フランツ・リストは、なぜ女性たちを失神させたのか

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 ステージで華々しく演奏するリストと、うっとりと見つめる女性たち。歓声をあげる女性たち。中には本当に失神してしまい、傍らの男性に抱きかかえられる女性もいる。これは、リストのベルリンでの演奏会の模様を、ドイツの挿絵画家テオドール・ホーゼマンが「ベルリンの現状と酒」という雑誌の口絵として描いたカリカチュアである。
 カリカチュアは社会現象や世相を漫画風のユーモアで痛烈に皮肉った風刺画だが、単なる文字データよりも時代の空気をよりリアルに伝えてくれる。
 もう一枚のとっておきのカリカチュアがある。1842年に描かれた「コンクール」というタイトルの絵である。小さな札に「リストの忘れ形見」と書かれ、その下に、リストの私物である手袋、ハンカチなどの小物がぶら下がっている。これは5メートルほどの高さの柱の先端に括り付けられていて、それを奪おうとドレスに身を包んだ貴婦人たちが、必死に柱にしがみつき、よじ登ろうとしているというカリカチュアである。タイトルの意味は女性たちによる奪い合いコンクールといったところである。
 この頃のヨーロッパで巻き起こったリスト・フィーバーはまさに社会現象と言うべき凄まじいものだった。ドイツの作家アレクサンダー・フォン・シュテルンベルクは、この馬鹿げたとしか言いようのない熱狂は、芸術史の本よりは、病歴報告書の1ページとしたほうがふさわしいと呆れたが、それは演奏会と言うより狂乱騒ぎそのものだった。
 彼女達の熱狂ぶりをいくつか紹介しよう。リストの前にひざまずき、指先にキスさせてもらえるよう許しを請う女性がいるかと思えば、別の女性は、彼の紅茶カップにあった飲み残しを自分の香水瓶に注いだという。あるロシアの淑女たちは船で旅立つリストを見送るためだけに、大型汽船を楽団付きでチャーターしたという。
 きわめつきは、南フランスの港湾都市マルセイユでの話である。ここでは、かつて栄華を極めたプロバンス王国を再建し、リストとその子孫を王座に据えようという話まで持ち上がったというのである。
 それにしても、改めて驚かされるのは、彼女達が本当に失神してしまったことだ。ドイツの詩人で辛辣なジャーナリストでもあったハインリッヒ・ハイネは、このリスト現象の謎を解明すべく、女性たちのヒステリックな症状について、婦人科の医師に原因を訪ねた。その回答は、感応磁気、電気感応、電流、無数のロウソクが灯り、香水をつけて汗臭い数百人の蒸し暑いホール内での接触感染、演劇性てんかん、更にはトリック現象、音楽薬効、その他、口に出来ない様々なことだったという。

 ビートルズ、クイーン、マイケル・ジャクソンらは、失神する女性ファンを続出させた現代版リストとも言うべきスーパースター達だが、この失神は、コンサートという密着状態で観客同士が身動き出来ない中、極度の興奮状態から呼吸と運動量のバランスが崩れた過呼吸が原因と思われる。
 逆に浅い呼吸しか出来ないために失神するケースもある。ヨーロッパの古典文学には、淑女が失神するシーンが数多く登場する。これは、当時の上流階級の女性たちが着用したコルセットが原因と考えられる。彼女たちはウエストを締めすぎて浅い呼吸しか出来ないために、常に貧血状態で、刺激に弱かったと言われている。

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