モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」

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 1787年10月29日、プラハのノスティツ劇場で、モーツァルトの新作オペラ「ドン・ジョヴァンニ」が、作曲者自身の指揮で初演された。
 モーツァルトはウィーンで暮らしていたが、このオペラのためにプラハへやって来て、この作品を完成させて、初演を迎えたのだ。


<異様な序曲>
 オペラで最初に鳴り響く音楽は序曲である。だが、モーツァルトの場合、序曲を作曲するのは最後だった。ドラマ部分の音楽を全て書き終えた後、序曲に取り掛かっていたのだ。モーツァルトのオペラの序曲は、劇中で使われる音楽が引用・抜粋されており、いわば予告編のようなものだ。観客にこれから始まるオペラの音楽はこんなものだと知らせ、また、オペラ全体の雰囲気も伝える。それによってさっきまで日常にいた人々を架空の演劇の時空間へと導くーそんな役割を担っていた。引用と要約なので、本編ができないことには序曲は書けない。


 その日も客席はざわついていたであろう。こんにちのようにオペラ観劇は芸術鑑賞ではなく、娯楽であり、祝祭であり、歌劇場は社交の場だった。そんなつもりで来ている客の度肝を抜くように、「ドン・ジョヴァンニ」の序曲は始まる。不気味な和音が大きく響き渡るのだ。怖い。何事が起きたのだろう。何が始まるのだろう。


 この日、劇場に「喜劇」を観にきた人々は、さぞかし驚いたであろう。


 しばらく不気味な音楽が続くと、曲調は明るく陽気になっていく。そして幕が開いて、第1幕第1場の始まりである。


 最近のオペラ公演は、演出家が腕の見せどころと言わんばかりに時代設定や場所を変えてしまうので、このオペラを劇場で観た人の中には現代の話かと思っている人もいるかもしれないが、「ドン・ジョヴァンニ」のオリジナルの設定では17世紀のスペインが舞台である。つまり、初演時の百年くらい前だ。しかし、歴史的事件が背景にあるドラマではないので、具体的に何年と特定されている訳ではない。


 舞台は誰かの邸宅の庭園、どうやら夜のようだ。そこにマントを着た男が現れる。貴族ドン・ジョヴァンニの従者レポレッロだ。次にドン・ジョヴァンニと深窓の令嬢ドンナ・アンナ、そしてドンナ・アンナの父である騎士長が登場する。そこは騎士長の邸宅だったのだ。
 こうして主要人物が一気に登場する。


 タイトル・ロールとなるドン・ジョヴァンニは、女であれば誰でも口説き、関係を持ち、そしてすぐに捨ててしまうという稀代のプレイボーイ。関係を持った女の数は、従者レポレッロによると、この時点で、イタリアで640人、ドイツで231人、フランスで100人、トルコで91人、そしてスペインで1003だという。合計すれば、2065人。そして、その2066人目としてジョヴァンニが狙っているのが、アンナということになる。


 ジョヴァンニはアンナの寝室に忍び込もうとするが、アンナに見つかり騒がれて失敗。父の騎士長が駆けつけ、「娘を放せ、俺と戦え」となって揉み合いとなり、ジョヴァンニは騎士長を刺し殺してしまう。
 これがドラマの導入部である。いきなり、クライマックスという感じだ。
 このあたりは、ドラマそのものには怖い部分があったとしても、「怖い音楽」ではない。


 音楽が怖くなるのはオペラの終盤である。
 死んだはずの騎士長が亡霊となって現れ、ジョヴァンニは地獄に落とされる。このシーンはかなり怖い。「喜劇」として観ていた人々は、こうしたシリアスな展開に当惑したであろう。


<怖い音楽の誕生>
 騎士長の亡霊が登場する時の音楽が、序曲序奏部で鳴り響いた不気味な怖い音楽なのである。観客はここにきて、最初に聴いたあの怖い音楽はこのシーンのものだったのかと分かる。いや、納得している暇はない。舞台ではジョヴァンニと騎士長の亡霊とが対決している。凄まじいバトルである。


 騎士長は言う。「悔いよ」
 ジョヴァンニは「いやだ」と拒否する。
 緊迫したセリフ(歌)の応酬の後、騎士長の何らかの力によって、あたり一面が炎に包まれ、地割れができ、騎士長の姿が消える。


 ジョヴァンニは恐れ慄く。
 「不思議な震えによって、亡霊たちが襲いかかるのが聞こえる」
 「この恐ろしい炎の渦はどこから襲いかかってくるのか」
 すると、合唱が聞こえてくる。「悪魔の合唱」ということになっており、
 「お前の罪には少な過ぎる」という。
 そしてージョヴァンニは地獄へと落ちていく。
 その断末魔の叫びは、
 「私の魂を引き裂く奴は誰だ。私の体を慄かせる奴は誰だ。なんという苦しみ、なんという狂気、なんという地獄、なんという恐怖!」


 ここで終われば悲劇となるが、このオペラはあくまで喜劇として作られているので、この後、アンナを始め、これまでにジョヴァンニの犠牲になりかけた女たちやその恋人たちが出て来て、ジョヴァンニが地獄に落ちたことを喜び、一種のハッピーエンドとして終わる。2000人もの女を誘惑して捨てたプレイボーイには天罰が当たり、地獄に落ちた。悪が滅びるのだから、確かにハッピーエンドである。


 だが、劇場を後にした人々の脳裡には、騎士長の亡霊が出て来てジョヴァンニが地獄に落ちるシーンが焼き付いていたはずだ。
 ジョヴァンニと女たちとの関係は、オペラの中では喜劇的に描かれていた。男の観客は「ジョヴァンニのようにやれたらなあ」と思いながら観ていたし、女の観客は「あんな男には騙されないわ」と思いつつも、そんなプレイボーイに魅力も感じていただろう。ドン・ジョヴァンニは悪人ではあるが、このオペラはその罪を糾弾する社会派ドラマではない。ドン・ジョヴァンニの描き方は、演出にもよるが、「悪い奴だが、憎めない奴」という感じだ。極悪非道の悪人ではない。当時はどうだったのか分からないが、少なくとも現代では「悪のヒーロー」と受け取られる。
 それなのに主人公は地獄に落ちてしまった。それは道徳的には「正しい結末」ではあるが、観客は素直に「よかった、よかった」とは思えない。それはモーツァルトの音楽が、あまりにも「怖い音楽」だったからだ。観客は劇中のドン・ジョヴァンニが感じた恐怖に同化してしまった。自分が地獄に落ちていくような気分になった。


 あくまでも娯楽であり、楽しく笑って観るものだったオペラが、シリアスなものへと変革された瞬間だった。オペラに於ける革命と言っていいだろう。そして「怖い音楽」の誕生でもあった。






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