「幸福を得る唯一の途は、幸福を人生の目的とせず、幸福以外のなにか他の目的物を人生の目的とするにある」(J・S・ミル)
この格言の「幸福」というところに、恋という語をいれてみよう。
恋を得る唯一の途は、恋を人生の目的とせず、恋以外のなにか他の目的物を人生の目的とするところにある〜この通りなのだ。
ただし、ここでいっている恋とは、オスとメスの関係ではなく、男と女の関係だ。
男は女のために生きてはならない。理想のために生きなければならない。その理想を激しく求めさせるもの、それが女であり、それが恋なのだ。人妻ロッテを恋したウェルテルは死ぬべきではなかったのだ。人妻を恋した男は、自殺することもなければ、離婚させることもない。彼女のメスの部分を夫にまかして、自分は女の部分を要求すればよいのだ。
生活を共にしなければ実現されないのは、オスとメスの恋だ。逢う必要もない。
人妻を恋した男は「共和国万歳!」といって死んでいったフランス革命の英雄のように生き、そして英雄のように死んでいけばよいのだ。その人への愛のエネルギーを革命へ注げばよいのだ。それが男の恋なのだ。オスは、決してこのようには女を恋さない。
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