山田昌弘と白河桃子に於ける婚活の提唱について

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 山田昌弘と白河桃子による「婚活」の提唱は、2007年に登場した「婚活時代」という著書を契機に広く知られるようになりました。

 この著作では、婚姻に至るまでの活動やプロセスが、従来の自然な出会いや家族・友人の紹介だけでは不十分になり、個人が積極的に結婚相手を探すための「活動」として認識されるようになった背景について詳しく論じています。

 この概念は、日本社会の少子化や未婚率の上昇、そして家族制度の変化に深く結びついており、現代の婚姻観やライフスタイルに新たな視座を提供しました。


 本論では、山田昌弘と白河桃子による「婚活」の提唱を社会学的視点から分析し、その背景や意義、そしてその後の社会的影響について論じます。


1. 山田昌弘と白河桃子による「婚活」の定義


1.1 婚活の概念
「婚活」という言葉は、山田昌弘と白河桃子が2007年に発表した『婚活時代』で初めて提唱されました。「婚活」とは、「結婚活動」の略であり、結婚を目指して積極的に相手を探し、社会的な行動を取ることを指します。従来の結婚プロセスが自然な出会いや家族、地域社会のサポートに依存していたのに対し、「婚活」という概念は、個人が能動的にパートナーを探し、結婚を目指して活動するという点で、これまでの結婚観とは一線を画します。


 「婚活」が提唱される背景には、結婚をめぐる環境の急速な変化があります。具体的には、少子高齢化、未婚率の上昇、そして晩婚化などが挙げられます。また、従来のコミュニティや家族のサポートが薄れる中で、個人が自己責任でパートナーを見つける必要が出てきたことも、「婚活」の登場を促した要因です。


1.2 山田昌弘の理論的背景

 山田昌弘は、日本社会の家族や少子化問題に関する研究で知られる社会学者であり、特に「パラサイト・シングル」という概念で有名です。この概念は、20代から30代の独身者が親元で暮らし、独立せずに生活する現象を指します。これにより、結婚を先送りにする若者が増え、未婚化や晩婚化が進行する一因となっていると指摘されています。


 山田は、こうした未婚化や晩婚化の背景には、経済的な不安定さや雇用の不安定化があると考えています。特に1990年代以降のバブル崩壊によって、日本社会における長期安定雇用のモデルが崩れ、若者が安定した職業に就くことが困難になったことが、結婚を先延ばしにする要因となっています。彼の理論では、結婚には一定の経済的基盤が必要であり、その基盤が崩れることで婚姻率が低下するという見解が強調されています。


1.3 白河桃子の視点
 白河桃子は、ジャーナリストとして女性のキャリアやライフスタイルに関する問題を取り上げてきました。彼女は特に、働く女性の立場から、結婚や出産、キャリア形成に関する課題に焦点を当てています。白河は、女性が結婚や出産を選ぶ際の社会的プレッシャーや、仕事との両立の難しさを指摘し、キャリアウーマンが結婚を選ばない理由の一つとして、ジェンダーに基づく役割期待が依然として根強いことを挙げています。


 白河の観点からは、婚活というプロセスは、女性にとっても自己実現の一環としての選択であり、必ずしも結婚を「義務」として考えるのではなく、ライフスタイルの一つの選択肢として捉えるべきだと主張しています。彼女は、婚活が「選ばれる」行為ではなく、「選ぶ」行為であるべきだという点を強調しています。


2. 婚活が提唱された背景


2.1 日本における未婚化・晩婚化の進行
 婚活という概念が提唱される背景には、日本における未婚化と晩婚化の進行があります。厚生労働省のデータによると、1970年代以降、日本の婚姻率は徐々に低下しており、特に1990年代以降、その傾向が顕著になっています。また、平均初婚年齢も男女ともに上昇しており、晩婚化が進んでいます。


 この背景には、経済的要因、社会的要因、さらには文化的要因が絡み合っています。特に、バブル崩壊後の経済不況が若年層に与えた影響は大きく、安定した雇用が得られない若者が増えたことが、結婚をためらう要因となっています。また、女性の社会進出が進む一方で、働きながら家庭を持つことへの負担感が増大し、キャリアを優先する女性が結婚を遅らせる傾向も見られます。


2.2 恋愛結婚の減少と婚活の必要性
 日本においては、恋愛結婚が一般的になったのは戦後からであり、それ以前は家族や地域社会が結婚相手を紹介する「お見合い結婚」が主流でした。しかし、戦後の経済成長とともに、恋愛結婚が社会の主流となり、個人の自由な意思による結婚が尊重されるようになりました。


 しかし、都市化の進展やコミュニティの弱体化に伴い、自然な形での出会いが減少し、恋愛結婚を前提とする結婚の機会が減少しました。このような状況下で、個人が結婚相手を見つけるためには、何らかの形で積極的に「活動」する必要が出てきたのです。これが、「婚活」という概念が広まる土壌となりました。


3. 婚活市場の成長とその影響


3.1 婚活サービスの多様化
 山田昌弘と白河桃子が「婚活」という概念を提唱して以降、婚活市場は急速に拡大しました。結婚相談所や婚活パーティー、さらには婚活アプリといった多様なサービスが登場し、結婚を目指す個人が利用できるプラットフォームが整備されました。


 特に、インターネットの普及やスマートフォンの登場により、オンラインでの出会いの場が広がりました。婚活アプリは、時間や場所にとらわれず、多くの相手と出会うことができるため、都市部を中心に急速に普及しました。これにより、従来の結婚プロセスが大きく変化し、より多くの選択肢が提供されるようになりました。


3.2 婚活市場の経済的影響
 婚活市場の成長は、単なる結婚支援ビジネスに留まらず、経済的にも大きな影響を及ぼしています。婚活関連のビジネスは、多くのサービス業者を巻き込み、結婚式業界や旅行業界、不動産業界などにも波及しています。また、結婚相談所や婚活アプリの利用料金は、一定の経済的負担を伴うため、婚活市場における「消費」としても注目されています。


 しかし、婚活市場の成長には階級的な格差も伴っています。結婚相談所や高額な婚活イベントに参加するには一定の経済力が必要であり、低所得層や地方在住者にとっては、こうしたサービスを利用することが難しい場合もあります。これにより、結婚における格差が広がる可能性があるという批判も存在します。


4. 婚活とジェンダー問題


4.1 婚活におけるジェンダーの固定観念
 婚活においては、依然として伝統的なジェンダーの固定観念が強く影響を与えています。例えば、男性は経済的な安定や社会的地位が求められる一方で、女性には「家庭的」であることや「母性」が求められる傾向があります。こうした期待は、婚活市場においても顕著であり、特に結婚相談所などでは、学歴や収入、職業が重視されるケースが多いです。


4.2 婚活と女性のキャリア形成
 また、働く女性にとって、婚活とキャリアの両立は大きな課題となっています。現代日本において、女性の社会進出は大きく進展しましたが、それに伴い、女性が結婚や出産、育児といったライフイベントとキャリアをどう両立させるかが大きな問題となっています。

 多くの女性は、仕事のキャリアが充実している間に結婚や出産をすることに慎重になり、その結果として晩婚化や未婚化が進んでいます。婚活という概念が広がるにつれて、こうしたキャリアウーマンが婚活市場に参加する機会が増えましたが、依然として「結婚=家庭を優先する」という固定観念が婚活市場にも残っており、女性がキャリアと結婚を両立させるための選択肢が限られている現状も指摘されています。


 婚活市場においても、女性がキャリアを重視することで結婚が難しくなるという問題がしばしば議論されます。高収入や高学歴の女性が婚活で不利になることがあるとされ、こうしたジェンダーの非対称性が婚活市場における大きな課題の一つです。


 つまり、経済的な自立を目指す女性が増える一方で、従来の「女性が男性を支える」結婚観が依然として根強く残っているため、キャリア志向の女性は結婚相手を見つけにくいと感じるケースが多くなっています。


 このような背景から、婚活に参加する女性は、結婚後の働き方や育児との両立についても考慮するようになっています。結果として、パートナーを選ぶ際には、経済的な安定性だけでなく、家事や育児の分担に対する考え方が重視されるようになってきています。これは、婚活が単なる結婚相手探しではなく、家族のあり方や将来の生活設計を見据えたプロセスとなっていることを示しています。


5. 婚活と社会的階層


5.1 経済格差と婚活
 婚活においては、経済的な要因が大きな影響を与えることがわかっています。特に、経済的な安定が結婚にとって重要な要素となる現代では、収入や雇用の安定性が婚活市場での「価値」を決定する要素の一つとして強調されます。高収入や安定した職に就いている男性は婚活市場で有利な立場にあり、逆に低収入の男性は不利な立場に置かれることが多いです。


 山田昌弘はこの点について、特に男性の経済的地位が婚姻率に与える影響を指摘しています。彼は、日本における男性の婚姻率が収入や雇用の安定性に大きく依存しているとし、非正規雇用の増加が未婚率の上昇に寄与していると主張しています。安定した雇用を持たない若年層の男性は、婚活市場において結婚相手を見つけることが困難になりやすく、これが少子化や未婚化の一因となっているのです。


 一方で、婚活における女性の立場もまた、階層によって大きく影響されます。高学歴や高収入の女性は、男性側から見ると「キャリア志向が強すぎる」「家庭的ではない」と見なされることがあり、婚活市場での競争が厳しくなる場合があります。このように、男女ともに経済的地位や社会的階層が婚活市場での立場に影響を与え、婚活が社会的格差を反映する場となっている現状が見て取れます。


5.2 地方と都市部における婚活の格差
 婚活市場においては、地域による格差も顕著に現れています。特に都市部では、婚活サービスや出会いの場が豊富に存在しており、多様な選択肢が提供されています。一方で、地方では婚活の機会が限られており、特に若い世代が都市部に流出することで、地方での婚活がさらに困難になっています。


 この現象は、少子化や地域社会の衰退に直接つながっており、地方自治体が婚活支援に乗り出す動きも見られます。たとえば、地方自治体が主催する婚活イベントや、地方での定住支援を兼ねた婚活支援プログラムが展開されている例も増えてきました。しかし、こうした取り組みが効果的かどうかについては、地域ごとの事情や文化的背景が異なるため、必ずしも成功しているわけではありません。


 地方での婚活の難しさは、都市と地方の経済格差や社会的インフラの違いによるものであり、婚活が単なる個人的な活動に留まらず、社会全体の構造的な問題と密接に関連していることが示されています。したがって、婚活の課題を解決するためには、地方の経済的発展や雇用の安定化、さらには若者の定住促進など、包括的な政策が必要とされています。


6. テクノロジーと婚活


6.1 オンライン婚活の拡大
 近年、インターネットとスマートフォンの普及により、婚活の手法も大きく変わりました。オンライン婚活サービスや婚活アプリは、これまでの結婚相談所や婚活イベントとは異なり、より手軽かつ効率的にパートナーを探す手段として急速に普及しています。


 オンライン婚活の最大の特徴は、時間や場所に制約されずに多くの異性と出会うことができる点です。特に、都市部に住む忙しい人々にとって、オンライン婚活は便利なツールとなっています。婚活アプリは、利用者のプロフィールや趣味、価値観に基づいてマッチングを行い、効率的に相性の良い相手を見つけることを可能にしています。


 しかし、オンライン婚活にはいくつかの課題も存在します。まず、オンライン上での出会いは実際のコミュニケーションと異なるため、初対面での印象や相手の人柄を正確に把握することが難しい場合があります。また、オンライン婚活では、多くの候補者との出会いが可能であるがゆえに、「選択疲れ」や「理想の相手探し」に執着してしまい、かえって結婚が遠のくという現象も指摘されています。


6.2 アルゴリズムと婚活
 婚活アプリでは、アルゴリズムを活用したマッチングが行われており、これにより利用者は自身の希望に合った相手を効率的に探すことができます。しかし、こうしたアルゴリズムによるマッチングが婚姻生活にどれほど影響を与えるかについては議論が続いています。


 アルゴリズムは、過去のデータや利用者の嗜好に基づいて相手を選び出すため、効率的ではあるものの、人間関係の複雑な側面や感情的な要素を十分に反映できない可能性があります。これにより、婚活アプリで出会った相手との相性が必ずしも良好であるとは限らず、結婚後の関係性において課題が生じることもあります。


 また、アルゴリズムによって選ばれた相手が、婚活市場で「条件の良い」相手であっても、実際のコミュニケーションや価値観の違いが後に問題となることが多々あります。このような問題は、婚活が単なる条件による選択ではなく、感情的・社会的な要素が絡み合う複雑なプロセスであることを示唆しています。


7. 婚活が提起する社会的課題


7.1 少子化問題と婚活
 日本における婚活の拡大は、少子化問題とも深く関連しています。日本は世界でも有数の少子化国家であり、政府や自治体は結婚や出産を促進するための政策を展開しています。しかし、婚活が進展する一方で、結婚自体を選ばない若者や、結婚を希望しても経済的・社会的な理由で結婚に至らない人々が増加しており、少子化問題の解決には至っていません。


 婚活を支援する政策として、政府は補助金や税制優遇措置を導入していますが、それだけでは根本的な問題解決にはならないという批判もあります。経済的な安定性やジェンダー平等、育児環境の整備など、結婚を取り巻く広範な課題に対処する必要があるため、婚活支援だけでは限界があるのです。


7.2 新たな家族観の形成
 婚活の拡大とともに、結婚や家族に対する価値観も多様化しています。従来の家族モデルでは、結婚は人生の必須要素とされていましたが、近年では「結婚しない」という選択肢や、同性婚、事実婚、シングルマザーといった多様な家族形態が社会的に受け入れられるようになっています。婚活もまた、こうした多様な価値観に応じた柔軟な対応が求められています。


8. 結論


 山田昌弘と白河桃子が提唱した「婚活」という概念は、現代日本社会における結婚の変化を象徴しています。婚活は、単なるパートナー探しにとどまらず、ジェンダー問題、経済的格差、社会的変化など、さまざまな社会的要素が複雑に絡み合った現象です。婚活市場の成長とその影響は、結婚が個人の選択肢であると同時に、社会全体の構造的課題と密接に関連していることを示しています。


 今後の婚活市場の発展には、経済的安定やジェンダー平等、そして地域格差の是正が不可欠であり、これらの課題に対応することで、日本社会全体の少子化や未婚化の問題解決につながる可能性があります。婚活の行方は、現代日本社会の将来を占う重要な指標であり、社会学的視点からの継続的な分析が求められます。

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