ショパンのエチュード

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 ショパンは練習曲集を2つ出版している。1つは作品10で1833年に、もう1つは作品25で1837年に出版された。ショパンの練習曲には俗称で呼ばれるものがある。例えば「別れの曲」「革命」「エオリアン・ハーブ」「蝶々」「木枯らし」「大洋」などで、曲集を離れて、独立した作品として多くの人々に愛され続けている。
 「練習曲集」作品10はリストに献呈された。19世紀、ピアノの魔術師が輩出されたなか、その最も頂点にいたリストを献呈者に選んだのはどうしてなのだろうか。友人でもあったリストの卓越した技法への敬意からだろうか。ピアノを駆使して、楽器としての可能性を最大限に拡大した作曲家としての自負が、リストからの称賛を期待したのかもしれない。事実、リストはこの曲集をとても愛した。

 「第1番」ハ長調は分散和音の練習、16分音符が分散和音で駆け巡る。ショパンの弟子で演奏家として活躍したミクーリは、ショパンの次のような言葉を記憶している。このエチュードは役に立ちますよ。私の言うとおりに勉強なさったら、手が広がるし、ヴァイオリンの弓で弾くような和音の効果も得られるでしょう」。ショパンはここで、右手の柔軟性の拡大と2の指を軸とするということを考えている。「第2番」イ短調では3,4,5の指で半音階をなめらかに演奏する練習。「第3番」ホ長調はいわゆる「別れの曲」で、他の11曲よりも後に作られたが、出版にあたっては、速度記号をまったく正反対のものに変更された。作曲当初は練習曲であることを意識したせいか、ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ、すなわち急速に、しかしあまり極端ではなく、だった。それが出版するために曲を並べ替えた段階で、レントすなわち「ゆっくり」にされた。演奏のテクニックを磨くだけでなく、音楽性、芸術性を身につけるための練習曲だと考えたとき、この変更は必須だったのだろう。中間部分に6度の和音の連続があり、これをなめらかに弾かなければならない。ショパンはそれまでの2曲の成果を生かすかのような情緒表現を要求している。「第4番」嬰ハ短調は音域に大きく差があるものを交互において、それをすばやく演奏できるようにする。「第5番」変ト長調は「黒鍵」と呼ばれるもので、まさに黒鍵だけを弾く練習だ。「第6番」変ホ短調は臨時記号によってさらに複雑になった音を正確にとらえ、陰鬱で同じところを行き来するかのようで、心を重くさせる曲だ。さあピアノについても、様々なことがわかってきたはずと、「第7番」ハ長調では右手に3度と6度の交代の練習を課し、その上に難しいレガートを要求される。それが出来る人にはご褒美のように美しい第8番が待っている。優雅に床を滑るかのように踊っていく魅力的なメロディーだ。「第8番」ヘ長調は右手の柔軟性と左手の確実さが求められる。これらに続く次の2曲は沈鬱な感情表現と、一転してアクセント付けを多用する無窮動な動き、それでいて美しいフレーズを作ることを要求している。「第9番」ヘ短調は左手の音域の拡大をしっかりとらえ右手には表情を、「第10番」変イ長調は右手の6度を確実に演奏出来るようにを求めている。「第11番」変ホ長調は分散和音を左右両手で同時に弾く練習。教会の鐘を打ち鳴らすかのような、鍵盤の捉え損ないを厳しく戒める曲だ。ここまで弾けるようになった人の手ならとショパンはこの曲集の最後に、激情の曲、「第12番」ハ短調「革命」おw置いている。祖国ポーランドのワルシャワにロシア軍が侵攻したことへの憤懣から作曲したといわれ、左手を駆使し、右手は力強くリズミカルに和音を打ち出していく。左手の親指がメロディを作る上で重要な役割をしている。

 「練習曲集」作品25は、シューマンが「練習曲集というよりも詩だ。変イ長調
の和音が波となって耳に響く」と称賛した作品を第1番に持つ。マヨルカ島行きの1年前、1837年には出版され、リストの愛人マリー・ダグー伯爵夫人に献呈された。あるときは淡く、あるときはくっきりとした色合いを示し、印象派が愛した「漂い」「うつろい」あるいは「濃淡」といったものが、すでにこの曲集に先取りされているかのようで、そう考えると作品10よりも新しさが感じられる。「第1番」変イ長調「エオリアン・ハーブ」はハーブが分散和音を奏でるかのようで、そこに旋律が浮き彫りになってくる。「第2番」ヘ短調は右手の3連音符が回音のように旋律を展開していく。「第3番」ヘ長調は16分音符と付点8分音符が組み合わさって軽快なリズムの旋律を上下させる。「第4番」イ短調は和音の連なりが旋律線を描き出す。「第5番」ホ短調は、それまでの2曲を統合したかのような不協和音的な音響のずれがある。それが中間部分の優美な響きと微妙なバランスを作る。「第6番」嬰ト短調は淡い色彩がこの曲集の特徴となっている。しかしその淡さのなかにときに強い色調が浮かび上がることもあって、それによって複雑な濃淡が生み出されていく。「第7番」嬰ハ短調はそれまでの6曲と趣を異にしていて、物語性のある様子だ。想いを語りかけるかのような音響は、練習曲で感情表現の練習をもするためのものであることを、ここで確認させているかのようだ。「第8番」変ニ長調は難しい。右手の6度に左手の跳躍と6度が重なる。「第9番」変ト長調「蝶々」はこの曲集の特徴のひとつでもあるリズミカルな音型の連なりである。「第10番」ロ短調は両手のオクターヴによる重苦しさで推し進められる。それが、中間部分でふっと解放される不思議な曲だ。「第11番」イ短調は「木枯らし」の俗称でよく知られているが、ショパンが好んで使う4分音符、付点8分音符、16分音符、4分音符、4分音符の連なりではじまる。上から激しく舞い落ちてくるような16分音符は、左手の先ほどのリズムが厳しいほどに支えている。「第12番」ハ短調は「大洋」と呼ばれるとおりに、大波をうねらせる。この波も重苦しい。しかしそのなかに勝利の光が輝き、終曲にふさわしい。これら2つの練習曲は作品10の右手の分散和音ではじまり、作品25の大胆な両手の分散和音を全曲に堂々と響かせて終わる。

 ほかに1839年から40年にかけて作られた「3つの新しい練習曲」がある。左右違う音価を重ねる「第1番」ヘ短調、和声的な右手の「第2番」変イ長調、中声がスタッカートで両声がレガートという「第3番」変ニ長調と、いずれも技術的な向上を目指している。しかしながら技巧のみに偏ることなく、一番は情緒的な愁いを、2番は爽やかな優雅さを感じさせ、3番は気の利いた舞踏表現のようで、3曲ともいかにもショパンの練習曲らしい。

















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