ショパンの「24の前奏曲」

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<魂の歌>

「24の前奏曲」は、ピアノの詩人と呼ばれたショパンの作曲技法と共に、魂の歌とも言えるものではないだろうか。前奏曲というジャンルは、もともと即興性が強いものだったが、徐々に演奏技巧を発揮するような曲としてその存在感を強め、ロマン派以降になると、より自由な作風の性格的小品の一種となった。

 ショパンが29歳で書いた「前奏曲集(作品28)」は、練習曲風、夜想曲風、即興曲風など多彩な曲調の作品が24曲並んでおり、全ての長短調を網羅している。1839年にマジョルカ島で完成されたが、これは、小説家ジョルジュ・サンドとの恋愛関係が始まって間もなくの時期と重なっており、その影響がどれほどあるのかは定かではないが、この曲集の表現力の豊かさに少なからず結びついているように思われる。


<バッハとは違う調の配列>

 ショパンは心より尊敬していたヨハン・セバスティアン・バッハの「平均律クラヴィーア曲集」の伝統に連なる作品を残すことを切望していた。そして出来上がったのが24全ての調を使って書かれた「前奏曲集」だが、調の配列が「平均律」とは異なっている。

 バッハは半音ずつ上行するような配置であるが、ショパンは5度圏に基づいて進行する。長短調の平行関係を一組とし、折り返しにあたる第13番ではシャープ6個の嬰へ長調、第14番ではフラット6個の変ホ短調が置かれている。各曲は完全に独立しているが、こうした配列によって、24曲を通して演奏することで、より全体の緊密な関係が見えてくる。各曲に関連性はなく、むしろそれぞれが完全に独立した世界を展開展開しているのにも関わらず、全24曲を通奏すると不思議と一つの大きな世界を構成する。しかも、抜粋で演奏しても、組み合わせによってまた違う魅力を見せてくれるのだ。


<ピアニストの到達点>

 実に多くの可能性を秘めた曲集だが、特にここ最近ではピアニストにとって、全曲演奏が一つの到達点とも言えるものになっている。なお、こうした調配列のアイデアはショパンが影響を受けた作曲家の一人であるヨハン・ネポムク・フンメルが1814年に書いた「24の前奏曲」で行っているものだが、全調を用いて前奏曲を書いた、ということはもちろん、書法の面に於いても様々な面でバッハの影響を受けていたことは間違いない。

 特にそれは第1番ハ長調に表れている。アルペジオの中から旋律が浮かび上がってくるものであり、その流麗さ、期待感に満ちた曲想は非常に似通ったものがある。また、ショパンのバッハに対する敬愛は知られたところだが、意外にもショパンは「フーガ」と題した作品を遺作となった「フーガ短調」しか書いていない。その分、ショパンは様々な作品の中に対位法を組み込むことでバッハの作品から得たもの、そしてバッハへの尊敬を表したのである。一見、流麗な分散和音や音階、また単なる伴奏音型の和音のように見えながらも、その中には多層的に旋律が隠れており、主旋律の影で静かに「うた」を響かせているのである。


<美質を見極めるのに相応しい>

 またこの「前奏曲集」はピアニストの美質を見極めるのに非常に相応しいものである。技術、楽想共に様々な要素を持つ万華鏡のような作品が、奏者の紡ぎ出す音色によっていくらでも色彩や輝きを変えていく。また、練習曲集やバラードにスケルツォ、ソナタや協奏曲ほどに演奏困難な箇所はないものの(第16番や第24番など非常に演奏効果の高いものもあるが、それでも前述した曲集に比べればはるかに演奏しやすい)、一つ一つに精度の高い技巧が求められる。

 鮮やかに速いパッセージを弾きこなしつつも、そこには常に気品を漂わせていなくてはならない。また、これができなければ第2番や4番、第9番、第20番のように音数の少ない中で「うた」を丁寧に響かせていく楽曲に於いて、音の全てに意味を持たせた音楽を奏でることは不可能である。様々な技法や感情が凝縮した作品であるが、感情過多になってしまうなど、自己実現のためにこの作品を演奏することは、「前奏曲集」の魅力をゼロにしてしまう。

 というのも、この曲集はある意味で、ショパンの「スタイルブック」のようなものである。ショパンという作曲家のエッセンスが凝縮したものであり、それを聴き手に「見せる」という意識で演奏しなければ、本当の美しさは描き出せないように思う。そして、その根底にあるのがバッハなのである。

 

<平均律を日々練習>

 ショパンは「平均律」を日々の練習に取り入れて必ず演奏していたほど、この曲集に対して愛着を持っていた。さらには教育用としても注目しており、様々な可能性を探っていたのである。それが分かりやすく確認できる例として、2010年に出版された、パリ音楽学協会からショパンの書き込みが記されている「平均律」の楽譜が挙げられる。

 このショパンの書き込みというのは、ショパン存命時にパリのヴェーヴェ・ローネル社から出版されたカール・チェルニーの校訂の書き写しに始まり、楽譜の修正やフーガの分析といったものである。楽譜の修正というのはバッハが作品で用いている自然短音階の和声短音階への変更から、不協和音程にしたり、拍ごとの転調を行うように音を変える、さらには3度による二重トリルの追加といったものである。 

 そしてフーガの分析というのは、現代、我々がバッハに限らずフーガを演奏する際に行うものと同じであり、フーガのテーマの開始と終わりにテーマを示すサインを付けるというもの。これらに加えてショパンは同じ指の連続使用を始めとする独自の運指や手の取り方や装飾などを書き込んでいる。こうして見てみると、ショパンがバッハの音楽をもとに新たな自分の語法を確立しようとしていたことが窺えるだろう。

 すなわち、ショパンの音楽の演奏にあたっては、綿密な分析と音に対する鋭敏な感覚が求められるということが改めて分かる。ショパンの音楽の断片が凝縮した「前奏曲集」を弾くことは、ショパンそのものに対峙するといっても過言ではないだろう。



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