結婚は生きる目的ではない

　”結婚するのは二人ともほかに身の振り方がないからである”（チェーホフ）

　最近、なんとこうした結婚が増えたことだろう。
　人間は結婚してもしなくてもいい。結婚するのが適している女性もいれば、一生独身で社会的に活動するのが適している女性もいる。一概に人間は、或いは女性は結婚すべきだ、なんていうのはとんでもない話だ。いろんな性質の人間がいるのだ。そしていろんな生き方があるのだ。ある人にとっては結婚しないことが幸せなのだ。どうして結婚と言うことをこうも重大事に人間は考えるのだろう。

　
　結婚というのは、人生のひとつの生き方でしかない。多くの生き方のうちの一つの生き方でしかない。そして結婚にもいろいろな結婚があっていいのだ。二人とも社会的に働いていて、ときどき家で顔を合わす結婚があっていいし、いつも二人一緒の結婚があってもいい。人間は結婚するために生まれてきたのではない。また結婚するために生きてきたのでもない。自分をよりよく生かすための手段として結婚があるのだ。結婚は断じて、目的ではない。結婚は手段だ。ひとりで生きる生活形態よりも、二人で生きることのほうがお互いに自己を発展させ、充実させることが出来るから結婚するのでなければならない。