男の自信は　”女性のひと言”　で如何にでもなる

　男性が最も恐れているのは、自分は力量不足で、彼女にはふさわしくないのではないかということである。彼は、その恐怖心を取り除くために、自分の才能や力を磨くことに専心するだろう。成功、目的達成、能力向上こそが彼にとって人生最大のテーマなのである。

　女性が　”受け入れる”　ことに臆病になるように、男性もまた　”与える”　ことに臆病になる。他人に与えるという作業は、リスクを背負うことである。失敗すれば、自分は認められなくなり、より多くの努力が必要になる。そういう結果に陥ることは、彼にとって一番の苦痛である。なぜなら、彼は潜在的に自分の能力が劣っているという誤った確信を抱いているからだ。

　この確信は、少年時代に周囲からの期待を感じるたびに形成され、強められてきた。彼が成し遂げたことが無視されたり評価されなかったりするたびに、無意識のうちに自分は無能で使い物にならない人間なのだという誤った確信を抱くようになってしまったのだ。

　男性は、この件に関しては敏感だ。そのために、失敗することを極度に恐れるのである。できることなら多くのものを他人に与えたいと思っているのだが、失敗を恐れるあまりに試そうともしない。もし、彼にとって最大の恐れが無能さをさらけ出してしまうことであるとすれば、無用なリスクは一切避けるようになるのは当然である。

　皮肉なことに、彼が心底から気に掛けるようになればなるほど、失敗に対する恐怖心が募っていく。したがって、いろいろなことを与え、尽くしてあげたいと思っているのに、失敗を回避しようとして、その気持ちとは裏腹に結局は何もしてあげなくなってしまうのである。

　男性は、精神的に不安定な状態に陥ると自分以外の何者にも注意を払わなくなることによって自己防衛しようとする。そういう場合の最も顕著な反応の仕方は「俺には関係のないことだから気にしない」と拒絶的に言い放つことである。