自己研鑽の魅力

　男が女を愛するにしろ、女が男を愛するにしろ、これには具体的な行動の中では限度がある。相手に飯を日に50回作ってやれるわけではない。やはり二人の生活以外に何か自分を鍛える場所というものを持つ人間こそが相手を愛しているのである。日本の母親が子供を愛していないという証拠はそこにもある。多くの母親は語学の勉強をする訳ではなし、スポーツをする訳ではない。男にとって全く自分に都合のいいようになってしまった女というのは、やはり魅力のないものである。女にとって全く都合のいいようになってしまった男というのは、やはり魅力のないものであろう。

　女にとって魅力的な男というのは、女の思い通りにならない男である。荒野をかける一匹の狼は女にとって不都合な存在であるが、女にとって最も魅力のある男なのである。男にとっても、女が朝から晩まで一年365日、自分のことだけをしているのは気が済むけれども、やはりそういう女というものは魅力がないものである。男にとっては面白くないことであるが、男の立ち入ることの出来ない世界を女が持って、その世界に於いて絶えず自己を研鑽する女がやはり魅力的なのである。