ショパンの演奏法と教授法

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 ショパンは演奏に於いてのみならず、教えるという点でも注目された。それは弟子になった貴族の子女たちからだけではない。パリに住む専門家たちが、ショパンの作品、教授法に注目していた。ショパンが友人への手紙にモシェレス、カルクブレンナー、エルツといった最高の音楽家たちが、パリ音楽院の生徒を教えるのに僕の曲を使っていると書いているが、これはどういうことなのだろうか。


 ショパンには独自のテクニックがあることを、いずれの指導者たちも見抜いていた。作品もそのテクニックに裏付けられ作曲されているので、生徒を教える方法が他の音楽家たちとは違う独自のものということになる。例えば、リストはチェルニーの弟子であり、カルクブレンナーはクレメンティの弟子であったために、教授法に自分たちが先生から受け継いだものが必ず入っていた。しかしショパンについては、先生たちが指導の必要性を感じることがなかったので、その演奏法は独自のもので、他の誰かのものを受け継いでるというものではなかった。


 晩年に書かれた「演奏法」には、断片的だがショパンのテクニックに裏付けられた教授法が明らかにされている。ショパンが演奏の「メカニズム」といえば、それは自然な手の形のことで、手は白鍵の高さに、手は内側にも外側にも傾けない。これは指の力を等しくするのではなく、指がそれぞれ機能的に自立することを考えている。指をミ、ファ#、ソ#、ラ#、シに置くと手が丸くなって柔軟性が得られると書く。力を入れることなく多くの音色を得るというのが大切で、その基本がこの形にあると考えていた。


 また、手首を緊張させないのは勿論だが、体を傾けることなく鍵盤の両端に手を伸ばせる位置に座ることも重要だと言っている。そして鍵盤に手を置いて無理のない丸めた手の形で、演奏の訓練をする。すなわち鍵盤のミからシに手を自然に置いた時の手の丸みが演奏に最適だというのだ。


 力はそれぞれの指で違うのだから、それぞれの指に固有のタッチの可能性を知ることが大事だとショパンは考えた。運指法を知ることは、美しいニュアンスのある演奏につながるというのだ。


 技術的な要素と音楽スタイルとは非常に密接に関係すると考えていたのだろう。その考えのもとに作られたのが、ショパン独自の練習曲集だった。


 サロンには必ずと言っていいほどピアノが置かれ、貴婦人たちがピアノの腕前を披露することは珍しいことではなかった。サロンの花として、ピアノの演奏技術を磨こうというとき、ショパンの練習曲はかっこうの材料だった。指を鍛錬でき、その上、自分のレパートリーにすることが出来る。チェルニーの練習曲を、もしみんなの前で弾いたらどうだろうか。それしか弾けないということを暴露することになって、顰蹙を買ってしまう。モシェレスの練習曲の中には、披露して美しいと耳を傾けてもらえるものもあるが、練習曲といった印象の強いものが多い。


 パリのサロンはショパンのような存在を求めていた。そのレッスンを受けて、自分に見合った練習曲を課題にもらう。その練習曲は指の訓練に役立つばかりか、芸術作品として認められる美しさに溢れているのだ。これほど理想的な練習曲と先生という組み合わせは、他には例を見ないほどのもので、生徒は確実に成果をあげていった。


 ショパンはピアノの演奏に必要な運指法、フレージング、デュナーミク、リズム、さらには演奏家として必要である微妙な音楽的ニュアンスまで、さまざまな要素をこの曲集に集めることに成功している。23歳で出版した練習曲集の斬新さとはまさにその点にある。だから友達への手紙に書いたように、この時代の音楽家たちはショパンの作品を指導に使いたいと考えたのだろう。



















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