい形も登場している。
筒井淳也教授の分析に即せば、この多様化は「制度としての結婚が揺らいでいる」ことの表れであると同時に、「新しい社会的承認の回路を模索している」動きでもある。


2. 再婚とシングルマザー・シングルファーザーの家族
2-1. 離婚の増加と再婚
1970年代以降、離婚件数は増加を続け、現在では結婚した夫婦の約3組に1組が離婚する時代になった。その結果、再婚という選択肢が一般化している。
かつては「離婚歴」がスティグマとなり、再婚は珍しいケースとされた。しかし近年では、再婚は「第二の人生を開くチャンス」として社会的に受け入れられるようになった。


2-2. ステップファミリーの課題
再婚によって生まれる「ステップファミリー」では、子どもの受け入れや養育方針をめぐる葛藤が生じやすい。筒井教授の指摘するように、再婚は個人間の問題ではなく「制度」として十分に整備されていないため、社会的支援が不可欠である。


事例:再婚した女性の声
40代女性は「離婚後は子育てに必死で再婚なんて考えられなかった。でも同じく子連れの男性と出会い、お互いに支え合える関係を築けた」と語る。ここには「再婚=失敗のリカバリー」ではなく、「新しい家族の形を選ぶ」というポジティブな意味が込められている。


3. 事実婚という選択
3-1. 法律婚以外のパートナーシップ
事実婚とは、法律上の婚姻届を提出せずに共同生活を営む形態である。日本ではまだ少数派だが、欧米諸国では広く認められている。
事実婚を選ぶ理由はさまざまである。法制度に縛られたくない、夫婦別姓を望む、経済的に独立していたい――いずれも「法律婚では満たされない価値観」を反映している。


3-2. 社会的承認の課題
事実婚は「選択の自由」を尊重する一方で、相続や社会保障などの面では法律婚に比べて不利である。この点で、事実婚は「制度に対する挑戦」としての意味を持つ。


事例:事実婚カップルの語り
30代のカップルは「結婚式もしたし家も買ったが、戸籍は別々のまま」と語る。「夫婦別姓を望んだから」という理由で事実婚を選んだ二人は、「制度に合わせるのではなく、自分たちの価値観に沿って結婚をデザインした」と話す。


4. 同性婚をめぐる動き
4-1. 世界と日本の差
世界では同性婚を認める国が増加しているが、日本では未だ法的に認められていない。ただし、自治体による「パートナーシップ制度」が広がり、社会的承認は少しずつ進んでいる。


4-2. 「結婚の定義」を揺るがす同性婚
同性婚は、「結婚は男女の結合である」という従来の前提を根底から問い直す。結婚を「制度」として捉えるとき、それが異性愛に限定される合理的理由は存在しない。むしろ、同性婚の承認は「結婚の社会的機能=パートナーシップの保障」を拡張するものである。


事例:同性カップルの声
20代女性同士のカップルは「結婚したい気持ちはあるが、制度に阻まれている。周囲からは『結婚できない関係』と見なされるのが辛い」と語る。ここには「結婚=社会的承認の証」という側面の強さが示されている。


5. 国際結婚と文化の交差点
5-1. 増加する国際結婚
グローバル化の進展により、国際結婚も増えている。日本人と外国人が結婚するケースは、特に都市部や地方の農村地域で顕著だ。農村では「嫁不足」を背景に、外国人女性との結婚が増えた歴史もある。


5-2. 文化摩擦と新しい学び
国際結婚では、宗教・言語・生活習慣の違いから摩擦が生じやすい。しかし同時に、多文化を受け入れる力を培う「実践の場」としても機能している。


事例:国際結婚した夫婦
日本人男性とフィリピン人女性の夫婦は「最初は文化の違いで喧嘩も多かったが、互いの違いを尊重することで信頼関係が深まった」と語る。ここには、結婚が「文化の交渉の場」として働く側面が表れている。


6. テクノロジーが生む新しい結婚の形
6-1. 婚活アプリとAIマッチング
現代の婚活市場では、アプリやAIマッチングが主流になりつつある。これらは「出会いの取引コスト」を大幅に下げ、従来なら出会えなかった人々をつなげる役割を果たしている。


6-2. データ化される恋愛
アプリでは「年収」「学歴」「趣味」「価値観」などが数値化され、アルゴリズムによって相性が予測される。ここでは「愛」すらもデータの文脈で解釈されるようになっている。


6-3. AIが選ぶ未来の結婚
将来的には「AIが選んだ相性の良い相手と結婚する」という流れが一般化する可能性がある。筒井教授の立場からすれば、それは結婚が「感情と合理性の制度的接点」であることを再確認させる動きでもある。


事例:婚活アプリで結婚した男性
30代男性は「忙しくて自然な出会いがなかったが、アプリで条件の合う相手と効率的に出会えた」と語る。ここでは「結婚=ロマンチックな運命」ではなく「結婚=合理的な選択」としての側面が強調されている。


7. ライフスタイル婚と移住婚
7-1. 趣味や価値観で結ばれる結婚
「アウトドアが好き」「音楽を楽しみたい」など、趣味やライフスタイルを共有することを重視するカップルも増えている。従来の「条件婚」ではなく、「価値観婚」とも呼べる流れだ。


7-2. 地方移住と結婚
都市で出会ったカップルが「自然豊かな環境で子育てをしたい」と地方移住するケースも増えている。結婚が「ライフスタイルの選択」と結びつき、場所や暮らし方を再設計する動きにつながっている。


事例:北海道に移住した夫婦
東京で出会った夫婦は「都会ではなく自然の中で子育てしたい」と考え、北海道に移住した。結婚は単なる二人の結びつきではなく、「生き方の共同設計」としての意味を帯びている。


8. 多様化がもたらす課題
結婚の多様化は個人の自由を広げる一方で、新しい課題も生んでいる。
再婚や事実婚に対する社会保障の未整備
同性婚の法的承認の遅れ
国際結婚に伴うビザ・国籍問題
データ化された恋愛が感情を希薄化するリスク
筒井教授の視点からすれば、結婚の多様化は「制度が個人の多様な生き方に追いついていない」状態を映し出している。


9. 次章への橋渡し
結婚は今や「一つのモデル」ではなく、「多様な選択肢」の集合体となっている。愛情、合理性、ライフスタイル――そのいずれもが結婚の正当性を支える根拠となりうる時代である。
しかし同時に、結婚を選ばない、あるいは選べない人々も増えている。
次の第Ⅶ部では、「結婚をしない/できない社会学」をテーマに、非婚・未婚の拡大とその背景、そして結婚をめぐる格差の問題を考察していく。


第Ⅶ部 結婚をしない/できない社会学
1. 「結婚しない自由」と「結婚できない現実」
現代日本において「結婚しない」という選択は、かつてよりも広く認められるようになった。結婚を「しない」ことが個人の自由として尊重される社会的風潮が強まっている一方で、実際には「したくてもできない」人々も少なくない。
筒井淳也教授が指摘するのは、この「しない」と「できない」の混同である。両者は異なる現象であり、前者は自由の拡大を示すが、後者は格差や社会制度の歪みを映し出す。
結婚をしない/できない現象を社会学的に分析することは、現代日本社会の構造そのものを理解する手がかりとなる。


2. 晩婚化・非婚化の進展
2-1. 統計が示す現実
国勢調査や厚生労働省のデータによれば、日本の平均初婚年齢は男性で31歳、女性で29歳を超え、過去最高を更新し続けている。さらに「生涯未婚率(50歳まで一度も結婚していない人の割合)」は、男性で約4人に1人、女性で約7人に1人に達している。
この数字は「結婚は誰もがするもの」という規範がもはや現実と乖離していることを示している。


2-2. 国際比較
非婚化は日本だけの現象ではなく、先進国共通の傾向でもある。北欧諸国では事実婚が普及し、フランスでは非婚カップルから生まれる子どもが過半数を超える。一方、日本では「結婚しない=子どもを持たない」という構造が強いため、少子化が深刻化している。


3. 経済的要因と結婚格差
3-1. 安定雇用と結婚可能性
筒井教授の研究によれば、安定した雇用と収入を持つ人ほど結婚しやすい傾向がある。逆に非正規雇用や低所得層では結婚率が著しく低下している。
結婚が「したいのにできない」現象は、経済的格差が婚姻格差として表れているのだ。


3-2. 男性への期待と現実
特に日本では「男性は養うべき」という規範が依然として根強く、低所得の男性は結婚市場から排除されやすい。女性の経済的自立が進んでも、結婚相手に「経済力」を求める傾向は根強く残る。


事例:非正規雇用男性の語り
40代男性は「結婚したいが、相手に生活の安定を提供できない」と感じて婚活を諦めたという。ここには「愛」よりも「条件」が重視される婚活市場の厳しさが表れている。


4. 社会的要因:出会いの減少と孤立
4-1. 地域社会の変容
かつては親戚や近所が仲介役となり、見合い結婚が一般的だった。しかし都市化と核家族化の進展により、出会いの場は個人の責任に委ねられるようになった。


4-2. 婚活市場の限界
婚活アプリや結婚相談所は出会いを提供するが、誰もが恩恵を受けられるわけではない。自己表現が苦手な人や、経済的条件が不利な人は、婚活市場で不利な立場に置かれる。


事例:婚活疲れの女性
30代後半の女性は「何十人もお見合いしたが、条件の合う相手と出会えなかった。『結婚できない人』という烙印を押されている気がする」と語る。


5. 文化的要因:結婚規範の残存
5-1. 「結婚してこそ一人前」という圧力
社会規範としての「結婚」は弱まったとはいえ、完全には消えていない。そのため、独身者は「まだ結婚しないの?」と問われ続け、心理的負担を抱える。


5-2. 自己決定の矛盾
「結婚は自由な選択」とされる一方で、「結婚しない自由」を選んだ人は周囲から説明を求められる。ここには「結婚をするのがデフォルト」という規範の残存が見える。


事例:独身女性の声
40代女性は「結婚しない理由を毎回説明させられるのが苦痛」と話す。「しない」と「できない」の違いが社会的には曖昧に扱われるため、本人の選択が尊重されにくいのだ。


6. 結婚を「しない」ことの意味
「結婚しない」という選択は、しばしば「自己実現」や「自由」を優先する姿勢と結びつく。キャリアを大切にしたい、趣味やライフスタイルを維持したい、他者に縛られたくない――これらは現代社会において正当な価値観として認められるようになりつつある。


事例:独身を選んだ男性
50代の男性は「自分のペースで生きるのが心地よい。結婚しないからこそ、自由に人生を設計できる」と語る。ここでは「結婚=不自由」という逆説的な見方が示されている。


7. 結婚を「できない」人々の現実
一方で「できない」場合は、経済的・社会的・心理的要因が複雑に絡み合っている。
経済的要因:低収入、不安定雇用
社会的要因:出会いの欠如、孤立
心理的要因:自己肯定感の低さ、恋愛経験不足
これらの要因は「結婚を望むが達成できない」という不満や挫折感を生みやすい。


事例:結婚を諦めた女性
30代後半の女性は「婚活に何年も挑戦したが、結局相手が見つからなかった。『結婚したい』と言い続けるのが辛くなり、諦めた」と語る。ここに、婚活市場での消耗と挫折が表れている。


8. 結婚をめぐる格差社会
結婚は今や「格差を再生産する制度」としての側面を強めている。
高学歴・高収入層 → 結婚率が高く、出産率も安定
低学歴・低収入層 → 結婚率が低く、未婚化が進行
筒井教授の分析では、この「結婚格差」は日本社会の分断を象徴している。結婚が「誰もができるもの」から「選ばれた人の特権」になりつつあるのである。


9. 結婚しない/できない社会の未来
結婚をしない/できない人々の増加は、日本社会に大きな影響を与える。
少子化の加速
高齢者の孤立リスクの増大
「家族」を前提とした社会保障制度の機能不全
一方で、これを「悲劇」としてのみ捉えるのは誤りである。むしろ多様な生き方が認められることで、結婚制度そのものを柔軟に見直す契機になる可能性もある。


10. 次章への橋渡し
「結婚しない/できない」という現象は、現代日本における結婚制度の限界を映し出している。
結婚を望む人すべてがそれを実現できるわけではなく、社会的格差や制度の不備がその背景にある。
では、このような状況の中で結婚制度の未来をどう考えればよいのか。
次の終章では「結婚の未来を考える」をテーマに、結婚が消滅する可能性、あるいは新しいパートナーシップの形を模索する可能性について論じていく。


終章 結婚の未来を考える
1. 結婚の未来を問う意義
人類の歴史において、結婚は長らく「当たり前」とされる制度だった。家と家を結びつけ、労働力や財産を継承し、社会秩序を維持するための装置であった。近代以降は「愛と結婚」が結びつき、戦後日本では「標準家族モデル」が理想とされた。
しかし、21世紀の日本においてその前提は大きく揺らいでいる。晩婚化・非婚化が進み、結婚はもはや「義務」ではなく「選択」へと変化した。さらに再婚、事実婚、同性婚、国際結婚など、多様なパートナーシップが生まれ、「結婚」という言葉そのものの意味が問い直されている。
筒井淳也教授の社会学的視点は、まさにこの変化の本質を見抜いている。結婚は「普遍的なもの」ではなく、「社会の要請に応じて姿を変えてきた制度」であり、未来においても変わり続けるだろう。


2. 「結婚が消える未来」は来るのか
2-1. 結婚の機能の代替
現代社会では、結婚が担ってきた機能の多くが他の仕組みによって代替可能になっている。
経済的役割 → 女性の就労拡大・福祉制度・保険商品で代替
社会的承認 → 多様なライフスタイルの承認拡大
子育ての正当化 → 法律的・制度的に非婚や養子縁組も可能
この流れを極限まで進めれば、「結婚という制度が不要になる未来」も描ける。


2-2. 完全消滅は難しい
ただし結婚は単なる制度ではなく、「人が他者と結びつきたい」という根源的欲求に支えられている。そのため、結婚制度の形が変わることはあっても、完全に消滅する可能性は低いと考えられる。


3. 結婚の再定義
3-1. 「法律婚」から「パートナーシップ」へ
未来の結婚は、必ずしも法律婚に限定されない。事実婚や同性婚、さらには「契約結婚」や「共同生活契約」といった新しい形が広がるだろう。
結婚の定義は「異性が婚姻届を出すこと」から、「人と人が継続的な関係を築き、社会的承認を得ること」へとシフトする可能性が高い。


3-2. 「子どもを持つための結婚」からの脱却
従来の結婚は「子どもをもうけ、家を存続させる」ことを大きな目的としてきた。しかし少子化と多様な生き方が広がる中で、「子どもを持たない結婚」や「結婚しない子育て」も社会的に認められつつある。


4. テクノロジーと結婚の未来
4-1. AIが媒介する出会い
婚活アプリやAIマッチングはすでに普及しているが、今後はさらに精緻化し、AIが「相性の良い相手」を科学的に予測するようになるだろう。愛や運命すらも「アルゴリズムによる予測」として提示される未来がやってくる。


4-2. バーチャル結婚と拡張現実
メタバースやVR技術を用いた「仮想空間での結婚」も広がる可能性がある。現実に婚姻届を出さなくても、仮想空間で「夫婦」として過ごすことが、結婚の新しい形態となるかもしれない。


4-3. テクノロジーが変える「愛の物語」
テクノロジーは結婚を効率化するだけでなく、「愛」という物語の形そのものを変える。かつて手紙や電話が恋愛を形づくったように、AIやVRが未来の恋愛・結婚文化を規定していく。


5. 格差社会と結婚の未来
5-1. 結婚格差の固定化
現代日本では、安定した職と収入を持つ人ほど結婚しやすく、低所得層ほど未婚率が高い。この「結婚格差」は今後さらに広がる可能性がある。結婚が「誰もができる制度」から「選ばれた人の特権」となる危険がある。


5-2. 社会政策の課題
格差を是正するには、結婚奨励策ではなく、雇用の安定や社会保障の拡充といった「基盤整備」が必要である。結婚を強制するのではなく、選択肢として尊重する政策が求められる。


6. 愛と結婚の未来像
6-1. ロマンチック・ラブの継続と変容
「好きだから結婚する」という規範は、今後も強く残るだろう。しかしその「好き」の定義は多様化し、必ずしも恋愛的情熱だけではなく、「信頼」「安心」「価値観の一致」といった幅広い要素を含むようになる。


6-2. 「結婚=愛の証明」からの脱却
未来の社会では、「結婚しなくても愛し合える」「結婚以外の方法でパートナーシップを築ける」という認識が広がるだろう。結婚は「愛の唯一の証明」ではなくなる。


事例:事実婚を選んだ若者たち
ある若いカップルは「結婚式は挙げるが婚姻届は出さない」と決めた。「愛は制度で証明するものではない」という価値観が、未来社会における結婚のあり方を先取りしている。


7. 筒井淳也教授の結論から
筒井教授は著書の中で繰り返し強調している。
「結婚は自然なものではなく、社会の中で作られ、変化していく制度である」と。
したがって、未来の結婚を考えるときに重要なのは、「結婚すべきか否か」という二元論ではなく、「どのようなパートナーシップを社会が承認し、支えるか」という問いである。
結婚の未来は固定されたものではなく、私たち一人ひとりの選択と社会制度の相互作用によって形づくられていく。


8. 結びにかえて:結婚の未来をどう生きるか
「人はなぜ結婚するのか」という問いに対する答えは、時代ごとに変わってきた。
家のため、社会のため、経済のため、そして愛のため。
これからの時代においては、「自分の人生をどう生きたいか」という問いが、結婚の意味を規定するだろう。結婚は義務ではなく、自己決定の一つの選択肢にすぎない。
重要なのは、「結婚する・しない」という結果そのものではなく、その選択を通じて「自分の人生を主体的に設計できるかどうか」である。
結婚が続くのか、変わるのか、あるいは別の制度に置き換わるのか――その未来は私たち自身の手に委ねられている。

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婚活の一覧。「決める」という暗示の強さ - はじめに 「決める」という行動は、人間の心理や行動に大きな影響を与える要因の一つです。恋愛心理学においても、この「決める」というプロセスが関与する場面は多岐にわたります。本稿では、「決める」という暗示が恋愛心理に及ぼす影響を詳細に考察し、具体的な事例を交えながらその重要性を検証します。1. 「決める」という行動と暗示の心理的基盤1.1. 暗示効果の基本理論 暗示効果とは、言葉や行動が人の思考や行動に無意識的に影響を及ぼす現象を指します。「決める」という行為は、自己効力感を高める一方で、選択を固定化する心理的フレームを形成します。例: デートの場所を「ここに決める」と宣言することで、その場の雰囲気や相手の印象が肯定的に変化する。1.2. 恋愛における暗示の特性 恋愛心理学では、相手への影響力は言語的・非言語的要素の相互作用によって増幅されます。「決める」という言葉が持つ明確さは、安心感を与えると同時に、魅力的なリーダーシップを演出します。2. 「決める」行動の恋愛への影響2.1. 自信とリーダーシップの表現 「決める」という行動は、自信とリーダーシップの象徴として働きます。恋愛においては、決断力のある人は魅力的に映ることが多いです。事例1: レストランを選ぶ場面で、男性が「この店にしよう」と即断するケースでは、相手の女性が安心感を持ちやすい。2.2. 相手の心理的安定を促進 迷いがちな行動は不安を生む可能性があります。一方で、決定された選択肢は心理的安定を提供します。事例2: 結婚プロポーズにおいて、「君と一緒に生きることに決めた」という明確な言葉が相手に安心感と信頼感を与える。2.3. 選択の共有感と関係構築 恋愛関係においては、重要な選択肢を共有することが絆を強化します。「決める」という行為は、相手との関係性を明確化するための重要なステップです。事例3: カップルが旅行先を話し合い、「ここに行こう」と決断することで、共同作業の満足感が高まる。3. 「決める」暗示の応用とその効果3.1. 恋愛関係の進展 「決める」という行動がもたらす心理的効果は、恋愛関係の進展において重要な役割を果たします。事例4: 初デート後に「次はこの日空いてる?」ではなく、「次は土曜にディナーに行こう」と提案することで、関係が一歩進む。3.2. 関

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