彼は、二人の夫婦関係に関して、たった一つのことを除いては十分に満足していた。
唯一の不満、それは彼女が少しも幸せそうではないことであった。彼は、彼女の要求が多すぎることを非難した。彼からすれば、自分が稼ぐ金額は彼女が自分や家庭のために働くのと同等の得点なのだから、それで公平だと思っているのである。しかし、このCの姿勢がPを余計に怒らせてしまっていたわけだ。
二人は、私の話を聞くと非難の応酬を止め、愛情を込めた問題解決を図れるようになった。もう離婚というところまできていた夫婦関係は見違えるほどよくなり、再び協力して幸せな家庭を築き上げていく姿勢を取り戻したのである。
Cは、妻のためにちょっとしたことをしてあげることが信じられないほど大きな効果を発揮するのだということを学んだ。彼がより多くのエネルギーを彼女のために使うように努力をし始めたとたん、彼女の態度は一変したのである。それは、驚くほどの変わり方だった。
この経験から、男性から見れば取るに足らないような些細な気配りをしてもらうことが、女性にとっては高価なプレゼントを贈られるのと同じくらいに嬉しいことなのだというのが、彼にはよく分かるようになった。
Pは、リッチな生活よりも、夫から自分だけに注ぎ込まれてくるエネルギーや努力、思いやりの気持ちの方を、ずっと手に入れたかったのだ。Cはようやくそれに気が付き、より多くの時間とエネルギーを妻が幸せを感じる方向に費やすようにし、その分、仕事にかけるエネルギーをごくわずかに減らしたのである。
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