永遠の恋

　現代人は、本当の恋とは悲哀であるということを認めようとしない。そんな現代人であればこそ、人生の無意味感、無関心に苦しむのは当然なのである。

　永遠の恋は、別離の悲哀である。悲哀をナンセンスという現代の青年であればこそ、「永遠」もまた同時に失わねばならなかったのである。

　厳しさの中にしか生き甲斐のないことを、悲恋の中にしか恋のないことを、積極的に男らしく認めて、この人生の悲劇に涙したものだけが、人生の意味を掴みうるのだ。

　人生、それは一個の悲劇である。
　これを認めない限り、人生の喜びもまた味わうことが出来ないのだ。

　「わずかなもので満足しないものは、いかなる富にも満ち足りることはない」（ヴィーラント）

　この名言は富だけに当てはまるものではない。恋についても当てはまるのだ。

　恋する人が、キャラメル１個くれたことに満足出来ないものは、その恋人が体をくれても満足することはない。

　体も精神ももらっても、満足することはない。