ショパンの即興曲(全4曲)
4曲のうち第1番から第3番までは生前に出版されたものだが、1番有名な嬰ハ短調の「幻想即興曲」のみはショパンの死後に発見されている。ショパンが「幻想即興曲」を世に出さなかったのは、モシェレスの「即興曲(作品89)」と似ていたので出版を断念した、というのが今のところ有力な見方である。確かにモシェレスの曲との類似点は認められる。顕著なのは序奏の後の主要楽想。右手部分は16分音符で装飾的に1オクターヴ駆け上がっていく楽想で、シンプルな左手のアルペッジョ奏法や、早い速度表示なども似てはいる。調性の違いや(変ホ長調)、中間部の曲想の違い、また主要部に於いても和声進行や楽想の展開法などを見れば、明らかに似て非なるものという印象を受けるはずである。モシェレスの作曲年が1834年だから、ショパンがこの曲を知った直後にインスピレーションを得てこの曲を作曲したと推測出来る。しかし楽想の元になった音型や曲のイメージが僅かでもモシェレスを連想させてしまう懸念があるならば、たとえ完成度の高い魅惑的な曲であっても、世に出すことは控えるのが作曲家の良心というもの。そういう意味ではショパンの作曲家としての良識と謙虚な創作姿勢がうかがえる逸話として受け止められよう。逆にそれほどモシェレスの曲が、ショパンにとって創作意欲を刺激する魅力的な作品であったという証にもなる。例えばショパンのノクターンの源泉がフィールドにあったように。
4曲の即興曲の形式はすべて3部形式である。構成や内容からすればモシェレスよりもむしろシューベルトからの影響の方が大きいだろう。シューベルトの書いた即興曲は歌謡性の高い旋律や、楽器の音色やソノリティ(鳴り)を生かしたピアニズムが際立っており、シューベルトのピアノ音楽の魅力や特徴を端的に伝えるものとして、今日ではシューベルトの欠くべからざる代表作になっている。そうしたシューベルトの形式内容を、そのまま引き継いだのがショパンの即興曲のように思う。しかしながらノクターンやポロネーズ、ワルツやバラード、スケルツォなど、ショパンが新境地を見せた輝かしいピアノ曲の中にあって、即興曲はいまひとつ存在感が薄い。ショパンの趣向や特性を考えれば、最もインスピレーションが沸き起こりそうな曲種であるし、シューベルト以上にファンタスティックで独創的な音楽が期待出来た楽曲形態ではなかったかと思う。
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