結婚活動、略して「婚活」。流行語になったその略称が生まれたのは、少子化ジャーナリストの白河桃子が、社会学者・山田昌弘に対して「AERA」2007年11月5日号のためのインタビューを行っていた時のことだったという。山田はそれまでにも「パラサイト・シングル」、「希望格差社会」といった言葉を流行させるなど、新語をつくることに積極的な学者で、ここでは「就活」との関係から「婚活」という用語を提唱したのだった。08年、山田と白河は「婚活時代」を出版する。
著者たちが述べるように、それ自体が新しいムーブメントへのスイッチを入れた訳ではない。山田と白河は「結婚活動をしないと結婚できない時代」になったという認識のもとで、既に生じていた合コンや見合い、自分磨きなどの潮流を「婚活」というラッピングで応援しようとしたのだ。とはいえ、「婚活」という語が用意されたことで、出版物や広告に「婚活」の字が溢れる「婚活ブーム」が到来したことは疑いがない。
そのインパクトを例えば「an・an」に見てみよう。まず婚活ブーム以前の特集には、少しずつ結婚に前向きな雰囲気が醸成されているのを見ることが出来る。
02年4月17日号 「いつかは結婚、私らしく!」
06年9月27日号 「結婚A to Z」(小特集)
07年5月23日号 「恋より楽しい結婚をしよう!」
だが、「婚活ブーム」を受けて、白河が登場した「最強&最新・成功する”婚活”講座。」(08年11月19日号)など、特集の数は一挙に増える。
08年5月28日号 「どっちがいいの? 早い結婚VS遅い結婚」
09年2月4日号 「大人の婚活マニュアル完全版」
10年1月13日号 「結婚を決めた88組のリアルレポート」
10年11月3日号 「結婚できる女 できない女」
11年8月24日号 「いまこそ結婚?」
12年6月6日号 「結婚しない?」
数もそうだが、質も変わっている。例えば、婚活ブーム前の07年5月23日号のアンケートは「結婚は何歳までに? 子供は欲しい?」と、ぼんやりとした展望を聞いたものであったのに対して、ブームを受けた08年5月28日号のアンケートでは「いつする? 誰とする?」とより切迫感がある。10年11月3日号の「結婚できる女 できない女」という特集名にも表れているように、結婚できるかどうかという個々のスペックが重視されるようになってきてもいた。
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