女性に少しつれなくされる方が男は夢中になる？

　自分は、他人から愛される価値がある人間だと心底から思えるようになった時、女性は男性からの愛情を招き入れる扉を開放したことになる。

　一方、もし１０年間ほどの結婚生活において相手に多くのことを与えた（尽くした）から、自分もまた同じように多くのことを相手から与えられるはずだと自惚れたりした時には、皮肉なことに彼女はその扉を閉じてしまったことになる。その時、彼女はおそらく次のように感じる。

　「私はあなたにこんなにも尽くしてきたのに、あなたは私を無視し続けてきたわ。あなたには私をもっと大事にする義務があるはずよ。でも、あなたは、少しもそうしてくれない。もう信じられなくなったわ。私は疲れ切ってしまった。あなたにしてあげられることは、もう何も残っていないわ」

　こういうケースでは、女性たちに「それ以上、相手に尽くす必要はない」とアドバイスをする。二人の関係をよくしようとするのなら、あまり与えすぎると逆効果になってしまうのだ。女性が、与える度合いを少なくすればするほど、男性はかえって大切に扱ってくれるようになるものなのである。

　男性が女性の願いを無視し続けている時、それはちょうど二人ともグッスリ眠り込んでいるようなものだ。

　彼女が目を覚まし、自分を必要としていることに気がつけば、彼もまた目を覚まして彼女により多くのことを与えようとする。彼は受け身の状態から目を覚まし、彼女が望んでいるような変身ぶりを示すようになる。

　女性がパートナーにあまり多くのものを与えなくなるということは、彼女自身の内側に、自分が愛され尽くされるに足る人間であるという自信が確立された証といえる。そうすると、彼は閉じこもっていた穴の中から出てきて宇宙船を組み立て始め、彼女を幸福にしようとするのである。

　現実には、彼がそうゆう心境に至るまでにはかなりの時間を要するかもしれない。けれども、そのための最も重要なステップは通過したのだ。

　つまり、自分が彼女をおろそかに扱ってきたことに気づき、その姿勢を変えようと思うようになった。この段階まで到達すれば、彼女の望みが叶うのも、もはや時間の問題なのである。

　このことはまた、次のような効果を生み出すこともある。

　ふつう、男性が自分を不幸に感じてより多くの愛情やロマンスを欲するようになると、パートナーの女性はすぐに心を開き、再び彼に愛を注ぎ込むようになる。そうすると、彼女の憤りや恨みの壁は崩れ落ち、二人の間に再び愛情が宿ってくるのである。たとえ、男性があまりにも長期間にわたって彼女をないがしろにしてきたとしても、その鬱積した恨みつらみの気持が癒やされる日は必ずやってくる。

　一方が前向きに変わっていけば、パートナーもそれを受けて同じように変わっていく。このシンクロニシティは、人生に於いてしばしば不思議な力を発揮してくれる。生徒がきちんと準備を整えれば、必ず良い教師が出現する。質問すれば、必ずその答えは返ってくる。

　私たちが、本当に相手の愛情を受け入れる準備を整えれば、必要としているものは必ず手に入れることができるようになるのだ。